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未亡人の秘唇

〜官能アンソロジー

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《収録作品》

『誰もがもつ秘密』館淳一
『秘め声』鳳春紀
『引き裂かれた喪服』渡辺やよい
『幼なじみは未亡人』霧原一輝
『欲しくて……』子母沢類
『十七年目の初体験』深草潤一
『ラヴ・シュープリーム』由紀かほる


《読者からの解説と感想》

「誰もが持つ秘密」

「母の素行を調査して欲しいんですが」
 私立探偵・猿田旭彦への依頼は、『ヤジマ食品』という食品会社の社長・矢島敏樹からのものだった。会長でもある義理の母・淑子の素行調査だった。
 土曜日には外出して帰宅の遅い未亡人の行動は、敏腕の探偵によってビデオ撮影された。淑子は元SMクラブの女王様が主催するあるパーティに参加しているらしい。
 調査の結果を確認した敏樹は、自らその秘密パーティに乗り込んでゆく。
   

(あ、これは……、あうう、たまらない)
 無数の手が指が、今は彼の股間を這い回っているようだ。それが指なのか舌なのか、それとも違う器官なのか分からない。分かるのはどんな微かな刺激も強烈な快感となって肉を溶かし血を沸騰させるということだ。

 タイトルが示す通り、誰もが秘密を持っている。その秘密を覗き、解き明かすのが、プライベート・アイ、つまり私立探偵の仕事である。
 今回もお馴染みの猿田探偵が、美しい未亡人の秘密にメスを入れる。
 だが、調査は途中で中断された。
 探偵はその決断を賢明だと評した。
 彼にはきっと、依頼人のその後の行動が見えていたのだろう。
 一見何の変哲もない民家で、毎週土曜の夜に行なわれる秘密のパーティ。キーワードは「モノとされる快楽」。
 それはしかし、誰もが味わえるとは限らない快楽でもある。
 複雑な愛情が次第に対象を捉えてゆく課程が想像力を刺激する一篇。
                         詩織

《作者より》

『誰もがもつ秘密』
統一テーマが『未亡人の愛と性』でした。
もう誰が書いても同じようなストーリーになるのは目に見えてますが、ご安心ください、(^_^;)
館淳一のはひと味違います。……って、まあそんなに逸脱もしてませんけれど趣向が違います。

私立探偵の猿田のもとにやってきた若い経営者は、なんと義母の素行を調べて欲しいと言います。
依頼人の父親より二十歳も若くて再婚した義母はまだ40代前半。夫の死後一年が明けたとたん、いきなり毎週末、朝帰りをするようになります。
「男が出来たのか」と義理の息子は心配し、猿田に尾行調査を頼んだのですが……。
驚いたことに、外出した彼女が入っていった麻布の一軒家には、さまざまな男女が奇妙な形で出入りを繰り返していました。
年齢も職業もさまざまに見える男女たちは、この一軒家でいったいどんなことをやっているのでしょうか?
まあ、あとは読んでのお楽しみ。もちろん義理の息子は最後に、自分もその一軒家の門をくぐるのです。当然ですね。(^_^) 独特の芳香を放つ館ワールドの世界にどうぞおこしを。

《初出情報》

この作品は書き下ろし短編です。

《書誌情報》

本書は河出書房新社より河出i文庫の一冊(1334 i12-2)として文庫判型で刊行された。
デジタルテキストは発売されていない。





ISBN978-4-309-48174-6
2008年10月10日=第一刷発行
発行=河出書房新社
定価=620円+税

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