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カバーデザイン Kazuma Suzuki
カバー写真 Orion Press


白昼秘夢

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《収録作品》

『狂悦の寝室』深草潤一
『赤松光夫』ダブルベッド
『ささやかな嫉妬』牧村僚
『継母(はは)の恋人』館淳一
ほか全12編


《読者からの解説と感想》

「継母(はは)の恋人」
 弘志は継母の絵実子を「えみちゃん」と呼ぶ。
 東京の大学から帰省した息子を黒いランジェリー姿で迎える絵実子。
「すぐ、する?」
「したいの?」
「当たり前さ」
 ふたりが男と女の関係になったのは、弘志の父親が亡くなった翌年、弘志が十六歳の時だった。性欲に身悶える少年の扱いに戸惑う継母は、自らの肉体を開くことによってその問題を解決したのだ
。  以来、絵実子は弘志の母であり、恋人であり、娼婦であった。
 そんな関係も、ひとつの転機をむかえつつあった。
 それは……。

   

「うーん、いいなぁ。えみちゃんはこれで娼婦だ。ぼく一人のための娼婦」
「娼婦と呼ぶなら、チ×ポをくれ」
 息子の前をヒップを振って歩いてみせた絵実子は、笑いながら言う。
「もちろん、あげますよ」

 シュールになるギリギリのところでリアリティを保つ作者ならではの、継母と息子の楽しいセックス・アァンタジア。
 若くて魅力的な継母という設定は、官能小説では御馴染みのものだが、相手を友達のように呼びあうふたりの姿には、タブーを破るというスリルよりも、同じ秘密を共有する者同士の精神的連帯感といった風情の甘くて清々しい空気が漂う。
 しかし、その心地よい空気を満喫していると、とんでもない展開が待ちうけていたりする……。
 うむむ、やっぱり館淳一はあなどりがたい。
 一見軽いタッチに見える短篇でも、それぞれに工夫がなされ、それが読者の脳裡に忘れがたい余韻を残すのだ。

  詩織

  

《作者より》

短編の中では、かなり気に入った一編です。初出時は40枚で、ここではオリジナル掲載でしたが、これを加筆し中篇化したものがどこかに収録されているはずです。(探してみて分かったかたは教えてください)
――作者はよく『妻の恋人』だの『兄貴の愛人』などというシンプルなタイトルを「わざと」つけます。
「ああ、妻の恋人ね。妻がよその男とデキちゃったんでしょう。よくある話」
そう思われるでしょう。(笑)そうなんですが、それだけではすまないんです。
妻の「恋人」も兄貴の「愛人」も、読者の予想をどんどん裏切るようなトンデモ関係だというのが明るみに出て、最後はぐちゃぐちゃになってしまいます。
この作品も単なる継母と思ったら……。おっとそれ以上言うとネタバレです。(笑)

《初出情報》

『継母(はは)の恋人』…………「小説CLUB」1994年11月号

《書誌情報》

本書は桃園書房より桃園文庫の一冊(ア01-07)として文庫判型で刊行された。
デジタルテキストは発売されていない。





ISBN4-8078-30429-4
2001年6月15日=第一刷発行
発行=桃園書房
定価=600円+税

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