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カバーイラスト 石川五郎


美人オーナー

密室監禁

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《読者からの解説&感想》

「何か困ったことが起きて、手に負えなくなったら、あの人に相談してみるがいい」
 父の跡を継いで不動産管理会社の社長となった松岡慎一は、ふと父の言葉を思い出してランジェリーショップ『ソワレ・ド・ソワ』の美人オーナー矢野笙子のもとを訪れた。意識不明となった経理担当者しか知らないパソコンのパスワードがどうしてもわからず、窮地に立たされていたからだ。
 慎一の話を聞いた笙子は、店の奥にある試着室に彼を招き入れた。
 悩ましい下着姿になった熟女は、熱臘を自らの肉体に垂らすように慎一に言った。
それが彼女の奇妙な占い方法だった。SMプレイによるオルガスムスの瞬間、笙子は透視能力を発揮する特殊能力の持ち主だったのだ。
 慎一は笙子の不思議な能力に感嘆すると同時に、その女性としての魅力にも強く惹かれた。
 それから三か月後、笙子は何者かによって誘拐され、拉致監禁された。彼女を待ちうけていたのは、同性からの想像を絶する拷問だった。
 一方、音信を絶った笙子の行方を不審に思った笙子の姪・芳賀悦美は、慎一に相談を持ちかけた。
 自分にも笙子同様の透視能力があることを告白した悦美は、慎一の前に眩しい裸身を晒し、言うのだった。
「叔母さんにしように、私の肌に臘を垂らしてください」
 こうして世にも奇妙な霊感捜査が開始された。
 そして……。

「見ろ、犯され具合を。これでおまえはおれの女だ」
 そんな言葉が考えもなく口から飛び出した。
 後ろ手に縛られ猿ぐつわを噛まされた全裸の娘は、年上の、性的な技術に習熟した中年男の膝を跨ぐ姿勢で彼の肉根をふかぶかと膣奥まで打ち込まれている。鏡に映る苦悶する姿は、臘燭の明かりに照らし出され、この世のものとも思えないぐらい妖しい美しさだ。
 (おれは今、誰も犯したことのない部分を犯している)
                 (第十一章 サーモン・ピンクの膣口)

 タイトルを見て、単純な監禁モノだと思ったら大間違い!
 これは数ある館作品の中でも、異色のエロティック・サスペンス小説である。
 ある意味、館作品のすべては異色作であり、常に新たな官能の地平を開拓する作者の意欲作でもある(その上、驚くべきことに駄作がない)のだが、本作はそれらの中でもひときわ凝った趣向が盛り込まれている。
 超能力を扱った作品は、長篇『姉と弟 女体洗脳責め』(のちに『美人教師と弟』と改題)をはじめとして、可憐な中国人気功師・李明琴が活躍する短篇「淫欲輻射線」(『妻の調教』収録)「秘術・不倫指南」(『愛淫』収録)など、館ファンならすぐに思い浮かべることが出来るだろうが、本作ではその超能力が女性のオルガスムスと重ねられ、単なる超能力モノではない、官能小説ならではの魅力に溢れているのだ。
 イクという感覚は、どこか地上の重力から解き放たれて、宇宙そのものと一体化するような独特な浮遊感があるように思える。それを文章化するのは不可能に近いだろうが、本作ではそれが、ある種の臨死体験、そして幽体離脱のイメージと重ねられることによって、即物的なセックス描写を超えた神秘性をともなって読者に迫って来る。
 物語は監禁された美人オーナーと、彼女の消息を探る、いわば探偵役の二人との話が平行して描かれ、やがてひとつに融合されて行くのだが、ストーリーのヤマ場と性的エクスタシーが同時進行する館作品特有の快感は、本作でも十全に発揮されていることは言うまでもない。
 また、拷問シーンでは、鍼灸の技術を応用した壮絶な責めの場面があり、そのテの趣向が大好きな読者にはたまらない魅力だろう。そして可憐な女子大性がマゾヒストとして目覚めて行くのと、徐々に超能力が発揮されていく過程がシンクロするところは圧巻としか言い様がない。
 美人エスパーが活躍するSF小説としては、筒井康隆の七瀬シリーズ(『家族八景』『七瀬ふたたび』『エディプスの恋人』)が印象深いが、本作はそれに比肩しうるSM超能力小説の傑作である。

                                詩織

《作者より》

書き下ろしです。
ちょっと奇妙な味のサスペンス・ミステリー・SF・SM。(^_^;)
ヒロインはランジェリー・ブティックを経営する美人マダム。
ホント、下着屋さんのマダムというのが好きなんですね。(^_^)

