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カバーデザイン 中原達治


禁本 ほてり

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《収録作品》

『人妻・デジカメの裸像』館 淳一
『見知らぬ女』藍川京
『淫らなメルヘン』睦月影郎
『誘惑面談室』牧村僚
『入れてください』内藤みか
ほか全10編


《読者による解説と感想》

 幸平は男からの電話にショックを受けた。
 相手はひょんなきっかけからセックスをしてしまった人妻・ゆう子の夫だったからだった。
『城央マンション管理サービス』に勤務する米村幸平は、ある日浴室灯キレ交換のために訪れた夢見山市のマンションの一室で、瑞々しいお色気を発散する人妻・田原ゆう子から奇妙な依頼を受けた。
「私をデジカメで撮影してくださらない?」
 それは、海外赴任している夫へのメールに添付する、ヌード画像の撮影依頼だった。
 童貞の幸平は、乞われるままに、夫婦の寝室のドアを開けた。
 そこには……。

   

「お、奥さん、そんな……、ああ」

 マンションの住居内トラブルを解決する、ある種の「便利屋」を主人公とした物語は、長篇『熟女狩り』をはじめ「童貞 美味すぎる喪失」(『妻の調教』収録)などの作品で御馴染みの、近年の作者がお得意とするモチーフのひとつである。
 こうした御馴染みの導入部を持ちながらも、その後の展開で、作品のテイストは大きく違ってくる。
 本篇も、まるで熟練の落語家が、毎度毎度の枕を振りながら、意表を突いた話芸によって聴衆を魅了する至芸のような味わいさえ感じさせる。
 そして最後には、館ファンが狂喜するような、作者ならではの趣向が用意されているのだ。
 うう……、待ってました!
 って、やっぱ、ねえ。こうでなくちゃいけません!

                             詩織

《著者より》

人妻・デジカメの画像は、人妻さんに頼まれて、彼女のヌードを撮影される若者の話です。
この若者はマンション管理業務を委託された会社に働いています。契約したマンションの住民から要請があれば、すぐに駆けつけて問題の処理にあたるなんでも屋。
著者は若い頃、別荘の管理会社に勤めていました。別荘のお客が来たら、居心地よく住めるよう、いろいろ手配をしたり、点検したり修理したり、何かトラブルがあればすぐ処理をしたりするのが任務。
ですからマンション住まいをしていると、管理会社の管理業務にどうしても関心が行きます。(土木作業の現場監督をやっていたこともあり、道を歩いていて道路工事をやっていると、つい現場監督の目で見てしまうという癖もありますが、(笑))かつての自分のように、対応する側の目で見てしまうのですね。
別荘の住人というのは、大臣、代議士、スター俳優、作家(売れっ子作家ですよ)、大学教授、企業経営者、弁護士、医師、銀座の酒場の有名マダム……、早く言えば名士であり金も力もある人たち。それだけに、わがままで、傲慢で、不遜で、わからず屋で、管理要員など召使い以下虫ケラの扱いでしたなあ。何かトラブルがあると怒る怒る怒る。鈴木宗男を見ていたら昔が懐かしかった。(笑)
おかげで、傲慢不遜なわがまま名士の扱いには慣れましたが、それ以来、金と力のある人間は嫌いになりました。(笑)
脱線しましたが、いろんなことを言ってくる住民の、わがままな要求のなかに、こんな要求もあったらなあ、などと、若き日の自分の姿を重ねあわせて書いてみました。(笑)

《初出情報》

『人妻・デジカメの裸像』…………『小説NON』2002年3月号掲載

《書誌情報》

本書は祥伝社より祥伝社文庫の一冊(ん1-26)として文庫判型で刊行された。
デジタルテキストは発売されていない。





ISBN4-396-33042-1
2002年5月20日=第一刷発行
発行=祥伝社
定価=590円+税

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