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カバーイラスト 田中 光
カバーデザイン 長谷川正治


不倫

書き下ろし官能アンソロジー

a37

《収録作品》

睦月影郎『蜜の淫謀』
牧村僚『恋』
安達瑤『人妻吸血鬼』
館淳一『媚肉の重み』
ほか全9編。

《読者からの解説と感想》

『媚肉の重み』

 芙美絵のパソコンがメールの着信音を鳴らした。
 それはかつての上司であるブルゴン商事の専務・佐伯からの暗号メールだった。
 芙美絵はレースをたっぷり使ったショーツを履き、指定されたホテル『ヒルトップタワー赤坂』へと向かった。
 夫の出張中、彼女はかつての上司と、特別な趣向の情事を楽しんでいる。
 それは……。

「う」
 びくんと芙美絵の体が震えた。
「む、……」
 猫がミルクを飲むような、ぴちゃぴちゃ、ちゅうちゅうという音がたった。舌が激しく動きまわり、菊花の花弁のような排泄孔の周辺を、啜るように舐め回す。
「ああ……」

 勘のいい読者なら、タイトルからプレイの内容がある程度想像できるだろう。
 そのテの嗜好のない人は、最初はたじろぐかも知れない。
 しかし、丹念な描写とともにエスカレートするプレイの模様を読みすすむうちに、今まで知らなかった、不思議な快楽の世界があることを感じるに違いない。
 あるいは、密かに心の奥にしまいこんでいた恥ずかしい願望が展開することに、ある種の解放感を感じるだろうか?
 そう、官能小説とは、精神を解放する文学なのだということを思い知るだろう。
 熱心なジュンイチストなら、ブルゴン商事の名前はご存じのはず。
 ヒロインが身支度する場面の、下着の描写が美しい。結末のワクワク感も格別。

                          詩織

《作者より》

初めておつきあいする出版社からの新書版アンソロジーです。
不倫が統一テーマです。 売れっ子作家さんばかり集めた書き下ろしアンソロジーは、剛球豪速球でびゅんびゅんと投げてくる作家さんばかりだから、力不足のぼくはどうも分が悪い。(笑)
となると変化球勝負ですね。
打者の目をくらます超スローカーブを外角低めに集めてみました。何じゃそれ。(笑)

というわけで、『媚肉の重み』は、かつての職場の上司と不倫している人妻のお話。
その上司というのが、実は特別な嗜癖の持ち主で、ヒロインは彼のためにいっぷう変わったプレイをとり行ないます。
どのように変わっているのかというと、つまり彼女の肉の重さを、文字どおり味わわせるプレイなのです。
ここで「ああ、分かった」と思われた方は、読んでみてください。当たっているかどうか。(笑) 「全然分からないぞ」という方は、読んでみてください。「なるほどそうだったか」と思うために。(笑)
こういう遊びもいいものですよ、と言いたかったんですが、伝わるかなあ。

《書誌情報》

本書は株式会社学習研究社よりウルフ・ノベルスの一冊(Gakken-17)として新書判型で刊行された。
デジタルテキストは発売されていない。





ISBN4-05-402064-X
2003年5月20日=第一刷発行
発行=株式会社学習研究社
定価=800円+税

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