実寸大表紙へ

カバーイラスト 佐藤与志朗


美人助教授と人妻

倒錯の贄

113

キレた同級生たちが獣となり襲いかかる――。
拘束され肉洞、口腔、菊座に禍々しい肉欲器官をねじこまれ、
奴隷として調教された、女子大生のあの時。
被虐という倒錯した悦楽に目覚めさせられた香澄はいま、
自らの肉体を絶頂に導いてくれる“加虐者”を求めて……。


《読者からの解説&投稿》その1

 性風俗関連の資料を集めた図書館にある女性が現れて、「フィスティング」「調教」「プロ」の3つのキーワードを検索するところから始まります。
 そして見つけたのが ある青年調教師の記事。
 これがどういう風に展開していくのか、かなり読み進めないとわかりませんでした。
 そしてタイトルの「美人助教授」と「人妻」はどこで出てくるのだろう?・・・と(笑)
 オープニングの場面から いきなり変わって、大学生の部屋が舞台になっています。
 男3人と女1人(香澄)の短歌を愛好する大学生たちがそのうちのひとりの男性の部屋に集まって談義をしていました。
 でも あることがきっかけで 男3人は香澄を襲ってしまうことに。。。
 男3人はSM趣味を持ち、香澄は処女。その処女の香澄をいきなり自分たちの奴隷にしてしまおうというのです。
 その凌辱は2日間延々と続けられました。処女を奪われアナルセックスまで・・・
 でも香澄はオルガスムスを味わってしまって・・・
 その2日の間に彼女が徐々にいろんなことをされていく描写がとても詳しく書かれていて、読んでる私はいろんなことを思い出していました。初めて自分が体験したいろんなことと重ね合わせて・・・
 この2日間の出来事のあと また場面は一転して、今度は輪姦専門クラブが舞台と なっていきます。
 ここで やっと 美人助教授と人妻が出てきて、ようやくつながりが見えはじめてきました。そして 先に出てきた場面から10数年の月日が流れてることや、オープニングの女性と青年調教師とのつながりなど・・・
 いつもは 大体最初の頃で 展開が見えはじめてくるのですが、今回は逆に後半になって「そうだったのか・・・」とわかることが多くて ずっと新鮮に読み進められました。
 10数年前のことが最初読んでいて、昔の話だと感じさせられなくて、輪姦クラブでの場面とそれぞれ同じ位置で読めました。いつもは 現在のことをクローズアップするために過去の出来事が出てきて・・・みたいな、自分としては現在のこと重視、で読んでしまうのですが、今回はそれぞれの場面がとても面白く心に残りました。
 輪姦クラブではハードとスタンダードのプレイのコースがあるのですが、プレイだと合意の上でもハードコースは入院する人が多い、というのが 凄まじいなぁとちょっとビビリましたけど(爆)
 そして そこでの目玉は「公開フィスティング調教」。途中「禁断Vol.10」の「姉・調教志願」も入っており、また楽しめました。

「殺されてもいい」
「たっぷり調教してあげよう。膣のフィスティングが成功したら、その次はアヌス。  さらにダブル・フィスティングにも挑戦したい。二本の腕を入れる」
「そこまで調教されてみたい」

 フィスティングが別の世界への入り口、と書かれていましたが ここに出てくる彼女たちは別の世界に行ってしまったのでしょうか?・・・
 私はまだのぞいたことがありません(笑)
 「うわーすごい」と思いながら 体に力が入って読み続けた作品でした(爆)
 そして最後にこの調教のドラマに立ちあった、ルポライター浩之の記事を読んでみたいと思いました。

 メグ(MLメンバー)


《読者からの解説&感想》その2

……ある夜。
 女子大生・香澄は、同じ大学のクラスメイト三人に輪姦され、凌辱の限りをつくさ れる。処女だった香澄はその時、生まれてはじめての性的絶頂感を味わう。
 凌辱は二日二晩続けられ、三日目の朝、奴隷となることを誓わされた美人女子大生 の姿は消えていた。
 ……ある夜。
 会員性輪姦クラブのパーティに参加した浩之と秋奈夫妻は、初参加の美しきビクテ ィム志願者を紹介される。
 夫の眼の前で輪姦され、フィスティングで絶頂を迎えた人妻を見ながら、新人ビク ティムは、責められる女と自分とを、完全に同一化しているように見えた。
 数日後、秋奈はその新人ビクティムの意外な正体を知る。
 ……ある夜。
 姉は弟の倒錯的な嗜好を暴露するとともに、自らの異常な欲望を告白する。
 ふたりの利害が一致した時、両親の秘密とともに、新たな苦痛と快楽の世界が門を 開いた。
 ……そしてある夜。
 とある場所に集められた男女の前で、凄絶な公開調教が開始される。
 それは、さらなる別世界への入口だった……。

