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カバーイラスト 村山潤一


凌姦

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《収録作品》

『ママが犯られる!』
『愛奴の幻影』
『夜、飼犬は牙を剥く』
『異装の夜』
『狙われた家』


《作者から》

フランス書院、マドンナメイトの二大官能文庫シリーズが激突していたポルノ本市場に、第三勢力が台頭してきました。
矢切隆之、睦月影郎の二大売れっ子作家を押し立てたグリーンドア文庫です。
当然、作品提供の依頼がきましたが、先行していたフランス書院などは当然ながらいい顔をしません。「後発勢力に加担しないでくれ」というわけです。
このあたり出版社間の思惑が入り乱れて、作家は右往左往することになるのですが、ともかく中間小説誌の注文に応じた短編をグリーンドアが短編集に纏めるという約束が出来、短編集にはあまり食指の動かないフランス書院もそれで了承し、グリーンドア文庫から年に一冊程度、短編集が刊行されるのが恒例になりました。

後発勢力と先行勢力の争いというのは、どこの業界でも激烈熾烈なものですが、ポルノ文庫市場では先行二社が大きくシェアをとっていたので、後発各社は割り込むのにかなり苦労しなければなりませんでした。
この後も光文社の「ナイトロマン文庫」、コスモ出版の「トマト文庫」、徳間オリオン社からの「徳間オリオン文庫」、KKベストセラーズ「スニーカー文庫」、新書では蒼龍社からの「ソウリュウノベルス」などがこの分野に乗り込んできましたが、それぞれ橋頭堡を築くことが出来ず、あいついで撤退してゆきました。
結局、フランス書院、マドンナメイト、グリーンドアの三社が鼎立する形で、長いことポルノ文庫市場は安定状態を保ってきました。
ただ1990年代末から始まった出版大不況の嵐は、この業界にも吹き荒れています。序列とシェアの変動は予断を許さない状況になってきました。
そういう情勢をハラハラしながら見守っているのは、ほかならぬ作家なのです。

いずれにせよ、そういう勢力争いのなかにいて、フランス、マドンナ、グリーンドアの三者に作品を提供してこられたことは(たぶん、ぼくのほかにはいないと思う)幸せだったと言わねばならないでしょう。

《初出情報》

『ママが犯られる!』……『流行小説』1986年9月号
『愛奴の幻影』……………『流行小説』1987年1月号
『夜、飼犬は牙を剥く』…『流行小説』1986年11月号
『異装の夜』………………『小説CLUB』1987年6月臨時増刊号
『狙われた家』……………『小説CLUB』1987年3月号

《書誌情報》

本書はグリーンドア社のグリーンドア文庫シリーズの一冊(通算ナンバー039)として文庫判型で刊行された。
デジタルテキストは電子書店パピレスよりダウンロード発売中。





ISBN4-7669-0579-2
1987(昭和62)年7月30日=初版発行
発行所=グリーンドア社
発売=勁文社

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