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カバーデザイン 中原達治
カバーフォト  アフロ


秘本 紫の章

官能アンソロジー

a96

《収録作品》

『フェロモン人形』睦月影郎
『あふれる』草凪 優
『歌舞伎町リベンジ』八神淳一
『隣室』庵乃音人
『人妻すとりっぷ』館 淳一
『いざよう二人』小玉二三
『奪い返して』和泉麻紀
『江古田スケッチ Vol.2』牧村僚


《読者からの解説と感想》

待受け中

《作者より》

『人妻すとりっぷ』
デザイナーの雅志が大学の同窓会のあと、友人に連れられていったのは六本木の豪華マンションの一室。そこは銀座のバーのママを引退した女性が、時おり客を招く「プライベートクラブ」。
客の前に現われたサニーというストリッパーを見て雅志は驚いた。彼女はかつて、雅志のデザイン事務所で働いていたアシスタント矢野佐奈によく似ていたからだ。
しかし彼女は友人の妻になり今は子供もいる身。そんな女性がストリッパーになるだろうか。「他人の空似か」と惑う雅志が、翌日、事務所に出ると、何年ぶりかで矢野佐奈が訪ねてくる……。
まあ、お分かりのようにサニーと矢野佐奈は同一人物なんですが、問題は、なに不自由のない暮しをしている人妻が夜毎、男たちの前で裸身をさらしエロティックなストリップショーを演じなければならないかという事情。
その事情を打ち明けてから、佐奈は雅志の前で、彼ひとりのためのストリップショーを演じる……。

最初の舞台となる私的なクラブふう酒場というのは、あちこちに存在するんですね。
正式なクラブというのを経営するとなると、店の賃料を払いホステスを雇いマネージャーを雇いバーテンを雇い、とにかく大変な経費がかかる。しかし自分のマンションで時折、私的なパーティのように客をもてなすのであれば、それは税金がかからない収入になります。違法な「もぐり酒場」とはスレスレですが、それなりの客を集められれば、引退した元ママには格好の小遣い稼ぎになります。
客は領収書を貰えませんが、社用族のなかでも、それぐらいなんとかなるという幹部クラスや自営業の懐の豊かな人物なら、ちょっとした秘密の雰囲気(それこそ禁酒法時代のもぐり酒場=スピーク・イージーのような)を味わえるので、けっこう愛用されるものです。
私は貧乏ですから、もちろんそんなお店の常連ではありませんよ。(笑)ただ、何度か人に連れていってもらったことがあるので、短編の舞台にしてみました。

ストリップというのは著者が大学時代から耽溺したいけない愉しみでして、アイドルストリッパーの登場で「追っかけ」とか「親衛隊」などが登場する以前、ずいぶんあちこちのストリップ劇場にいりびたったものです。
現在は正統的なストリップショーというのはめったに見ることが出来ませんが、作中では郷愁の念をこめて正統的ストリップを描いています。どうぞ文章でストリップ観賞の悦楽を味わってください。(^_^)

《初出情報》

本作品は『小説NON』2011年3月号に掲載されたものです。

《書誌情報》

本書は祥伝社より発行されている祥伝社文庫の一冊(ん 149)として文庫判型で刊行された。
デジタルテキストは発売されていない。





ISBN978-4-396-33735-3
2012年2月20日=第一刷発行
発行=祥伝社
定価=619円+税

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