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カバーイラスト 新井田孝
カバーデザイン 吉原夢良 


女教師・濡れた下着(上)

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《読者からの解説と感想》

 この本を初めて読んだのは随分前のことですが、読後に「こりゃすごい!」という達成感に似た満足と昂奮を感じたことを覚えています。しかし、それと同時に「だけど、こんなに詰め込んでもったいなくないのだろうか?」と余計な心配もしてしまいました。本作品は、各章の章題(少女姦、子宮交、同性愛、露出癖、近親姦、強姦魔)が示すとおり、贅沢に材料を使ったフルコースなんです。
 物語は、ストリッパーと純朴な青年との生板ショーから始まるのですが、その後、少女に対するレイプというショッキングなシーン、教え子に着替えを覗かれる女教師、マンションの隣に住む兄妹の痴戯を覗き見する少女、というように場面がいろいろ変わります。もちろん、それらが次第に結びついて最後には驚くべき結末を迎えることになるのですが、こういう展開の仕方は館ワールド独特な感じがします。
 偶然目撃した担任女教師の着替えシーンが、女教師の露出願望と少年の性の意識を同時に芽生えさせ、それが物語が進むうちに周囲の人物たちとの兼合いの中、様々に展開していきます。本作品に登場する4組の親子は性に対して異なる感覚を持っているので、それらがからみあって物語をとても面白くしています。
 女教師を主人公とすると本作品は、着替えを覗かれた女教師が、開放的な同僚やストリッパーに感化されつつ、芽生えた露出願望を発展させていく様を描いたポルノ小説です。また、少女レイプ事件を軸にして読むと、強姦魔を追い詰めていく刑事のサスペンスドラマです。そして本作品は、少年少女の性に対する好奇心や悩みを通して家族を問い直すヒューマン・ノベルでもあるのです。パソコンを使った教師と児童のプライベートな通信方法や、SMや相姦に対する館さんのメッセージが随所に盛り込まれていることを考えると教科書あるいは性教育マニュアルともいえるかもしれません。上下巻2冊で何通りもの楽しみが味わえる本作品、館さんの渾身の一作であり、私は最高傑作の1つだと思います。

 蛇足ですが、物語の終盤に、ある1つのパーティが開かれます。このパーティは女教師にとっても少女レイプ事件にとっても重要なキーとなるものなのですが、このパーティこそが、後に「欲望の終着地」というトド岬の裏の歴史を作ることになります。
 さらに蛇足ですが、上巻のプロローグ、下巻のプロローグとエピローグ、これらの書き出しは同じ文章であり、この長編をうまくまとめてますね。流石です。

                          文責 堂玄

《作者から》

堂玄さんから指摘されて初めて分かったのですが、これがトド岬サーガの(笑)最初の作品だったのですね。
実は、トド岬という地名は他にないだろうと思ってつけたのですが、その後、三陸海岸に鯔ヶ碕(トドがさき)という岬があることに気付き、愕然としました。その時はもう、トド岬ものを何作か書いてしまっていたので、今さらやめるわけにもゆかず、そのままになっています。(笑)

この作品には作者の趣味嗜好が色濃く現れています。まずストリップとストリッパー。
70年代の一時期、観客が参加するナマ板の導入でストリップは隆盛を極めるのですが、その時期、作者は「追っかけ」とまではいきませんが、かなり熱心に劇場通いをしていました。この世に特出しナマ板ストリッパーより素晴らしい職業は無いとさえ思っていました。(笑)
その当時の場末のストリップ劇場の雰囲気を味わえる貴重な風俗資料ではないかと思います。(笑)

楽屋話になりますが、この作品に登場する魁偉な容貌と肉体の男性は、作者が某所で出会った実在の人物を、彼から聞いた話そのままに登場人物として起用しています。
「こんなやつ、いるわけねーよ」と思われるかもしれませんが、いるのです。願わくば勝手にモデルとされたその人物がこの作品を読みませんように。激怒されることは確実ですからね。(笑)

子宮交(子宮内セックス)についてですが、この作品に目を通された蘭光生師は「いい加減なことを書くな」と怒っておられましたが、子宮内セックスというのは実行可能な行為で、実際に実践している人々はおり、その教本も刊行されています。先生、本当なんですってば。(笑)
ただし、これを楽しむには正確な知識がないといけません。よいこは考えなしにトライされませんように。(笑)

《書誌情報》

本書はフランス書院よりフランス書院文庫シリーズ(通算ナンバー0231、0232)として文庫判型で刊行された。
デジタルテキストは発売されていない。



ISBN4-8296-0231-7
1989(平成元)年2月10日=初版発行
発行所=フランス書院
定価400円

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