赤坂にあるランジェリー・ブティック『ソワレ・ド・ソワ』がテナントとして入ってるビルのオーナー若社長は、自分の父親と彼女が何か関係があったと思っている。
美人熟女は父親の愛人だったような気もするがそうではないような気も。
どういう関係だったのか明かさないまま、父親は死ぬ。その前に息子に「会社で困ったことがあったら、彼女に相談しろ」と言い残して……。
そうしたら、本当に困ったことが起きてしまった。パソコンを管理している人間が意識不明の重体になってしまったので、セキュリティロックのかけられたパソコンのファイルが開けなくなってしまったのだ。
本人以外誰も知らないパスワードは12桁の暗号。それを破ることはまず不可能。
これはもう、管理者の悪夢だ。
その時若社長の頭に閃いたのが「彼女に相談しろ」という亡き父親の言葉。
半信半疑、若社長はマダムに相談します。彼女は承諾し、ある儀式への参加を彼に要求する。
それがすげーエロでSMな儀式。(笑) マダムは特異な状況で特異な能力を発揮させる、一種の超能力者だったのだ。(*_*;)

そのあとを書いてしまうとつまらなくなりますが、まあ最初の状況設定と説明の部分が長いので、退屈に思えるかもしれないので、その部分を説明しておきました。

魅力的な熟女の虜になった若社長はマダムと一夜を共にして、彼女の秘密を教えられる。
ただ「よほどのことがない限り、私には近づかないで」という約束なので、「何か、よほどのことが起きないか」と心待ちにしている。ダメだろ。(笑)
そうしたらマダムの姪の美人女子大生が駆け込んできた。
「叔母さんが誘拐されたんです!」
確かに誰かが誘拐したようだけど、誰が何の目的で誘拐したのかサッパリ分からない。
若社長、困ってしまいます。惚れた女性が危機に晒されているのに助ける術が無い。
その時、ハッとひらめいた。
「ひょっとしたら、この子も叔母さんの能力を受け継いでいるのでは?」
しかし相手は処女。ワイセツなある儀式を彼女にさせることができるだろうか?
姪はしかし乗り気になるのだ。「叔母さんのためならどんなエッチなこともします!」

というわけで、片方では悪人たちが監禁した熟女マダムを相手に性的拷問の嵐。
痛いの嫌い、という人は気絶しそうな鍼を使った拷問が登場します。痛いよ〜。(*_*;)
もう一方では若社長が処女女子大生を相手にサディスティックな儀式を展開。
さあ、若社長と処女女子大生コンビは熟女マダムを救えるか?

うーむ、ぼくには珍しくほとんど内容を書いてしまったな。(笑)

あとは読んでみてのお楽しみです。

ちなみに、この作品中で扱われたある種の能力は、かつてぼくが一部の翻訳と全体のリライトを担当した下記の文献に依っています。決して荒唐無稽に考え出したものではありません。極めて科学的なデータに裏付けられた現象です。
参考文献として挙げるのを忘れてしまったので、ここで紹介しておきます。

『マインド・リーチ』(ハロルド・パソフ、ラッセル・ターグ共著 猪股修二訳。集英社 78/2)

超常現象学の世界では知る人ぞ知るの貴重な文献です。ホント(笑)。
アマゾンのユーズドでもそうとうな高値がついてしまいました。復刊運動も起きてます。それほどの稀書、いや奇書か。(笑) CIAはこの書を読んで驚愕し、陸軍内に機密部隊を創設し、パソフらは社会の表面から姿を消しました。『スターゲイト作戦』という諜報計画が動きだしたからです。
この能力を持つ人間を集めたら、どんな戦争にも必勝間違いなし。米ソが死に物狂いになって開発にしのぎを削った、その原点の書が『マインド・リーチ』なのでした。 『Xファイル』の多くのエピソードもまた、この『マインド・リーチ』に拠っているのは明らかです。
もし興味をお持ちのかたがおられれば、下記の文献も読んでみてください。

『スターゲイト〜CIA諜報計画』(ディヴィッド・モアハウス、大森望訳 翔泳社 98/3)

《書誌情報》

本書はマドンナ社よりマドンナメイト文庫シリーズ(た1-43)として文庫判型で刊行された。
他の媒体では発表されていない。





ISBN4-576-05151-2
2005年10月10日=第一刷発行
発行=マドンナ社
発売=二見書房
定価本体695円+税

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