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カバーイラスト 吉田昭夫

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カバーイラスト 佐藤与志朗


美少女 魔性の肌

48

《収録作品》

『少女、高原にて』
『ヴァージン・プレイ』
『残酷ダブルバーガー』
『発情猫のように』


爽やかな高原の、涼風のような美少女。
純真さの裏に隠された淫蕩な顔。
老練な男のテクニックに溺れ、娼婦のように振る舞う。
未だ開発されない花唇は淫らに蠢き、
甘い蜜を垂れ流し男を誘う。
いつしか体内に流れるマゾの血に目覚めたとき、
少女の心のなかで何かが弾けた……。

《読者による解説と感想》その1

〜【解説】と言うか【女性のための館淳一のススメ】〜

 私はバリバリのフェミニストです(一応Mぢょでもあるんですが)。性の商品化に反対し、あらゆる女性への暴力を許さないって立場で、女性運動をしています。そして、一般的に同じ運動をしているおねえさま達は、こぞってポルノグラフィや官能小説を目の敵にしてきました。けれど、そんな私が館ワールドに惚れこんでしまうのは、これほど女性を愛し、知ろうとし、慈しむ、真のフェミニストと呼べる作家はいないと思うからなんです。

 よく誤解される所に『女には強姦願望がある』という神話があります。これは半分正解で、半分誤り、というとまた誤解を重ねそうですが、性的ファンタジーとしてそうした情景を思い浮かべることはあっても、現実にその恐怖に自ら身を委ねるような女はまれです。絶対安全な世界で行われて、予定調和を保ったシナリオに沿ったものでなくてはならず、決して最後まで自分が傷つくことのないもの、女が思い描く『強姦願望』とやらは白馬の王子様と同質のものなんです。それを願いどおりに描いてくれたのが、館淳一という作家でした。

 館ワールドには必ず『ハッピーエンド』があります。そしてそこに向かっていく『イイ男』と『イイ女』がいます。主人公たちの係わり方はバロック、歪んだ真珠そのものですが、互いに没頭し、互いを慈しむ想いが、どの作品からも伝わってきます。官能小説にありがちな『道具としての女』ではなく、『悦びを分かち合うパートナーとしての女』に向かいあう男に出会える作品だから、密かに館ワールドにはまる女性が多いのでしょう。

 『こんな男に出会いたい』と思うと同時に、『こんな女になりたい』自分を主人公に重ねながら読む女性は多いはずです。例えば私の好きなSM系作品でも、ただ全面的に男に依存するだけじゃなく、自分の意志や仕事を持ってタフに生きてるM女が多く出てきます。
 セーラー服系作品でも、少女期から女が持ってる芯の強さやずる賢さってものが、きちんと描かれています。綺麗なだけの飾り物みたいな女じゃなく、生身の女の強さも弱さもひっくるめた現実感のある存在だから、同性として惹かれるのでしょう。それは女性を対等なパートナーとして、心から愛すべき存在として見つめてきた作者だからこそ、描けるのかもしれません。

 同じものを感じた作家として、時代物の「吉原御免状」で遅いデビューをし、瞬く間に鬼籍の人となった隆慶一郎がいます。両作家の作品には共通点が多く、10年前、私は同一人物かと思いました。綿密に練り上げられたプロット、あちこちに散りばめられた伏線、現実の存在かと思わせるほどの登場人物や環境の設定、豊富な作者の知識を感じさせる数々の挿入余談や説明、類似点をあげればきりがありません。そして、なによりも濡れ場の印象が似ていたんです。女性が読んで胸の奥が熱くなるような、体が火照るような、文字通り『感じさせてくれる』濡れ場を書ける作家は、そうはいません。もちろん悪役に抱かれる羽目になるような場面は別ですが、こんな風に心から愛されて抱かれたい、いつもそう思いながら読んでいます。

 今回ご紹介するこの短編集は「官能小説なんて〜やだぁ〜」などと言いそうな女性に、初めて読んでもらうのにちょうどいい軽めの作品集です。これを読んで、「ちょっと違うぞぉ!」そう気付いてもらえれば、次々と手が伸びるのではないでしょうか。やたら元気のいい女ばかりが出てきますが、館ワールド独特の女性観を垣間見ることが出来ます。

『少女、高原にて』
 山荘で一人暮らしの35歳、湯浅多喜夫に近付いてきた16歳の美少女、矢野リカ。
「自分が不感症じゃないか、確かめて欲しい」と頼む少女の真意は?

『ヴァージン・プレイ』
   ロリータ系の伝言ダイヤルで知り合った高校1年のみゆきとコンピュータオタクにも近い24歳の良介。ヴァージンを守ることを条件にデートすることになりますが……。

『残酷ダブルバーガー』
 高校時代の友人マリ子にアルバイトを頼まれた珠美は、仮面うつ病を患う紳士、片山ののサイコセラピーのお手伝いをすることになります。さて、何が彼を救うのでしょう。

『発情猫(さかりねこ)のように』
   ストーカーに怯える水樹の微妙な変化に同僚のめぐみが気付きました。社内LANで送られてくる脅迫状にOL2人が肉迫します。犯人はどこに?

