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カバーイラスト 新井田孝
カバーデザイン 吉原夢良 


養女

018

薄幸の運命の下に現われた養女・ゆかり
無邪気で可憐な肉体が、
成熟を告げた時、
養父の前で開かれる……
まだ堅い乳房のふくらみが抽送に揺れ、
緊く閉ざされた秘境が恍惚に震え、
しなやかな裸が苦痛と快楽にのけ反る!
そして、
ウエディングドレスに包まれたゆかりが、
養父のもとに残していったプレゼントとは……?

《読者よりの解説&感想》

 私は古書店を経営する40代後半の男性です。もともとは学術書を中心とした目録販売をしていたのですが、店舗を持つと日銭を稼ぐために文庫本や写真集なども扱うようになりました。店舗を持った頃は空前の写真集ブームが始まった頃で、特にロリータ写真集の値段の高さや売れ方の凄まじさは筆舌に尽くしがたいものがありました。
 文庫本の中でも官能小説といえば、フランス書院文庫、マドンナメイト文庫、グリーンドア文庫といったところがよく売れ、ロリータ写真集を多数扱っていた関係で、マドンナメイト文庫、グリーンドア文庫のロリータ系小説が飛ぶように売れました。私も売る側の人間として、何ゆえその商品が売れるのかを知るため、ロリータ系小説はひと通り読んでみました。睦月影郎、吉野純雄、川本耕次など。館淳一さんはマドンナメイト文庫等にロリータ系小説を書かれていましたが、フランス書院文庫に登場してきた『養女』という作品は傑作だと思いました。
 私はこの『養女』という作品を仕入れるたびに一度は読んでから店に並べていたので、何度読んだかわからないくらいです。ちなみに幻冬舎の復刻版『卒業』も同じようにして3回も読んでしまいました(笑)。近年、私も鹿瀬裕介の年齢に近づくにつれ、この小説の心理描写が痛いほどわかるようになってきたのです。
 特に、幼い14歳のゆかりが好奇心いっぱいなのをいいことに、中年の大人の狡猾さで愛奴へと導いていく手法と、一方で良心に苛まれる気の小さなところも良く描けてると思いました。なかでも《三度目の機会から、裕介は十四歳の少女に自分の怒張を口にくわえさせ、舌と唇の愛撫を要求した》というくだりには、何度読んでも興奮し激しく勃起させられてしまうし、ゆかりの処女を奪うシーンも、初めてのアナルセックスのシーンも、ゆかりという少女が愛しくてたまらないという思いにさせられたものです。
 また、その一方で祖父の庄造を、喜久恵・夏子母娘を死に至らしめるゆかりという女の情炎の凄まじさは、館さんの他の作品にも時折見受けられる見事な手法で、幸せな死に顔の祖父と黒こげ死体になる母娘のコントラストも見事だと思います。また親友の緑川美帆をマインドコントロールして、自分に代わる父の愛奴としてフレゼントするというのも、中年の男の悲哀を埋める最高のプレゼントが何であるかを知り尽くしているかのようでした。

 フランス書院文庫としてはかなり早い段階で絶版になったので、まさか三好京三氏に訴えられたのでは……と心配してましたが、単にフランス書院文庫としては内容的に合わないと判断されただけだったようですね。でも、この作品はとても奥の深いもので、何度読んでも味わいのある作品であることは間違いありせん。あえて言わせてもらえるなら私は言いたい、フランス書院文庫で一番の傑作は実はこの『養女』だったのだと。(館さんの作品で一番とは言いません。もっとすばらしい作品を次から次へと書いてもらいたいですから……笑)

                             大阪の古本屋

《作者から》

よく読者から「館さんはこれまで書いた作品のなかでなにが一番気に入っていますか?」と問われます。
作者にとって作品はすべて子供のようなもので、どんな作品もそれなりにかわいいものですが、不思議なことに、あまり評価されない作品がかわいい。(笑) そのよい例が本書『養女』です。

素封家のひとり娘と結婚、婿養子となった学究の徒。夫婦生活はやがて冷えびえとしたものになります。ひとり娘もなぜか父親にはなつきません。
そんな家庭に、突然、もうひとりの「娘」がやってきます。一族のある家で両親が事故死し、ひとり娘が孤児となったのです。主人公はいやがる妻を説得し、少女を我が家へ迎えます。
最初は養女という身分も与えられず、寝たきり老人である祖父の介護や家事全般をやらされる少女は、まさに王子と出会う前のシンデレラでした。初老の域に達してゆく主人公は、やがて少女の発育してゆく眩しい肢体に心を奪われます。
妻の目を盗み、継子をいかに自分のものにするか。聡明な美少女として育ってゆく継子は、養父の欲望にどう応じてゆくか。
古い素封家の屋敷を舞台に、夫と妻、実子と継子、二組の人間たちが物質的欲望と性的欲望の渦巻のなかで動きまわります。
まあ、ハッキリ言えばこれは「性的虐待」の方法論とも言えるのですが、綾なす人間模様はバルザックも顔色のない大傑作なのです。(笑)

作者としてはかわいくてかわいくて仕方がない作品なのですが、世間さまはいっこうに認めてくれません。
フランス書院もはやばやと絶版にして、デジタルデータ版も発売してくれませんでした。まるで「この作品は無かったことにしよう」と考えているみたいに。(笑)
なぜぼくが「お気に入り」として三指の間にいれたいほどかわいいと思い、世間さまがかわいくない、と思うのか、ぜひ何かの機会に復刻版『卒業』を読みになって判断していただきたいものです。

本書は2005年6月、幻冬舎文庫より『卒業』と改題して復刻されました。
詳細はNo.129を参照してください。

《書誌情報》

本書はフランス書院よりフランス書院文庫のシリーズ(通しNo.100)として文庫判型で刊行された。




ISBN4-8296-0100-0
1987年1月10日=第一刷発行
発行=フランス書院
定価=400円

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