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カバーイラスト 石川五郎
カバーデザイン ヤマシタツトム


母の寝室

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《読者からの解説と感想》

 館ワールドの大きな柱のひとつである「母子相姦」を描いた作品。
 それだけでなく、本作にはこれまで館ワールドで描かれてきた様々な事象や登場人物が有機的に絡み合い、幾筋もあるパラレルなストーリーラインのひとつに決着がつくことになる。長年館作品に親しんだ読者には、感慨深い作品となった。
 もちろん初読の読者にも確実に楽しめる作品であることは言うまでもない。
 まず冒頭で、本作の趣向が提示される。母親と実の息子のセックス、それを見たがっている謎の男の存在。館作品としてはかなりストレートなお題提出だが、もちろんそれからの展開が一筋縄でいくはずがない。
 物語はまず、母親が息子の性的遊技の場を窃視するところから始まる。息子の相手は、なんと下着女装をした同級生の少年だったのだ。この導入部から、世界がゆるやかに歪みはじめる。そして相手の少年の母親に密かに相談を持ちかけたヒロイン比沙絵は、その魅惑的な熟女の巧妙な導きによって、隠微なレズビアンの世界へとはまり込んでゆく。

 チュウ。
 乳首を吸われた。
「あうう……!」
 びびッと強力な電流を流されたように全身が躍動した。背がシーツの上でのけ反った。噛まれると脳が痺れたようになった。
「感度がいいのね、思ったとおり……」
 囁くようなえつ子の声は淫らな響きを帯びている。唇が耳たぶを咥え、舌が耳たぶの内側をチロと舐める。
「あーッ!」
 大きな声をあげて裸身をのけ反らせた。そこが性感帯であることを夫の晴之は死ぬまで知らなかったから、一度もそんなことをされたことがない。
                        (第四章 誘惑のランジェリー)

 一方、息子・悠也の方は、級友・史明に教えられたURLを開いて、禁断の母子相姦の世界を知る。ここで、母子相姦はキリストと聖母マリアの「聖母子像」のイメージに重ねられ、タブー意識を超越してしまう。いや、ある種の人にとっては、まさに神への冒?と感じられ、さらなるタブーへと封じ込められてしまうだろうか?

 まず現れるのが、幼子イエス・キリストを抱く聖母マリアの絵。ラファエロ風のタッチだ。
 ただ、よく見ると幼子のはずのイエスはかなり成長した美少年で、母に抱かれて乳房に吸い付きながら、下半身ではペニスが勃起している。慈愛に満ちた聖母の表情はやや妖しい微笑をたたえ、彼女の左手はその股間を優しく撫でているようだ。
                         (第七章 衝撃のネット画像)

 さらに悠也は、何者かによって送りつけられたDVDによって、熟女を調教するSMの世界を垣間見ることになるのだ。
 このDVDに登場する縄師・恋縄亭幻鬼のモデルは、本作が発表された前年に亡くなられた明智伝鬼氏であることは、マニアなら読んですぐに理解し、ニヤリとされたことだろう(この部分は明らかに、偉大な縄師への追悼となっている。合掌)。
 こうして巧妙な罠にはめられてゆく母子は、やがて自ら進んで深い官能の世界へと足を踏み入れてゆくのである。
 以下、若干のネタバレになるけれど、あえて書かせていただく。
『美母は肛虐肉奴隷』に登場した真坂五郎は、本作では夢見山市のドンとして君臨し、貫禄のあるところを見せつける。一方、『令嬢姉妹 愛奴創生』に登場した「御前」こと猪俣真之介は、本作で大往生をとげることになる。
 館作品では、狂言廻しとして活躍する猿田探偵のように、複数の作品に登場するキャラクターもいるが、真坂や御前はそれとは異なり、明らかに生身の人間のように時間経過を背負った登場人物としてわれわれの前に立ち現れる。そしてその去就が描かれることによって、冒頭に記したように、本作品は往年の館ワールド・ファンには感慨深い作品となったのである。
                                 詩織

《作者より》

T夢見山サーガ″です。
母というのは未亡人です。当然熟女。高校生のひとり息子――悠也がいます。
喫茶店を経営する母親――比紗絵の悩みは、悠也が親友の美少年と「ただならぬ仲」になっているのではないか、ということです。まあBLですね。(笑)
そこで豪華マンションに、美少年――史明の母親を訪ねて相談します。
「それでは本人に聞いてみましょう」と答えた向こうの母親――えつ子は、美少年の息子が帰ってくると自分の寝室に呼び寄せ、詰問します。比紗絵は未亡人のすすめに従ってクローゼットの中に隠れて母と子の対話を盗み聞きします。
ようやく息子がゲイではないという確証が得られたものの、寝室の雰囲気はだんだん妖しいものになってゆきます。
「いったい何をどうやっているのかしら?」
好奇心に駆られた母親はドアの隙間から寝室のなかで行われていることを覗き見するのですが、彼女の目に飛び込んできたものは――それはそれは、淫らなものでした。
おしまい。(笑)

「おお、これは『美母・童貞教育』の流れだな」と思ってくださるかたは鋭い。
妖艶な美女二人が繰り広げる濃厚なレズ愛戯。
若い牡獣と少女と見まごう美少年のBLシーン。
いきなり登場する真坂という魁偉な男(覚えてる人は覚えてます)。
そして猪俣真之介という謎の老人。(上に同じ)
恋縄亭幻鬼なる調教師。(初出ですね)
『聖母の雫』という近親相姦実践者たちの集まるサイト。
謎は謎を呼び、昂奮は昂奮を呼び、絢爛豪華な母子愛の成就するラストシーンになだれこみます。
いいのか、こんなに煽って。(笑)
ひさびさに300ページ(原稿用紙500枚)を突破した超大作をお楽しみください。
ただ一つ、困ったことが……。
石川五郎さんが描いてくれた表紙の美女は少女っぽいですが、作品のなかには登場しないんですよね。(^_^;)
これまでは「マドンナメイト文庫」に収録されるべき傾向の作品なんですが、なぜか「二見文庫」というシリーズに収録されました。

《初出情報》

この作品は未発表・書き下ろし作品です。

《書誌情報》

本書は二見書房より二見文庫の一冊(シリーズ番号なし)として文庫判型で刊行された。
デジタルテキスト電子本は二見書房「おとなの本屋さん」からダウンロード購読可能。





ISBN4-576-06059-7
2006年5月10日=第一刷発行
発行=二見書房
定価=686円+税

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