実寸大表紙へ
カバーデザイン 吉原夢良
74
罠とも知らず未知の性に目覚めゆく美少女 館 淳一 でしか書けない 熟女と少年と美少女の 甘く危険な性世界
カメラによく映るよう、葉子が少女の脚を大きく割りひろげて股間を露出させる。 大陰唇はさほど発達していない。 小陰唇はぴったりと割れ目の内側に折りたたまれていて、極めてシンプルな形をしているが、>見るからに瑞々しいシェルピンクの粘膜部分は米の磨き汁を薄めたような液体で濡れ濡れになっていた。 処女にもかかわらず、少女の体は感じて男根の侵入を待ち侘びているのだ・・・・・・。
子どもの頃に体験した性的快感は、その人の人生を決定づけてしまうのだろう。
海からはいろいろなものが流れつく。多くは沿岸を航行する貨物船や漁船が放棄していった空き瓶、空き缶、プラスチック容器などの雑多なゴミで、次に沿岸漁業にともなう廃棄物−−魚網のきれはしやブイの破片−−など。しかし時には南の島島からと思われる椰子の実をはじめとする果実とか、わけのわからない文字が表記された無線機のようなもの部品、不思議な彫刻を思わせる、削ぎに削がれた流木など、少年の想像力を刺激するものがいくらもまざっている。夏の終わりの海岸で、それらの漂着物を拾い集め、宝物とする少年の姿には、孤独 と詩情が漂っている。 そしてシーズン・オフの海辺の別荘という舞台もまた、どこか遠いものへと憧れる 少年のまなざしを反映したものに思われてならない。 こうした瑞々しい描写が、一見荒唐無稽に見えるストーリーに、奇妙なリアリティ を与えているのだ。 館文学の根底に流れるのは「少年小説」のスピリットであると推測する次第であ る。 そう考えると、翔太郎と葉子の行動もまた、失われた少年時代を追体験しようとい うはかない夢であったかのようにも見えて来る。 快楽の原点へと遡行しようとして、危険な落とし穴にはまって行く二人の姿は、ど こか映画『禁じられた遊び』の少年と少女の成れの果てといった風情がある。 もちろん『禁じられた遊び』には反戦のメッセージがこめられていて、「遊び」の 内容も、性的なものではないのだが、どこかエロティックな想像を刺激されるのは、 思わせぶりな邦題のためだろうか? 『禁じられた遊び』を連想したのは、物語のクライマックスで、少女の危機を救おう と大活躍する少年の、こんなモノローグが心に響いたからかも知れない。 (この子は、ぼくに神様がくださったんだ。命をかけて守ってやらないと……)事件が落着したのち、後日譚として描かれる「エピローグ」の爽やかで、甘酸っぱ くて、どこか切ない余韻は、数ある館作品の中でもさりわけ印象深いものになってい る。 一方、少年の相手役となる少女は、どこか小悪魔的。
「さおりちゃんもやってみる?」『美少女と魔少年』 ん? 『魔少女と美少年』かも……! 詩織(MLメンバー)
《作者から》ジャンル分けすると“ショタコン&ロリコン”ものになります。ショタコンの要素が強い作品としては、後の『継母と美姉弟・監禁飼育』(フランス書院)などがあります。これはその先駆けですね。 「ショタコン」は「正太郎コンプレックス」が縮められた言葉で、正太郎の由来は各説ありますが「鉄人28号」の正太郎少年に由来するというのが最も有力です。 要するに、半ズボンや短パンをはいた年代の少年に魅力を覚える危ない性癖のことで、女性なら男性のロリコンの裏返しになるものです。男性のショタとなると、これは女性よりももっと危ない。(笑)
この作品の核は、『チャイルド・マニア』という短編でした(「小説CLUB1992年4月号掲載)。
《書誌情報》本書はフランス書院よりフランス書院文庫シリーズとして(通算No.0651)文庫判型で刊行された。デジタルテキストはフランス書院ダウンロードサイトから購読できる。
|