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カバーイラスト 井川泰年
カバーデザイン 田中保次


愛人秘書


一流企業の裏に潜む淫靡な快楽世界
羞恥心と輪姦願望のはざまで
美貌の秘書、夏絵は花蜜をあふれさす
熟れた女の肌が匂いたつとき
オフィスには黒い官能と陰謀が渦巻く

《作者より》

作者にとっては、記念すべき長篇第一作です。
それまでは短編、長くても100枚前後の中編しか書いていなかったのですが、編集者からぜひと勧められて、試行錯誤を繰り返し、慣れないキーボードから打ち込んだ文章を消しては書き、書いては消して、ずいぶん時間がかかった作品でした。
それまでの短編は、できるだけ登場人物を少なく整理し、エピソードも簡潔にすることを旨として書いていたのが、それでは「長くならない!」(笑)。
それに、ОLとか秘書とか、その生態を知らないで書くのも申し訳ないと思い、そちらのほうの取材にも時間をかけて、よけい時間がかかってしまいました。

読まれたかたは、もう一度読み返してみると、実に奇妙な構成になっていることに気づくはずです。
あるかたが「回想構造」といみじくも命名してくれたのですが、ある人間が回想する出来事のなかに登場する別の人間がさらにそれ以前のことを回想する――という、回想が入れ子のようにかぶさっているんです。
最大でどれだけ入れ子になっているのか、作者もよく分かりませんが、これは少なくとも正当な小説の作法ではありません。また意識して考えた構造でもないのです。初心者だから無理やり書いてるうちに意図せず出来上がった構造で、以後、館淳一作品には、この「回想構造」があちこちで見られます。

「館ワールド」と呼ばれる世界にはお馴染みの、日常社会のさなかに非日常のスポットが突然現われる、という結構・趣向はこの作品から特徴的です。
つまり非日常の世界に棲息する人間たちの組織が、日常の世界にいるヒロインを取り込んでゆく。その結果、この作品では、昼はふつうのOLが夜は秘密クラブで卑猥きわまりない倒錯ショーの舞台に立ち、ピーターと……するまで、ということになるのです。(笑)
この「組織に頼る」という趣向は『女教師・濡れた下着』などに受け継がれ、軍事組織を模した『大凌辱』のコンバットチームや『黒き欲望の戦士団』シリーズにいたるまで、どんどん過激になってゆきます。

後に『セクレタリ・愛人』と改題されて幻冬舎アウトロー文庫から復刻されたのですが、十数年という時代の経過にもかかわらず、さほど古びたものを感じさせない内容であることに安堵しました。
ただ、当時はまだ「重役」という語は一般的でしたが、今は死語化して「役員」「取締役」と呼ばれるのがふつうです。そういう部分に「時代」を感じとるのも、古い作品を読むことの楽しみでしょう。(笑)

《読者による解説と感想》

多分タイトルを見てみなさんも想像することだと思うのですが・・・
上司と秘書との間での、仕事以外での主従関係のストーリーって。
 私も最初それを頭に置いて読みはじめたのですが、想像していたのとまた違った展開で繰り広げられていくのがとても面白かったです。
 私としてはこの中では、第2の主役(になるのかな?)の紀美子に自分を置き換えて読んでいました。
 いちばん最後に「ピーター」というのが出てくるのですが、まさか・・・
これは全然予想していなかっただけに、ちょっと衝撃的でした。面白かったです。

 全部読み終えた後で思ったのですが、何も考えずいちばんいい思いをしてたのは、この「ピーター」なのではないかと思いました(爆)
 さて、ピーターとは何者?是非読んでみてください!

                   メグ(MLメンバー)

《書誌情報》

本書はマドンナメイト文庫より刊行されて長らく絶版にされていたが、1999年末に幻冬舎アウトロー文庫より『セクレタリ・愛人』の題で復刻版が刊行された。内容はまったく同じである。(リスト参照No.103)



ISBN4-576-86001-1 C0193
1986年2月10日=第一刷発行
発行=マドンナ社
発売=二見書房
定価=400円

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