   

 開巻早々に展開されるのは、館作品では珍しい、集団レイプ・シーンだ。
 そして100ページ近くも費やされた凌辱シーンが終わった時、読者はより深い快 楽の新世界を体験するに違いない。
 作者はこの作品において、故意に時間設定の説明をしていないように思われる。
 その結果、眩暈のような場面転換に心地よく翻弄されるのだ。
 さらに、『若妻と妹と少年』をすでにお読みの方なら、同じタイトルの雑誌、同じ 名前の建物、そして同じニックネームの人物が登場することに狂喜するだろう。
 同じ設定をリンクさせることによって、より巨大な何かを、作者は描こうとしてい るのかも知れない。そしてそれは、館ワールドの集大成ともいうべき、未曾有の大連 作となる可能性も……?
 新作を読み終えた瞬間に、一刻も早く次回作を読みたくる。
 館淳一とは、とことん罪つくりな作家である。

「おれにすべてを委ねるんだ。殺されてもいいんだと思うほど、おれを愛してみろ」

                     (第十章 絶叫のフィスト責め)

 母親の一周忌の夜、実の姉弟が、互いの倒錯した性的嗜好について語り合う。
 静かな口調とは対称的な衝撃的な内容……。
 いつかどこかで、そんな夜を過ごしてみたい。
 そんなふうに思わせる名場面でした。
 このご本は、最後に近づけば近づくほど、究極の「館」節ともいうべき名セリフのオンパレードになって、窒息寸前になっちゃいました。
 はぁはぁ……。

   詩織(MLメンバー)

《読者からの解説&感想》その3

 館ワールドの作品独特のジグソーパズル構造が、この新作でも満開です。
 何かを探している謎の美女、衝撃的なレイプシーン、輪姦クラブ、良質な推理小説にも似た仕掛けがあちこちに撒かれているのに、パズルの断片を眺めているうちは何もわかりません。その上、館ワールドのピースときたら、まるでフェイクのように時間軸を無視したり、違う作品にまでもリンクされています。あらかじめ作り上げられた旧知の存在や場所を用いることと、時間軸を読者の手に委ねることでより現実感を感じさせる手法なんですね。だから、作品にすっと自然に入っていけます。いつもながら、お見事としか言いようがありません。

 特にこの作品は、男勝りで小生意気な女子大生香澄の設定や「フィスティング」というキーワードで始まったために、いつも以上に感情移入して丹念に読みました。なにしろ、私自身がフェミニストのMぢょであり、フィスティングこそが最後の仕上がって言えるほど、大好きなんです。そして、最初のSM体験がレイプだって事まで一致しちゃって、のめりこまない方がおかしいくらいなんですが、とってもステキな主人公だけに、「私がモデルだったら嬉しいな」と図々しく思っちゃいました(笑)。

 でも、パズルを完成させた時、見えてきたテーマの大きさに唖然としました。

 M女が心の内なる理想像『インナーマスター』に縛られて、『この人も違ってた』と、次々にご主人様を渡り歩くことがあると言われています。それは、何らかのきっかけで自分の被虐性に気付いた後、何のためにSMというものに惹かれるのか、自分は何を求めているのか、そうしたことを深く考えないままに踏み込んだ結果なんでしょうね。ところが、主人公の香澄は最初の3人組によるレイプで感じたものを主体的に受け止めて、それを徹底して確認していくんです。

 日頃から理性を基軸として生きている、そんな女性であればこそなのかもしれません。自らの肉体に備わった理性や本能を超えたもの、快感の極限を引き出すために、まるで修行僧のように真摯に向かっていく姿がありました。不思議なことに、背徳と淫靡に彩られた行為の連続でありながら、私は香澄に『ストイック』な想いを感じました。それは生半可なSM行為をする存在(今回は3人組)に向けた、M女の強烈なアンチテーゼそのものです。