 MぢょaMi(MLメンバー)

《読者からの解説&感想》その2

『少女・高原にて』
娘は初めてオルガスムスを教えられ、その男性を好きになってしまいます。
そして、彼の愛人になるために、なんと実母の強姦計画を企て、男性に実行させてしまいます。
強姦された母は不感症だったのに、なんとオルガスムスを味わってしまいます。
そして、彼女は夫と離婚、なんと強姦した男性と再婚して男の奴隷となります。
なんと、なんと、なんと……の連続で進むお話です。(笑)
娘の口説き方、綿密な強姦計画が見事だと思いました。読んで確認してくださいね。

『ヴァージン・プレイ』
館さんが小説の中で、初めて伝言サービスを利用して女子高生のナンパに成功して、ラブホテルでセーラー服を着せてみたり・・・楽しむ様子を書いています。
自己紹介を吹き込む時の心の動き。伝言サービスを使って2人のやり取りの嬉しい気持ち。初めて会った時のお互いの緊張感。もう、小説の世界を越えて現実に行われたかと思うほどリアリティーな書き方をしています。
読んでいて館さんと伝言サービスでお話しているように感じられて、嬉しくなった小説でした。館ワールドの素晴らしさですね。

『残酷ダブルバーガー』
Mの初老の男性と女王様2人とのプレイのお話です。
この作品「残酷ダブルバーガー」を「残酷プレイ」「ダブルバーガープレイ」にするとわかりやすいと思います。
残酷プレイとは、女王様が顔面に腰をかけて女性のお股で顔を塞いで呼吸ができなくするプレイです。
ダブルバーガープレイの内容はすごくハードです。
チコ、ドキドキしちゃった。皆様もぜひ読んで確認してくださいね。

 ドクトル・チコ(MLメンバー)

《作者から》

自分のことは自分が一番よく知ってる――と思うでしょうが、作品についても、読者に教えられて初めて「あ、そうか」と思うことがしばしばあります。
aMiさんの解説のなかでやたら元気のいい女ばかりが出てくるという件りに思わず膝を叩いてしまいましたね。

この作品でも、そういう観点から見てみると、いやはや女性はみんな元気がいい。(笑)官能小説といってもぼくのはSM系ですから、そうなると女性はあくまで受け身でいる必要があるのですが、ここに登場する四人の主人公にしても、みんな自分から動いてしまう。能動マゾヒズム、活発マゾヒズム。サディストがたじたじとしています。それがキーワードだったのですねえ。(笑)

いやしかし、これはSM小説を好む男性の立場からみると困った態度なのです。
SM小説というのは、女たちを男が、自分の思うとおりにモノとして支配したいというサディズムのありようを描くわけですから、女たちが活発かつ能動的ではなかなか成立しません。
SM作家・館淳一が、多くの編集者から「困ったちゃん」扱いされているのは、そこにあるのだろうと思います。

ドクトル・チコさんが『ヴァージン・プレイ』で「館さんが小説の中で……楽しむ様子を書いています」というのは当たっています。 これを書いたのは、ちょうど伝言サービスやテレクラのはしりの時期で、ぼくは体験取材しながらハマってたんですね。(笑)ですからドキドキというのはそのままぼくの実感です。

『残酷ダブルバーガー』のタイトルはこんなふうに決まりました。
お話はでき上がったけれどタイトルが決まらずに悩んでいた時、編集者から催促の電話がかかってきたのです。
「目次ページを先に作りますから、タイトルだけでも先に出してくださいよ」
「それが、いいタイトルが思いつかなくて……」
「どんな内容なんですか」
「男性が女性にサンドイッチにされて責められるというお話」
「ふむ。いまはサンドイッチの時代じゃないです。ハンバーガーの時代です。だったらダブルバーガーでしょう!」
編集者が妙に自信たっぷりに説得するので「なるほど」と納得してつけたタイトルなのです。(笑)

《初出情報》

『少女、高原にて』…………「月刊小説」1990年8月号
『ヴァージン・プレイ』……「小説CLUB」1991年6月号
『残酷ダブルバーガー』……「小説CLUB」1990年10月号
『発情猫のように』…………「月刊小説」1990年2月号

《書誌情報》

本書は、表紙カバーを変えて2回発売されている。
最初はグリーンドア社より1991年に、グリーンドア文庫シリーズ(191)として文庫判型で刊行された。
二回目は同じくグリーンドア社より2001年に、グリーンドア文庫ベストセレクション(555)として文庫判型で刊行された。
表紙カバーが違うのみで内容はまったく同じであるから、復刻版は著作リストに掲載されていない。
デジタルテキストは電子書店パピレスよりダウンロード発売中。



(旧版)
ISBN4-7669-1480-5
1991年9月30日=初版第一刷発行
発行=グリーンドア社
発売=勁文社
価格=500円(税込)

(新装版)
ISBN4-7669-3696-5
2001年1月30日=初版第一刷発行
発行=グリーンドア社
発売=勁文社
価格=495円+税


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