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カバーイラスト 新井田 孝
カバーデザイン 井上則人デザイン事務所


ロリータの鞭

〜禁忌の欲望短編集〜

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《収録作品》

『倒錯のセーラー服』
『女教師のいるアトリエ』
『ロリータの鞭』
『アマゾネスの蜜』
『ヴィーナスの手錠』
『クレオパトラの夢』

《読者からの解説と感想》

今日、書店で「ロリータの鞭」を見つけてびっくりしました。すごく懐かしくて。
今でもちょっと倒錯気味なのですが、その始まりはこの本だったのかもしれません。高校生のころ、学校の近くの本屋さんでこの本を見つけました。SMぽい雑誌のグラビアを立ち読みしたりしていてSMにちょっと興味があったのですが小説は初めてでした。どきどきしながら買って帰ってこっそり読みました。

もっとも当時はM気なんてあるとは思わず、買ったのも本のタイトルを『ロリータに鞭』と読み間違えたせいでした。大人が読む本でこのタイトルなら同世代の子が出てくるのかな?と思って。なので、読んで男のほうがMで最初はがっかり。だけど読んでいくうちにどきどきしてきてなんとなくいけない気持ちになったのを覚えてます。それでも男だしいじめるほうが、などと甘美な気分を打ち消してみたり、たまに責められるのを想像して欲情してみたり、いけない感覚だと反省したり。トランプを切って赤だったらSの妄想で黒だったらMの妄想をしてみたり。それで、Sの女の人に出てきたカードの数字がこれこれだったらこんなことするわよ、3枚引いてごらん、あなたがひいたのよ、どれからしようかしら……と責められるのを想像してみたり。

二十代になって、やっぱSに、と思ってはいたけど、SM雑誌の女王様の写真や専属奴隷募集という単語にドキッっとしたり。あの本がきっかけ?いけない感覚が身についちゃったんじゃ?などと思い悩んだり。もっとも二十代後半から、SMクラブで実際に責められてみたり、ストリップやSMのショーを見て、ああ、自分は女の子が責められているのを見て(あるいは読んで)欲情はするけど、奥手でリードするたちでないし、むしろリードされたがっていると思うようになりました。じゃぁMかというとそれほどでもなく、ののしられたりいじめられたいわけでもない、ちょっと女の子のほうが強くて、リードされるような感じでいたずらされて抱きしめられたいみたいな感じが好きなのかなと。それで、なんとなく、あの本ってそういう雰囲気だったよね、と思い少し懐かしくなっていました。 SM的な願望ではなくなっている気もするので「そういう雰囲気だった」と思うのは変な気もするのですが、なんとなく。

もう一度読んでみたいかなとは思っていたけど、ネットでも見当たらずあきらめていました。それで、今日、本屋さんで見つけてびっくり、早速買わせていただきました。とっても楽しみです。ちょっとうれしくなり、趣旨違いですが書かせていただきました。

#ちなみに、読む範囲ではSなので「牝奴隷美少女・恥辱のセーラー服」とかも好きです。
#女の子と男の間の通じ方が好みで、それでいて甘美でつやっぽくて 好きです。

最後まで読んでいただきありがとうございます。                                       Tea

《作者より》

この短編集については、基本的にNo.22『ロリータの鞭』の復刻版ですので、詳細はそちらを読んでください。
この本が復刻される経緯とそれについての感慨は本書の末尾に「あとがき」として付しました。
(考えてみれば、生まれて初めて書く著者のあとがきでした)
ここにその部分のみ転載して、作者からの言葉とします。

[あとがき]

 キリリとした強い女。
 男に頼らずともたくましく生きてゆける女。
 自分の快楽のためなら男ぐらい殺してしまう女。
 本書はそういう輝ける女たちへのオマージュとして編まれた。
 あなたがシナシナ、フニャフニャ、クネクネ、ベタベタして、男に頼りきりの女が好きだとしても、ちょっと目をとおしてくれたら嬉しい。
 ひょっとしたら「強い女」に憧れている部分が眠っていたことに気づくかもしれない。さらに、あなたのなかに「女であるもうひとりの自分」が眠っていたのを発見するかもしれない。そうなってくれたらますます嬉しい。
 本書に収録された『クレオパトラの夢』以外の五作品は、1986年〜87年にかけて『SMスナイパー』誌に発表されたもので、87年秋に『ロリータの鞭』として刊行された。
 今もそうだがSM文学界では「男が女を支配する」というパターンが圧倒的に優勢で、そういう情勢のなかで、その逆をゆく本書のような作品が刊行されたことは、今考えると奇跡としか思えない。
 当然ながら『ロリータの鞭』はごく少数の人の目に触れただけで多くは断裁されて、跡形もなくなってしまった。担当者は上司から叱られ、以来、作者はその出版社から本を出してもらえなくなった。
 それでも『ロリータの鞭』のことを覚えていてくれる人がいて、時たま「あの本はどこかで手に入れられますか」と問いあわせが来る。最近は私のホームページにある過去の作品リストを見て、「こういう作品があったのですか。ぜひ読んでみたいものです」というメールも頻繁にいただくようになった。
 作者としては、どれも渾身のエネルギーをこめて書いた、思い入れのある作品である。それらが二度と誰の目に触れないまま消えてしまうのはなんとしてもくやしい。ついには「タダでもいいから読んでもらおう」と、自分のホームページに掲載してやろうと計画していた。
「そういう作品があるのなら拝見したい」と言ってくれたのは太田出版の松村由貴氏だった。一読して「これは復刻する価値があります」と決断され、書き下ろし作品『クレオパトラの夢』を加えて太田新書で刊行してもらえることになった。
 ここに二度目の奇跡が起きた。十数年の時を経て眠り続けていた作品に日が当たるというのは、ほとんど諦めていただけに感慨無量というしかない。
 これらの作品の価値を認めてくださった松村由貴氏と株式会社太田出版に末長く神仏の加護のあらんことを。

二○○○年六月 高田馬場の仕事場にて           館 淳一

《初出情報》

この作品はミリオン出版編の短編集『ロリータの鞭』の改訂復刻版である。
初出についてはそちらを参照されたい。
ただし、末尾の『クレオパトラの夢』だけは未公開書下ろし短編である。

《書誌情報》

本書は太田出版よりOh!ta太田新書の一冊(A0120)として文庫判型で刊行された。
デジタルテキストは発売されていない。





ISBN4-7783-0120-X
2006年7月19日=第一刷発行
発行=太田出版
定価=880円+税

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