 かつてフェミニズムで「自分の性器を見よう」って運動があり、クスコを販売していたことがあるそうです。でも、モノとしての自分を知るだけではなんの意味もありません。自分の性的快感の仕組みや極限を知ること、そしてそれを自分で管理出来ること、自己の性器管理権を握ってこそのフェミニストなんですよ。もしかするとSMとか主従関係というのは、その過程での単なる記号に過ぎないんでしょうね。

 なぜ、私自身がSMを求めていたか、その答えが書いてあった作品でした。これだから、館ワールドからもう離れられないんです。

 Mぢょ☆aMi(MLメンバー)

《作者より》

「人は見かけによらない」とつくづく思うのが、性とSMの世界。
 特に女性の場合、「えッ、こんな人がどうして……」と思うことがしばしばです。
 今回はそういう新鮮な驚きを知的なヒロインに託して、女性とマゾヒズムの世界を描いてみました。
 つまりはどうみてもM女に見えないんだけど、という女性が主人公。勝ち気で理性的で男まさりのやんちゃでわがままなフェミ系のお嬢さん。(笑)
 これがもう徹底的に犯られてしまいます。館淳一には珍しいレイプシーンですね。犯ったほうが「ここまでやったらどれほど復讐されるか」ビクビクしながら犯してる。(笑)

 教訓:犯るときは腹をくくって徹底的に犯れ。

 マゾヒズムの不思議は、いくら描いても描ききれません。マゾヒスト同士だとよく分かるのでしょうが、外にいる者には不可思議きわまりないのがマゾヒズム。

 中途からいきなりVОCというサークルが登場します。
 その連中は、輪姦願望のマゾ女性をよってたかって輪姦してあげるという、レイプ愛好者の集まり。実際にもあるんですね、こういうサークルが。
 作者の知りあいだった女性がちょっとした輪姦願望の持ち主で、そういった輪姦パーティにも参加した経験から、荒々しく「輪姦」(まわ)す快感、輪姦される悦楽も書いてみました。

 最後は作者の理想とする「調教」の世界を描いてみました。
 ここからいきなりインセストに突入します。『姉・調教志願』という短編がもとになっている、と言ったら推測がつくでしょうか。
 このところどうしてもこの調教スタイルから抜けきれません。困ったものだ。(笑)
 全270ページの長篇、「バイオレンス」と「マゾヒズム願望」のミックスした、辛口でコクのある味わいをお楽しみください。

 登場人物の名前を決めるのは、いつも苦しいものですが、この作品はちょっとイージーな方法を用いました。読む人が読めば、「ああ、これは●●●●からだ」と一目瞭然です。
 たとえば、ヒロインが「戸山香澄」、悪役三人男が「三室竜介」「大河内規久也」「由良渉(わたる)」、彼らのゼミの教授が「二条於紀子」。
 もうお分かりでしょうか。(笑)女性教授が有名歌人であるというのがヒントです。答はページの一番最後にあります。

 末尾ですが、本書に登場する個人、団体はいずれも架空のもので実在のそれとは関係ありません。念のため。(笑)

《書誌情報》

本書はマドンナ社よりマドンナメイト文庫のシリーズとして(通し番号、た1-34)文庫判型で刊行された。




ISBN4-4-576-01116-2
2001年10月10日=第一刷発行
発行=マドンナ社
発売=二見書房
定価=600円+税

トップ | 著作リスト








主要登場人物の名前は『百人一首』の歌と作者に関連しています。

戸山香澄 高砂の尾上の桜咲きにけり外山(とやま)の立たずもあらなむ  権中納言匡房72番

三室竜介 嵐吹く三室の山のもみぢ葉は田の川の錦なりけり  能因法師69番

大河内規久也 心あてに折らばや折らむ初霜のおきまどはせる白の花  凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)

由良渉 由良の戸をる舟人梶を絶へ行方も知らぬ恋の道かな  曽禰好忠46番

二条於紀子 わが袖は潮干に見えぬの石の人こそ知らね乾くまもなし  二条院讃岐92番