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カバーイラスト 吉田昭夫


秘悦の華

官能巨匠5人衆傑作選

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《収録作品》

綺羅光『堕天使獣淫』
海堂剛『下の唇封じ』
みなみまき『犯され願望』
末廣圭『高価な不倫』
館淳一『鞭打ちの供犠』
全5編。

《読者からの解説と感想》

「鞭打ちの供犠」

 レズビアン専用DC『レディース・ワンダー・サービス』の出張員・優奈は、このところ奇妙なお客からの指名を受けていた。
 高級住宅街に建つ洋館で優奈を待つ「よし子」と名乗る依頼人は、スリップ姿の自分を柱に縛りつけさせ、鞭で打たせるだけで、指一本触れさせようとはしない。
 好奇心の強い優奈は、六回目の鞭打ちの儀式の後、黒いスリップを捲り上げ、はじめてよし子の肌に触れてみた。

「ぐ、うくく……ッ」
 よし子が、態度で嫌悪と強い拒絶の念を表わしたにせよ、若い同性に背後から抱きすくめられ、パンティをひきおろされ、秘部を指で弄ばれることに、強い刺激と快感を味わっているのは明らかだった。
 ツルツルしたナイロンの下で熱い湿った肌がびくびくとうち震える。今や優奈は女体から音楽を奏でる演奏者で、よし子は自在に操られる楽器だ。逃げようとしても逃げられない楽器。

「夫の秘密」(『淫色』収録)にも登場した優奈嬢のわくわくレズビアン物語。
 瀟洒な洋館で、鞭打たれることだけを望む理知的な熟女の秘密とは何か?
 知的好奇心と甘美な誘惑がクライマックスに向かってじわじわとのぼりつめていく……。
 直接的なセックス描写より、こういう搦め手からの攻撃の方が、想像力を刺激されて感じてしまうということは、ジュンイチストのあなたなら、よくご存知のはず。
 羞恥と快感が渦のように押し寄せる告白シーンの素晴らしさも、ね。
 そして優奈嬢のチャーミングさも忘れないでほしい。「夫の秘密」と併せて読むと、「レズビアン探偵・優奈におまかせ!」とでも銘打ちたくなるほど、魅力的な連作になりつつある。
 作者は優奈について、こう書いている。
   優奈は自分のことを、本質的には自分よりも優位にある女性たちの快楽のための道具だと考えている。道具としての任務は客のオルガスムスだ。自分の肉体を利用して客が満足した時、優奈は言いしれない充実感を味わう。この世に存在することの不安がその瞬間、解消される。

「この世に存在することの不安」という含蓄のある言葉に、SMの、そして性愛の秘密が隠されているように感じるのは、深読みのしすぎだろうか?
 一読者としては、優奈嬢のさらなる冒険譚を読んでみたいと思う。

                            詩織

《作者より》

優奈シリーズです。
と言っても分からないでしょう。(笑)
『レディース・ワンダーサービス』というレズ女性専門デートクラブがあるんです。
優奈はそこに在籍していて、客の求めに応じて出張し、プレイをします。
彼女たちには厳しい掟が課せられています。
どんな要求をされても、決して客のプライバシーに立ち入らないこと。
しかし、「よし子」さんというお客の家を訪ねるたび、優奈はあまりに奇妙な彼女のプレイに、いやおうなく好奇心を刺激されます。
とうとうある日、掟を破って、年上の美女に質問を発してしまい……。
まあ、あとは読んでのお楽しみです。(笑)

《初出情報》

セミ書下ろしです。みーん、みーん。(笑)
この短めの中編というか、長めの短編(70枚)は、複雑な成立過程を経ていますが、その原型はミニ短編『柱』といえば、お分かりになられる人にはお分かりでしょう。(笑)

《書誌情報》

本書は竹書房よりスーパーラブロマン選集の一冊(SL-60)として文庫判型で刊行された。
デジタルテキストは発売されていない。





ISBN4-8124-1270-6
2003年7月23日=第一刷発行
発行=竹書房
定価=648円+税

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