実寸大表紙へ

カバーイラスト 吉田昭夫


背徳の園

官能巨匠5人衆傑作選〜スーパーラブロマン選集

a 18

《収録作品》

綺羅光『魔色の黄昏』
高竜也『欲望のアクメ』
北原童夢『下半身教育指導』
牧村僚『ママ、出ちゃう!』
館淳一『背徳のガーターベルト』


《読者からの解説&感想》

「背徳のガーターベルト」

 離婚をして、夢見山市にある実家に戻った美佑紀は、三十歳にしてはじめて、膣オ ルガスムスを体験した。
 きっかけになったのは、父の書斎に隠されていた一冊の本だった。
 日陰譲一著『背徳のガーターベルト』!
 それまでSMには関心のなかった美佑紀は、次第に日陰譲一の作品に魅かれて行 き、オナニーに耽るうちに、今までにない快感を知るようになる。
 そして父の留守中に、衝撃的な写真を発見した彼女は、失神するほどのオナニーに のめり込んで行く。
 目覚めた美佑紀の前に、父の姿があった。
 父の口から、両親の秘密が明かされて行く……。

   

 作中に、表題と同じタイトルの小説が登場する、入れ子構造になったメタ・フィク ショナルな作品。
 それだけに、作者が自分の作品に課したハードルの高さがうかがえて興味深い。
 日陰譲一の小説は、ストーリーに意外性があり「その意外性がミステリを読んでい るようで、読みだしたら止められなくなるのは当然だった。正直、美佑紀はポルノ小 説がこれほど巧みに構成されたリアリティが横溢するものだとは思ってもいなかった から、ただ感嘆しながら読破していった」と。
 これが決して大袈裟な表現ではないことは、すでに何冊もの館作品をお読みの読者 の方なら、素直に納得していただけることだろう。
 三十歳、離婚歴アリというヒロインの設定や、彼女が次第に快感に目覚めて行く過 程などが丹念に描かれ、一見荒唐無稽に見えるプロットに、奇妙なリアリティを与え ている。
 凡庸な作家が書いたら、噴飯ものにもなりかねないストーリーを、あたかもかくあ るべしという典型のように描ききってしまう作者の力量には、あらためて感嘆させら れる次第である。
 そしてこれは、家族小説でもあるのだ。
 分量的には中篇小説だが、長篇小説に匹敵するくらいに充実した力作!

「パパ、お願い、奴隷にして」  叫んだ。
「奴隷にして、私を犯してッ!」

 日陰譲一というネーミングは、ミステリ作家の日影丈吉さんを彷彿とさせるわね。
 もしかして淳一サマは日影先生のファンだったのかしら?
 それとも、お名前に風情があるから、もじってみただけ?

 詩織(MLメンバー)

《初出情報》

『背徳のガーターベルト』…………「小説CLUB」2000年2月号(確認中)

《書誌情報》

本書は竹書房より竹書房文庫スーパーラブロマン選集の一冊(SL-29)として文庫判型で刊行された。
デジタルテキストは発売されていない。





ISBN4-8124-0723-0
2001年3月6日=第一刷発行
発行=竹書房
定価=648円+税

トップ | 著作リスト2