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カバーイラスト 西村春海
カバーデザイン 吉原夢良 


牝奴隷美少女

恥虐のセーラー服

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監禁されたセーラー服姿もまぶしい美少女を待っていた
叔父と叔母、牝奴隷調教の顛末

「暴れないで」
頭の上に持ち上げられている姪の右手首に手錠の片方の輪を嵌めた。
慣れた動きでムダがない。
ガチャリと音がして冷たい金属の感触が悠香に戦慄を与えた。
美帆子は手錠のもう一方の環を掴みながら、若い娘の右腕を背後にねじりあげる。
同時に背後の人物によって、悠香の左手も強い力でねじ曲げられて、
そっちの手首にも金属の環が嵌められた。
時間にしてほんの二、三秒。ぴったりイキのあった見事な協同作戦だった。
二人がかりでひきたてられ、カーペットの上で体を回転させられ、
悠香は初めて背後の襲撃者の顔を目にした。この家の主、今木直篤だった。
黒い礼式用ダブルスーツに蝶ネクタイという格好の直篤は、
ふだんの柔和な、紳士的な態度とは違った雰囲気を見せていた。
その目には罠にかかった獲物を観察する猟師のような、無慈悲で危険な光があった。
(いつの間にここに?)
居間の入り口に背を向けていた悠香だが、叔父が入ってくるのに、まったく気がつかなかった。
彼はたぶん通用口から音を立てないように入り込んで、キッチンで待機していたのだ。妻が姪に襲いかかる瞬間を。
ハンカチを取り出したのが、キッチンから除いていた夫への合図だったわけだ。
(これって、ものすごく計画的!)
口を塞がれ、後ろ手錠をかけられて自由を奪われた身であるのに、悠香は感心した。
彼らは親身になって姪のことを思ってくれる叔父であり叔母であるように見せかけていたのだ>が、
いま、その本性を露わにした。
彼らの正体を今見せつけられ、それをさほど驚いていない自分が、絵奈にはとても不思議だった。


《読者からの解説と感想》その1

 インターネットハードボイルドSM小説と勝手に呼んでしまいます。
 僕は最初の一行でハマって一気に読んでしまいました。なんでこんなにカッコイイんだろう?
 ハードボイルド小説を読んでいると、やたらと酔っぱらって鬱屈している主人公を何故カッコイイと思うんだろう、と思うことがあるけど、この作品の主人公も、SMにのめり込んでトンデモナイ計画に自ら入ってゆくのだけれどカッコイイ。
 これを読んだのはSMに興味を持ち、SMクラブに行き始めた最初の頃でした。なんだか罪悪感を抱えながらというか、おどおどしてプレイしていたので楽しめなかった。
 けれども、読後には健さんのヤクザ映画を見終わった観客のように、主人公「啓太」になりきってクラブへ出かけたものでした。
 僕にとって館作品は、大人の遊びのダンディズムを教えてくれる先輩的な面があります。
 気に入った箇所は、廃屋と地下室。館作品には、こんなところでプレイしてみたいなぁと思わせる空間が、いっぱい出てきます。
 それと他の作品にも言えることなのですが、M女の人格とか心理描写が緻密でリアルなのがお気に入りです。
 未読の方、あんまり早く読むともったいないですよ。(でも一気に読みたくなるけど・・・・・・(-_-;))

 BB(MLメンバー)

《読者からの解説と感想》その2

「アリアドネの館」というSMクラブ。
 そのクラブが「M女ひとりだけのSMクラブ」という名目で会員募集のHP開いており、そこのM女と会員の男性のプレイシーンから始まります。
 いきなりアナルSEXの描写で「うわぁ〜」(笑)
 そのM女絵奈と、ある会員啓太との奴隷調教のストーリーだけでも十分楽しめたの ですが、意外な展開があって更に面白かったです。
 絵奈がある人に復讐をするため、啓太を協力者に誘い、そして復讐をするための生贄が女子高生……。
 絵奈がかつてある人たちに調教された「愛奴の日記」も面白かったです。
 さて 最後に絵奈のどんな、また誰に対する復讐が待っているのでしょうか?

