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カバーイラスト 山本タカト


平成人妻倶楽部

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《収録作品》

『黒い下着の少年騎乗』……雨宮 慶
『新妻 玩具の淫臭』………藍川 京
『倒錯姦 母乳の味』………足達 瑤
『二度目の強制射精』………氷室 洸
『巨乳の初体験指導』………睦月影郎
『真夜中の口内蹂躙』………塚原尚人
『恥辱の実験動物』…………風間九郎
『相姦 女装肉人形』………館 淳一

《読者からの解説&感想》その1

  「女装肉人形」だなんて・・・まずタイトルにそそられました(笑)

 ある大学生と父、そして父の再婚相手の義母とのお話。  息子は自分の父と義母が知り合ったきっかけを、ある日父と義母のPCに収められていたデータから知ってしまう。
 なんとそれはインターネットで行われる「未亡人オークション」というものなのです。
 入札から落札まで、このシステムがなかなか面白い!
 他に「フリーマーケット」などもありました。詳しいシステムは読んでからのお楽しみです。
 息子が盗み見しているデータの内容が細かく書かれていて、私もその場でPCから盗み見している気分になりました。
 このオークションが珍しいやら、感心するやらで、興味津々で読みました。(笑)
 後半部分は義母と息子のからみですが、タイトルどおり女装にさせられます(笑)
 短い文章の中に2パターンのストーリーが楽しめて面白かったです。

 メグ(MLメンバー)

《読者からの解説&感想》その2

 ふと覗いてみた義母のパソコン。
 ファイルの中には、驚くべき手記が記されていた。
 未亡人オークション!
 父は若くて魅力的な義母をパソコン通信を通じて知り合った「大魔王」という人物 の主宰するオークションでゲットしたらしい。
 赤裸々な手記に興奮した尚人は、傍らに無造作に置かれた洗濯物の中から、義母の スリップを取り出し、それを身につけてみた。

   

 未亡人オークションの手記と、童貞の青年が女装に目覚める過程が交互に描かれ、 禁断のラストに向かって昇りつめていく構成が見事な作品。
 パソコン通信やインターネットは、作者が早い時期から取り上げ、効果的に物語の 触媒として起用して来たツールである。それが単なる出会いのきっかけを作るだけで なく、それを利用した様々なドラマやチャーミングなトリックの小道具となるのだ。  今回はそれが、家族の絆を強めるのに使われている。
 全世界へ繋がったコミュニケーション・ツールを使って出会うのが、もっとも近い 他者・もっとも遠い隣人「家族」であるという構図は、本作のみならず、多くの館作 品に見受けられる特徴になっている。
 うがった見方をするなら、コンピュータとは、自分の心の奥底を覗く窓であるのか も知れない。パソコン……、パーソナル・コンピュータという名称の「パーソナル」 に込められた意味合いの深さを、あらためて感じさせられた。
 そういえば、人気ドラマ『渡る世間は鬼ばかり』の中でも、同居している親子が、 インターネットの掲示板を通じてコミュニケーションをはかるという展開があったけ れど、現代とはつまり、そういう時代なのかも知れない。
『遠い接近』というのは松本清張の推理小説のタイトルだが、もし巨匠が生きてこの インターネット社会を描くとしたら、どんなトリックを考案しただろう?
 ま、そんな妄想はともかくとして、個人的にいちばん楽しめたのは、主人公の尚人 クンが美しい義母の下着(「美しい」は「義母」と「下着」両方にかかった形容詞で す。念のため……)を纏う場面である。

(うーん、すべすべして、こりゃ気分がいいや)
 肌触りがいい。それにレースの飾りの部分がなんとも愛らしく女らしい。つまり女 らしさが物質の形をとって肌の上から自分を包んでいる。

 そうそう、キーポイントは皮膚感覚ってことだよね。

 詩織(MLメンバー)

《著者から》

 本書の表紙には「官能作家8人の競艶書下ろし」と書かれていますが、ぼくに関してはウソです。(笑)
 この作品は『未亡人売ります買います』という題で、『小説・午後の人妻熟女 vol.3』(桃園書房『ヤングジャンボ』増刊、97年5月刊) に掲載されたものです。

  「売ります買います」というのは人身売買を思わせる過激なタイトルですが、オークションとねるとん方式をミックスした“集団お見合い”だと思ってください。伴侶を求める中年男性と未亡人の、まじめで真剣な配偶者探しです。(笑)
 考えてみると、ぼくは女性のオークションが好きですね。『美雪・魔性の遍歴』(フランス書院)以来、何作もの作品に登場します。
 個人の愛玩するべきものが大勢の目に晒される――それがオークションの本質。そのモノが女性なのです。
 サディズムは対象をモノ化し、マゾヒズムは自己をモノ化される、そのことに深い愉楽を覚える嗜癖ですから、オークションはすぐれてSM的な行為だとは言えますまいか。
 この作品を書く少し前、つきあっていた女性が集団お見合いパーティに出席した体験を話してくれて、女性参加者の微妙な心理(「自分が売り買いされる」という汚辱感や屈辱感に耐えきれずトイレで泣く女性もいるとか)を聞いて、たぶん、この短編の核が出来たのだと思います。

 94年から、ぼくは睦月影郎さんが主宰する「官能倶楽部」という同人集団に参加しており、ここに収録されている作家のうち睦月、藍川、安達、塚原(2000年に急逝)、風間氏が同人でした。また雨宮慶氏とは作家仲間では一番親しくしていた関係でした。また氷室洸氏とも飲み会やパーティの席で顔を合わせよく話しています。つまり全員が顔見知り。一種の同人誌のようなものですね。
 作家と言っても官能作家はあまりお天道さまの下に出てくる存在ではありません。表の顔を隠して書かれている人もまた多いので、文壇といったような交流の場というのは存在しません。ですから、こういう顔見知りだけが集まって作ったアンソロジーというのは、とても珍しい。ぼく個人としてはなかなかのレアものです。(笑)

その後、同人の一人だった矢切隆之さんが亡くなられたのを機に99年4月、ぼくや藍川京さんは『官能倶楽部』を離れました。睦月影郎さんとの友情は続いています。

《初出情報》

『小説・午後の人妻熟女 vol.3』(桃園書房『ヤングジャンボ』増刊、97年5月刊)……『未亡人売ります買います』(改題)

《書誌情報》

本書はマドンナ社よりマドンナメイト文庫シリーズ(た10-1)として文庫判型で刊行された。
2008年、二見書房より『人妻たち』と改題、著者を一部変更して復刊された。





ISBN4-576-97083-6
1997年7月25日=第一刷発行
発行=マドンナ社
発売=二見書房
定価本体562円+税

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