実寸大表紙

カバーイラスト 新井田孝
カバーデザイン 吉原夢良 


女子大生

黒い下着の牝奴隷

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《さわり》

「あああ、私、犯される!こんなことってあるの!?」
亜樹子が見ている前で自分が犯される。しかも彼女は、すすんで奈津美を差し出したのだ。
亜樹子の手は男の一物を掴んで愛撫し、もう一方の手で奈津美の秘唇を撫でまわして広げている。
そして怒張を膣に当てがわせた。
奈津美の背がのけぞった。
ドクドクと熱く脈打つものが膣をこじ開けて侵入してくる感触は、奈津美の子宮を欲望の炎で包んだ。
無意識のうちに両脚を広げ、犯す者が貫きやすい姿勢をとっていた。
後ろ手に縛られ、口を塞がれ、牝奴隷のように犯されて、理性が狂いはじめた。


《読者からの解説と感想》

 ルームメイトである従姉の亜樹子が真夜中に泥酔して戻って来た。
 介抱した菜津美は、亜樹子がノーパンでガーターベルトとストッキングといういでたちなのに驚く。さらに亜樹子の尻には、何者かに叩かれたような痣があった。
「スパンキングよ」
「えっ?」
 菜津美は亜樹子から、上司・佐々岡とのスパンキング・プレイの詳細を聞かされ、この世には不思議な快楽の世界があることを知り、なかなか寝つけなかった。
「奴隷のみたいに手荒に扱われて、それで初めてわかる悦びというものもあるの」と亜樹子は言った。
 数日後、菜津美は亜樹子の紹介で佐々岡と夕食をともにした。
 佐々岡はサディストであるとは信じられない温厚そうな紳士だった。
 その夜、ひとりで部屋に帰ってきた菜津美に、電話がかかって来た。
「あうっ」
 それは佐々岡にスパンキングされて身もだえる亜樹子の声だった。
 悲鳴のような声はやがてあえぎ声になり、絶頂に達したことがわかる。
 菜津美は電話を切ることも出来ず、椅子に座りこむと、片手でネグリジェの上から乳房を揉んでいた。
 そして……。

「酔ってるわ。でも、お酒じゃなくて、別のものに酔ってるのよ」
「なに、それ?」
「マゾヒズム……」
「変態ってことね」
「あー……そうよ。早くへんたい亜樹子をお仕置きしてぇ」
                   (第三章 電話線の向こう側で……)

 美しい女子大生が従姉の巧みな誘導で、スパンキングの快楽に目醒めてゆく物語。
 従姉の秘密を知ってしまう印象的な冒頭シーンからはじまり、電話ごしの窃視ともいうべき趣向がひときわ想像力をかきたてる名場面をへて、従姉妹同士のスパンキング・プレイへと至るところが前半のクライマックスで、読者を一気に館ワールドへと引き摺り込んでしまう。特に女性同士の甘く切なく恥ずかしく淫らな空気感の描写は作者の独壇場といえよう。
 そして後半では、マゾヒズムの悦びを知ったヒロインの性的冒険譚といった趣きとなり、男性に奴隷のように扱われながら、決して支配されることなく、自らの意思で快楽の世界を探求しい行く女性の姿が描かれて行く。
 さらに本作ではボディ・シュアリングや奇妙な死者の供養など、様々な趣向が凝らされていて、読者の想像力を刺激して行く。その巧みなストーリーテリングは言うまでもなく、これは快楽によって自己を解放して行く女性のビルドゥングス・ロマンでもあるのだ。
 館作品の読後感がいつも充実しているのは、こうした肉体と精神の解放感が同時進行して絶頂へと昇りつめて行く独特な小説構造によるものだと思う。

                            詩織

《作者から》

物語はスパンキングに魅せられた女、二人のからみから始まります。
一人は商社の野望溢れたキャリアウーマン亜樹子。
もう一人は亜樹子の従妹、清純な女子大生、奈津美。
亜樹子の上司はスパンキングマニアの佐々岡。彼に調教された亜樹子は、自分が海外赴任するため、わざと奈津美を誘惑、自分の後釜として佐々岡に差しだす。

すすんで佐々岡の尻奴隷とされた奈津美の前途には、何人ものスパンカーが淫狼のように待ちかまえていた――。

という具合に、ヒロイン奈津美がどんどんマゾ地獄に堕ちてゆく一大スパンキング大河小説です。(笑)

《書誌情報》

本書は書き下ろし長編で、フランス書院文庫シリーズ(No.0551)にて文庫判型にて刊行された。
デジタルテキストはフランス書院サイトから有料ダウンロードできる。




ISBN4-8296-0551-0
1994年5月10日第1刷発行
発行所=フランス書院
定価=500円(本体485円)

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