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カバーイラスト 吉田昭夫


禁断 vol.14

特選官能小説誌

a34

《収録作品》

綺羅光『獣惑されて』
高竜也『癒しの交合』
由紀かほる『媚女いじり』
館淳一『隷嬢の滾り』
ほか全10編。

《読者からの解説と感想》

隷嬢の滾り

 私立探偵・猿田治彦は、古書店を営む酒井という顧客に奇妙な依頼を受けた。
 実は酒井が関係しているM女が本人の希望で奴隷オークションに出品されるので、会場で恥をかかないように、セリのサクラになってくれというのだ。
 根が好きものの猿田探偵は、その役目を助手にまかせず、自ら買って出ることにした。
 オークション当日、出品された女奴隷・美帆を見て、猿田の気持ちが変わった。
(サクラはやめだ。この娘、おれが本気で落としてやる!)

《彼女の閉じた瞼の裏に浮かんだのは、ミッションスクールである学校の礼拝堂の祭壇におかれた、十字架上のキリストの裸像だった。キリストは脇腹に槍を受けて絶命したが、美帆は膣を肉の槍で突かれて死んだ。そして新しい命をさずけられ、血まみれのシーツの上で甦った。》

 お馴染み猿田探偵が活躍する軽妙な味わいの作品。
 ただし、美帆がマゾヒズムにめざめていく過程を描いた回想シーンは濃厚な内容で読者を愉しませてくれる。
 特に興味深いのは、処女を失ったヒロインが、十字架上のキリストと自らを重ね合わせる場面。
 敬虔なクリスチャンには怒られそうだけど、三島由紀夫が聖セバスチャンの殉教図にエロティックな欲望を感じたように、磔にされたキリストの姿は、サディストにとってもマゾヒストにとっても、最高のイコンなのかもしれない。

《作者より》

「滾り」は「たぎり」と読みます。
 導入部は、作者の好きなオークションものです。
 さわりは、競り落とされたM女が、どういう経過を経てオークションに出るまでになったか、身の上話になります。
 実は、「美帆」というヒロインはこれまでの長編のなかに登場しているキャラクターです。
 この作品では、脇役で登場させたことのある美帆に焦点を当てて、M女の不思議を考えてみました。

《初出情報》

『隷嬢の滾り』…………書き下ろし作品。

《書誌情報》

本書は竹書房より竹書房文庫の一冊(SL-49)として文庫判型で刊行された。
デジタルテキストは発売されていない。





ISBN4-8124-1105-x
2003年2月6日=第一刷発行
発行=竹書房
定価=648円(税込)+税

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