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カバーイラスト 西村春海
カバーデザイン 吉原夢良 


黒い下着の銀行員

淫鬼の調教計画

70

夫と医師にしか触らせたことのない部分を無遠慮に指がまさぐる。
「これは・・・おしっこじゃないわねぇ」
看護婦がつぶやいた。
(そんなバカな・・・)
美穂子は動転した。尿でなかったら・・・それは、愛液でしかない。
「愛液みたいねぇ」
看護婦がまたつぶやいて、クンクンと鼻を鳴らした。美穂子は自分の秘部の匂いを 嗅がれる屈辱に目隠しされた頬が真っ赤になるのを覚えた。
(嘘だわ。どうして愛液が!?)
信じるわけにはゆかなかった。こんなひどい目に合わされて、どうして自分の 肉体が愛液を分泌するのだろうか。
「不思議ねぇ・・・」
看護婦は執拗に秘部粘膜をまさぐる。
「む、うっぐー・・・」
敏感な部分をまさぐられる美穂子は猿ぐつわの奥で熱い息を吹きこぼしていた。 同性に秘部を見られ、触られる屈辱と羞恥。脳の芯が痺れてしまって体が自分の ものでないようだ。
「あらあら、またこんなに溢れてきてしまって・・・。えーっ、どうなってんの?」
看護婦は嬉しそうな声を出した。
(わ、私、どうしちゃったの?)
その頃はもう、美穂子も自分の肉体の異変に気がついていた。驚くほど大量の愛液が溢れて会隠部、鼠けい部、内腿を濡らしているのが自覚できた。そして子宮は疼いているのだ。腰がビクンビクンと自動的に震えてしまう。
(そんな・・・もうー、信じられないッ)
このワゴンの荷物室のなかで感じたのは恐怖、屈辱、羞恥、苦痛・・・。優しい抱擁、愛撫、接吻、睦言などの、性的に昂奮するようなことはひとつもなかった。なのにどうして美穂子の子宮が熱く燃えて、秘部は失禁したように濡れているのだろう。
「ということは、あなた、マゾの気があるんじゃない?そうでしょ」

《読者からの解説と感想》その1

 ストーリーは復讐物です。復讐の背景は主人公が勤める銀行が関わっています。
 全体がレズ・シーメールものって作品は、他にないわけではないのでしょうが、私はあまり記憶になかったもので、楽しく読ませていただきました。
 会員制クラブでの公開調教シーンもあるし、主人公の媚薬+焦らしの責めもあるし……。樹里の未亡人美穂子を責めるテクニックにメロメロでした(爆)
 レズで媚薬飲まされて焦らされたらたまんないでしょうね〜。羨ましい(笑)
 読んでていつも思うのですが 本当に失神することってあるのでしょうか?
(実はさせられてみたいのですが(爆))
 最後に、美穂子と息子の意外な展開があるのですけど、これも面白かったです。
 今回登場のシーメールは、女装Sモードで まとまっていましたね(笑)

    理恵(MLメンバー)

《読者からの解説&感想》その2

 私はこの物語は「男が読む女の被虐愛」と言うコミックの「禁断のラビリンス」で最初に主なあらすじを知りました。
 もっと詳しい部分を読みたい、と思い小説の方も購入して読み、その後またコミックの方を読み返してみると 最初に目にした時よりもいろんな情景が細かく頭の中で再現されてきて、何度も楽しめました。
 この物語は ただ単に官能小説と言うだけではなく、銀行をとりまく復讐劇を題材にした推理小説、という観点で見ても十分面白い作品だと思いました。

   未亡人の美穂子は2年前急死した夫が勤めていた銀行で、補助行員として働いていた。
 そして、自らレズだとカミング・アウトしているキャリアウーマンの行員、樹里。
 美穂子は樹里に以前から「自分のセックスのパートナーになって」と誘われていたが、レズには興味ない、と断り続けていた。
 しかしある夜のこと・・・ふたりとも仕事が遅くなり樹里が美穂子を食事に誘った。美穂子も断り切れず誘いに乗ることに。そして連れて行かれたのは会員制のクラブ「ラ・コスト」。
 食事のあとそこでショーがあったのだけど そのショーの様子がとても興味をそそられました。
 シーメールのレズショー・・・美穂子もかなり興奮し、そしてそれを見抜いた樹里。その後 ふたりは樹里の家でとうとう関係を持ってしまうことに・・・
 樹里に強引に責められた美穂子だったが、すさまじいオルガスムスを味わってしまう。

 男性のオルガスムスは射精をともない、その後は虚脱と無感覚の時期が長く続く。どんなに精力的な男性も休息が必要だ。ところが女性は違う。子宮の収縮によるオルガスムスは何度でも連続的に可能なのだ。
 通常、膣とかクリトリスとか、どちらかを刺激してやらないとイカないと思うのは男の勝手な思いこみにすぎない。女が激しく欲望を覚えて興奮した時、極端に言えば、耳もとに息を吹きかけられただけでイクのだ。

 でもこの感覚 すごくわかるなぁって思いました。私も連続のオルガスムスを味わうと、本当にとろけそうだもの(笑)
私は、本物の女性同士のレズシーンよりも、シーメールのレズシーン(両方ではなく一人だけがシーメール)に感じてしまいます。ラ・コストでのショーはもちろんのこと、真性の女性同士でも美穂子とペニスバンドをつけた樹里のからみのシーンには興奮しました(^^;)

 ラ・コストで美穂子がシーメールを見て興奮したのは実は過去の経験が関係していた。
 あるシーメールとの出会いである。  このシーメールが後に復讐劇の舞台となる銀行の不祥事の背景と関わってるとは・・・

 この辺りから 段々と復讐劇の背景がわかってきて、別な展開で面白かったですね。
 美穂子の亡くなった夫と現在の会社の上司、そして樹里、美穂子と出会ったシーメールがどのように関係してくるのでしょうか?読んでからのお楽しみです。
 最後にコミックでは出てこなかった、美穂子と息子との展開もひとつのストーリーとして楽しめました。
 あともうひとつ感心させられたのは レズ人脈の広がりです(笑)

 レズ人脈は男性優位の社会を破壊するための秘密結社として機能しているのだ。

 この レズ人脈の関係図も面白かったですよ(笑)

 メグ(MLメンバー)

《作者より》

メグさんが読まれた『男が読む女の被虐愛』というコミックを紹介しておきます。
レディースコミック作家のつか絵夢子さんは、これまでもずいぶんぼくの作品をコミックにしてくれました。その中から『近親の架刑』(日本出版社)と『黒い下着の銀行員』(フランス書院)の2作を一緒にしたのが『男が読む女の被虐愛』です。
タイトルはそれぞれ『マリアの十字架』、『禁断のラビリンス』となっています。

館ワールドをつかさんがコミック化するとつかワールドになるんですね。少し違った世界になります。ごちゃごちゃした世界が少し整頓されて清潔になる。ぼくは好きですね。(^_^)

『男が読む女の被虐愛』(つか絵夢子、宙(おおぞら)出版、2000年1月刊)
雑誌51150-82 定価800円+税

《書誌情報》

本書はフランス書院よりフランス書院文庫シリーズ(通算ナンバー0619)として文庫判型で刊行された。
デジタルテキストはフランス書院サイトより有料ダウンロードできる。




SBN4-8296-0619-3
1995年5月10日=第1刷発行
発行=フランス書院
定価=500円(税込み)

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