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カバーイラスト 吉田昭夫


背徳の宴

2000年上半期官能ベスト選

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《収録作品》

綺羅光『嬲られたくて』
由紀かほる『仮面の恥戯』
館淳一『録音する女』
牧村僚『淫血の報酬』
ほか全11編


《読者による解説と感想》

 風俗ライターの堂島彰は、特に美人というわけでもないのに、熟女専門のデートク ラブで働くユキという女性にのめり込んで行く。
 自分でもその理由がよくわからない。
 ある日、ユキとの情事を終えた彰は、彼女のバッグの中で小型の録音機が動いてい るのを発見した。
 何故ユキは、自分との情事の模様を録音したりしているのか?
 ユキの口から、驚くべき真実が語られる……。

   

 しみじみとした味わいの短篇小説。
 その上、ラストにはそこはかとないユーモアが漂う。
 さらに信じがたいことに、この小説には、SMと呼べる場面も、描写も存在しな い。
 そして読後に、ほろ苦い心地よさがある。
 短篇小説の旨味とは、つまりそういうところにあるのだろう。
 官能小説のヒロインといえば、美人というのが相場だが、そうではない女性を愛ら しく見せるところに、作者のしたたかな力量を感じさせる一篇である。

「あの子は他の女には無い何かがあるんだろうな」

 これって、癒し系官能小説?

 詩織(MLメンバー)

《作者から》

 いるんですね、こういう娼婦が。(笑)
 どこから見てもたいしたことがないのに、ずるずると自分からのめりこんでいってしまう。不思議です。
 連絡しなきゃそれっきりなのに、連絡してしまう。
 会うと喜んでくれるかというと、別にそんな気配もない。
「同じ金を払うなら、もっとましな女と……」と思いながら、客で居続けてしまう――。
 そんな経験は誰にもあると思います(ぼくだけかな)。
 そういう娼婦との出会いを、一編の物語にしてみました。

 風俗ライター堂島彰(「どうしましょう」のもじり)は、フランス書院『黒下着の人妻・秘密の倒錯通信』(もとはスポーツ報知連載)で登場して以来、活躍してもらっています(笑)。これが三度目の登場です。

 隠れたテーマは「愛人共有」。
 娼婦愛好とはつまり、ひとりの女を複数の男たちが一時的に所有する“女体シェアリング”の一形態です。
 なぜ男たちは娼婦を好み、娼婦を妻とし愛人とする男がいるのか。所有欲、独占欲をなぜ喪失するのか。
 嫉妬に苛まれながらも妻や愛人を他者に抱かせたがる男たちの存在は、苦痛と恥辱を愛好するマゾヒストと並んで、ぼくにとって生涯の研究テーマのひとつです。

《初出情報》

『録音する女』…………「小説CLUBロマン」2000年7月号

《書誌情報》

本書は竹書房より竹書房文庫スーパーラブロマン選集の一冊(SL-24)として文庫判型で刊行された。
『録音する女』のデジタルテキストは発売されていない。





ISBN4-8124-0656-0
2000年8月4日=第一刷発行
発行=竹書房
定価=648円+税

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