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カバーイラスト 松永けんじ
カバーデザイン 長谷川正治


媚肉の報酬

美女の特別肉奉仕勤務

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困ったときに電話一本で駆けつけてくれる
便利屋会社「なんでもボーイ」に勤める千京太。
都内のマンション『カーサ・マロニエ』に住む3人の美女と
仕事をとおして知りあううちに、
淫靡な世界に足を踏み入れていく。
童貞の若き欲情をその秘園で受け止める美貌のОL、
恥ずかしい格好で写真を撮られて、
悶え狂う妖艶な若妻。
淫らな欲望器官で肛門を塞がれて
肉地獄を味わう処女……。
3人の淫女が織りなす、めくるめく官能の世界。

《読者からの解説と感想》

 便利屋『なんでもボーイ』の派遣員・京太はまだ童貞だった。
 その日、AV機器の設定のために訪れた夢見山市のマンション『カーサ・マロニエ』
 四〇一号室で彼を迎え入れたのは、オフィスでもないのにOLの制服を着た魅力的な女性・エミだった。ミニのスカートの奥に、ガーターストッキッグと薄い深紅の下着をつけたエミは、その一室を上司との情事に使用していたのだ。
 作業を終えた京太に、エミはさらに意外な仕事を依頼した。
 デッキにからんだビデオテープを取り出してほしいというのだ。そのテープには「エミのオナニー」というタイトルが貼られていた。
「私の秘密を知られちゃったから、そのぶんお礼をするわ」
 美しい娘はOLの制服のスカートをたくしあげた。
 こうして思わぬかたちで京太の童貞喪失はやってきた。
 今まで女性に縁のなかった京太に、急に運が向いてきたようだ。
 五〇三号室の若妻・紀美子は、デジタルカメラで自分のヌードを撮ってほしいと言う。
 そして五〇六号室の女子大生・まゆかは……。
(今度はどんなお礼をしてもらえるかな……)
 マンションのドアの前に立つ京太の胸の鼓動は激しくなるばかりだ。

 仕上げは両方の足首に縄をからめてきっちりと揃えるようにして縛りつけることだ。
その縄尻を蛇口の根元に結わえ付けると、まゆかの自由はいっそう制限される。
「では水を入れるぞ」
 シャワーヘッドからややぬるめにした湯を出して、高い位置のフックにかける。湯はしぶきとなってまゆかの全身に当たり、肌と水着を濡らしていった。髪も濡れそぼって頬や額にべったりとまとわりつき、凄みのあるエロティシズムが浴槽のなかに生じた。
(これは……濡れた欲情だ!)
 スクール水着の布地が濡れて、水滴を玉にして弾き返す健康な肌に吸いつくようにまとわりつくと、そこには不思議と妖しい美しい姿態が悶えている。
                 (第三章 女子大生まゆか・緊縛の誘惑)

 便利屋というと、昔ながらの職種という感じだが、現代の便利屋は複雑になったAV機器の設置や修理など、時代の先端を担うエキスパートといった趣きがある。そんな現代的な便利屋の派遣員の若者を主人公とした、性的遍歴の物語である。
 全体は三つのパートに分かれた連作形式になっていて、それぞれの章に様々な趣向が凝らされている。このスタイルは『熟女狩り』など、近年の作者が好んで用いる形式であり、主人公が外見的、性格的に冴えない男性であるところも共通しているが、あえて冴えない男を主人公にすることで、男性権威の失墜と不況にあえぐ男性諸氏にささやかなエールを送っているように思えるのは、深読みのしすぎだろうか?
 制服OLとの甘美な初体験を描く第一章、デジカメを小道具として効果的に使い、セーラー服姿の若妻とのレンズ越しのセックスから、濃厚な結合へと向かう第二章も楽しいが、なんといっても圧巻なのはヴォリューム的にもいちばん長く、内容的にも充実した第三章である。
 自縛プレイにはじまり、じらしじらされの心理作戦から、薄皮を剥いでいくように快感が高まっていく過程、その描写に、身も心もトロトロになって行く。

                             詩織

《作者より》

 便利屋、という職業に興味を抱いたのは、テレビのニュースショー番組で時折り、便利屋の特集をやっていたのを見てからでした。
 そのうち、ある事件が起きて、ぼく自身、便利屋に頼んでさまざまな事態の処理をしてもらうという体験をしました。
 その時、「これは大変だけど面白い職業だ」と実感したのです。
 とにかくいろんな依頼が舞い込むのです。
 軒先に出来た蜂の巣を捨ててくれというのやら、結婚式に友人知己になりすまして出席してくれ、ストーカーの正体をつきとめてくれ、墓参の代行をしてくれ……。
 時には私立探偵のようなことまでやってしまいます。
 まあ、だいたいは引っ越しの手伝いみたいなものですが、それでも毎回違った依頼人の、違った内容の仕事を引き受けるわけで、いやおうなく依頼人のプライバシーに踏み込んでいってしまう部分が多いのです。
 他人の秘密に鼻を突っ込むことが好きな作者にとって、これは魅力的です。(笑)
 自分で便利屋を頼んだとき、そこにかかわる人々というのも、面白かったんですよ。
 老若男女、いろいろ個性性格によって得意技がある。
「こういう問題なら、こういう人」と役割分担ができているんです。
 たとえばアンテナ設置であれば、電子的な知識があって高所恐怖症でない若者とか。猫を探すという仕事は、猫のように身の軽い人とか。
 たとえばぼくが便利屋に就職するとしたら、どんな役どころだろうか、などと一人勝手に想像して喜んでいました。(笑)
 男性主人公がいろいろな女性と交渉をもつ設定で連載を、と雑誌編集部に頼まれて、まず最初のシリーズでは家電量販店のパソコンサポートマンを起用しました。これもいろんな環境の家庭に入ってゆく仕事です。
 その時は体重百キロの毛むくじゃらデブくんという設定。これは作者の知ってる独身男性がモデル。
 この作品ではまったく反対の体格個性の青年を主人公にしました。
 ある職業が、それに従事する人を強く鍛えてくれる、ということはあるものです。
 便利屋という、語感から、軽視されがちな職業でありながら、主人公はわがままな顧客に翻弄されつつ、だんだん強く鍛えられてゆく物語は、こうして始まったのです。
 

《初出情報》

『なんでもボーイ千京太シリーズ』…………月刊誌『ガツン!』(KKベストセラーズ)
                    2001年9月30日号〜2002年9月号まで連載

《書誌情報》

本書はKKベストセラーズよりベストロマン文庫の一冊(BR-19)として文庫判型で刊行された。
なお、「音訳図書」として女声による朗読CD版が発売されている。
詳しくは『音訳図書』リストを参照。





ISBN4-584-35119-8
2002年9月15日=第一刷発行
発行=KKベストセラーズ
定価=533円(税込)+税

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