 メグ(MLメンバー)

《読者からの解説と感想》その3

 謎の電脳SMクラブ『アリアドネの館』、それはたったひとりのM女しかいない奇 妙なサイトだった。
 須賀野啓太はM女絵奈を気に入り何度かプレイを重ねるうちに、変わった相談を持 ちかけられる。それは絵奈を専属M女とすることが出来る上に、リスクなしに女を拉 致、監禁して奴隷調教して楽しめるという信じられないような内容だった。
「理由は、ちょっとした復讐です」と絵奈は言う。
 廃屋を改造した絵奈の調教ルームで、啓太は尋問調教を開始した。
 絵奈、本名・悠香は、高校進学から大学まで、学資及び生活の援助を受けた叔母夫 妻によって、徹底的にM女として調教され、夫婦の奴隷として飼われいたことを告白 する。
 だがそれは、復讐の理由ではなかった。
 悠香から渡されたフロッピーディスクに記された「女子校生愛奴日記」のすさまじ い内容、そして復讐の理由……。
「過去のことはよくわかった。では未来の話に入ろう」
 魅力的なM女の誘いを快諾した啓太の前に示されたターゲットは、セーラー服をこ よなく愛する彼にとって、またとない獲物だった。
 綿密な計画のもとに、啓太と悠香の大胆な復讐計画が開始される……。

   

 たったひとりのM女の電脳SMクラブ、廃屋を改造した秘密の調教ルーム、そして セーラー服少女の奴隷調教……。
 この作品でも、館ワールドを彩る斬新なアイディアを堪能することが出来る。
 そして何よりも、自らを生贄として捧げ、綿密な復讐計画を練るヒロイン悠香がと ても魅力的だ。
 M女であり、奴隷調教されながら、男を利用して自らの目的を達成する女性。
 新しい女性像だなどとさかしらに言いたてる必要もないだろう。
 魅惑的で圧倒的な人物造型を心ゆくまで楽しめばいいだけだ。
 単なる肉人形ではなく、しっかりとした自分の意志を持った人間を描くことによっ て、より深い官能表現が可能になる。ここに館ワールドの魅力の秘密が隠されている ように思える。
 また、この作家は実在の作家名や作品名を具体的に作品内に示すことが少ないが、 本作では定番ともいえる『O嬢の物語』(他の作品でも登場します、捜してみてくだ さい)の他、「宮沢賢治の『注文の多い料理店』」「『麗しのサブリナ』の頃の、オ ードリー・ヘップバーン」などが登場し、作者のバックボーンを知る上で興味深い。
 それにしても、自分の作品がSMクラブのアイディアの源泉になるなどとは、宮沢 賢治も想像出来なかっただろう(笑)。

「し、死にます。死んでしまう。ああ、あううう」
「死ね、悠香。一度死んで生まれかわれ。生まれかわっておれの完全な奴隷になるん だ」
                    (第八章 女子校生愛奴日記)

 この作品の舞台となるのは、夢見山市。館ワールドでは御馴染みの場所ね。
 その他にも、SM専用ホテル『オメガ・イン』(その入り口となっている喫茶店の 名前は、この作品では『ヴァンセンヌ』、『母と熟女と少年と 魔肛の倒錯ネット』 では『アルファ』)、ステーキハウス『田ノ倉』などの聞きおぼえのある名前のお店 が登場するわ。『田ノ倉』はチェーン店だっていう記述があるから、『オメガ・イ ン』もきっと、何軒かあるチェーン店なんだろうな。
 こうして馴染みの名前を見つけると、あたかもそれが実在の場所のように感じてし まうから不思議よね。
 ねえ誰か、今度『田ノ倉』でステーキをご馳走してくださらない?
 え? 『オメガ・イン』が先だろうって?
 あらら……。

 詩織(MLメンバー)

《作者から》

 復讐譚です。
「これが復讐になるのか」と思われるかたもいそうですが……。(笑)
 復讐譚ですが、血なまぐさくありません。
 珍しく流血の惨事が出てこない、ぼくのフランス書院ものにしてはひかえめな物語です(苦笑)。
 ウェブ上で営業する“M女ひとりだけのSMクラブ”という形態には惹かれるものがあります。誰かやりませんか。(笑)

《書誌情報》

フランス書院からフランス書院文庫シリーズ(No.919)として、文庫判型で刊行された。
電子テキストはフランス書院ダウンロードサイトから購読できる。(Macは読めないファイルです。09年12月現在)




ISBN4-8296-0919-2
1999年10月10日=第一刷発行
発行=フランス書院
定価本体486円+税

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