実寸大表紙

カバーイラスト 吉田昭夫


悦楽の肉宴

'98 ベスト短編官能小説

a07

盗撮された女・・・・・・・・・・・・・南里征典
真昼の淫蟲・・・・・・・・・・・・・・北沢拓也
蕩ける喜悦・・・・・・・・・・・・・・由紀かほる
スパンカーズ倶楽部 - 赤い臀の未亡人・・館 淳一
ほか全12編


《読者からの解説&感想》

 スパンカーズ倶楽部 赤い臀の未亡人

 奈津子が『スパンカーズ倶楽部』を知ったのは、インターネットのサーチエンジンで、好奇心から「スパンキング」で検索をかけた時のことだった。
『スパンカーズ倶楽部』とは、郁子という女性が主宰するスパンキング愛好者実践サークルであり、そこは営利目的の風俗店とは一線を画した、スパンカーとスパンキーのための出会いの場であった。
 興味を持った奈津子は、娘の名前「サトミ」を名乗って『スパンカーズ倶楽部』のスパンキー会員として登録し、以来、幾多のスパンカーたちに尻を叩かれて来た。
 そうして出会ったスパンカーのひとり、倉田が「出張」プレイの相手として「サトミ」を指名して来た。
 永続的なパートナーとめぐり会うためのきっかけとして「出張」プレイを公認して来た郁子ママに送られて、奈津子は倉田の待つシティホテルへと赴く。
 そして……。

   

 スパンキングをテーマにした小説であり、作中、オーバー・ザ・ニー、ペント・オーバー、オン・ザ・フォーなどのスパンキングのスタイルや、多様なスパンカーたちの嗜好なども紹介され、さながら「スパンキング入門小説」の観がある。
 スパンキングをSMの範疇に入れるかどうかは、識者によって様々な意見もあろうが、SMという大きなカテゴリーから独立して、スパンキングのみを愛好する者もいて、これだけで自立したひとつのジャンルと見ることも出来る。それだけスパンキングの世界は深いと言えるだろう。
 熱心な館淳一ファンなら、彼の作品に数多くのスパンキング・シーンが登場することをすでにご存じだろう。
 本作には、いわゆるセックス・シーンもないわけではないが、描写はひどくあっさりとしていて、力点が別のところにあることは言うまでもない。
 もし叶うならば、全くセックス・シーンのない、完全なスパンキング小説を作者に所望したいところだ。
 また、ここに登場する『スパンキング倶楽部』の運営方針が徹底していて、もしかしたらそんな倶楽部が実在するのではないかと錯覚してしまいそうだ。
 こうした「理想の秘密倶楽部」の設定がリアルであることも、館作品の大きな魅力のひとつである。
 ラストはスパンカー、スパンキーにとっての桃源郷ともいうべき展開となり、ひときわ「心あたたまる」結末を迎えるのも、ファンにとってはうれしい。

 あんなに泣いて許しを願った苦痛なのに、すぐにまた、その経験を味わいたくなった。
それはセックスとはまったく違った感覚だった。

 ところであなたは、スパンカー? それとも、スパンキー?

 詩織(MLメンバー)

《作者から》

インターネット上に見つけたスパンキング愛好家のサークルに好奇心を抱いて、見ず知らずの男たちに臀をさらけ出して叩かれる未亡人の愉楽の記録です。
早くこういうサークルが出来ないものだろうか。え? もう出来てるって? 知ってたら作者に教えてね。さっそく入会しますんで。(^_^;)

この短編は締め切り当日まで何のアイデアもなくて焦っていたときに、ふいに天啓のように閃き、一夜で書き上げたものです。
自分ではおおいに気にいって、これを発展させた長編を――と考えて翌年に『倒錯未亡人』(フランス書院)で実現させました。
これが、営業的にはどんな結果に陥ったかは、そちらの解説で読んでください。

《初出情報》

『スパンカーズ倶楽部――赤い臀の未亡人』……『特選小説』1998年11月号

《書誌情報》

本書は竹書房より竹書房文庫ベストオブスーパーラブロマン選集の一(SL-8)として文庫判型で刊行されました。



ISBN4-8124-0444-4
1998年12月17日=第一刷発行
発行所=竹書房
定価本体619円+税

トップ | リスト2