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カバーイラスト  福田典高


姦られる

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《収録作品》

『姦られる』
『獣たちの聖夜』
『ストロベリーは秘密の香り』
『淫狼は人妻を狙う』
『濡れた蘭は死の匂い』
『禁断の海に溺れ』


《推薦の言葉》

センチメンタル・バイオレンスと呼びたい  映画監督 高橋伴明

 館氏の作品に接していつも感じることだが、女の極めつけのテクニックに瞬時に昇天させられてしまうのに似て、その強引なまでの牽引力で一気にプロローグからエピローグまでイカされてしまう。そのくせ作者の執拗なまでのディテイルへのこだわりと血のこだわりに、いつまでも静かに浸っていることに気づく。
 とりわけ、我々七十年安保世代は、中に位置したものであれ、またその逆であれ、作者の曳きずってきたこだわりを共有してしまう――のならば、このシリーズはバイオレンス・ポルノということらしいが、館氏の作品については、センチメンタル・バイオレンスと敢えてそう呼びたい。
私も?またセンチメンタル・ハードボイルド映画を志向し、その作業の最中である。曳きずってきたものを吐きだし尽くすまで、映画はやめられない、燃えカスになることのみがとりあえずのテーマだ。悔しいが館氏は燃焼後の、その次の自分をすでに見ている気がする。

《作者より》

 記念すべき最初の単行本です。発行は1981(昭和56)年10月。
 SM誌『別冊SMファン』に短編デビューしたのが1975年でしたから、短編を書き続けて6年めのことでした。
 それまでは、SM小説というのはなかなか本にしてくれるところが無くて、唯一、団鬼六さんだけがその特権を得ているような感がありました。
 正直言って、ぼくも、SM雑誌に掲載した短編をまとめてくれるところがよもや現われるなどとは思ってもいませんでした。
 しかし時代は少しづつSMを取り込む方向へと変わっていたのです。一方ではフランス書院が、海外翻訳小説から徐々にSM色の強い官能小説を刊行するようになり、一方では二見書房もまた、青少年向けのポルノというまったく未開の荒野に獲物を求める猟人のように踏みこんできたのです。
 当時、SM小説というと、大御所団鬼六さん以外となると、千草忠夫さん、蘭光生さんの二人が双璧で、当然お二人の作品が標的になりました。団、千草、蘭の三人でしばらくの間、SM官能小説の需要を満たしていたのですが、千草さんは日本出版社が独占するような形になっていたので、残る蘭さんだけでは成熟しつつある市場に応じることだけができません。
 そこでもう少し下のほうの作家を、ということで、二見書房が蘭さんに訊ねたのだと思います。蘭さんを経由してぼくのところに「短編をまとめてみないか」という話はそうやって持ち込まれたました。
 雑誌デビューもそうでしたが、ぼくの単行本デビューも蘭さんのおかげだったのです。
 収録された短編は雑誌別冊『SMファン』(司書房)『SMスナイパー』(ミリオン出版)『SMスピリッツ』(同)などに収録されたものです。
 この『姦られる』新書版シリーズは、実に十数版を重ねました。のちにこのシリーズは消滅しましたが、『剥かれる』『淫れる』『留美子十六歳』まではこのシリーズ版形で世に問われたものです。

 改めて収録作品を眺めてみると、すべて近親相姦ものなのに気がつきました。版元はインセストとハードバイオレンスで売りたかったものと思われます。
 それでも『ストロベリーは秘密の香り』のようなロリもの(姉妹レズ!)が収録されているのはご愛敬ですね(笑)。この作品は後の『セーラー服恥じらい日記』シリーズの原型となったものです。

 表紙カバー裏の推薦文を書いてくださった高橋伴明監督は、やはり近親相姦に非常な関心をお持ちで、かねてから雑誌収録のぼくの作品を読んでくださっており、自分の監督作品の原作に『淫れる』を使ってくれました(リスト2『緊縛獄舎』参照)。その縁で編集部が依頼してくれたものです。
『姦られる』『剥かれる』『淫れる』三部作はいずれも短編集ですが、後のぼくの作品に現れるすべての要素が凝縮されています。活字本としては絶版なのが誠に残念ですが、オンラインでダウンロードできますので、まだ読まれていない方はそちらでお読みになってください。

                         館 淳一

《初出情報》

『姦られる』……『別冊SMファン』掲載号調査中
『獣たちの聖夜』……『別冊SMファン』1977年1月号
『ストロベリーは秘密の香り』……『SMスピリッツ』1981年2月号
                 (レズっ子姉妹の熱い夜)改題
『淫狼は人妻を狙う』……『SMスナイパー』1979年11月号
『濡れた蘭は死の匂い』……掲載誌調査中
『禁断の海に溺れ』……『SMスピリッツ』1990年10月号

《書誌情報》

本書は二見書房サラブレッド・ブックス(通称サラ・ブックス)のシリーズとして新書判型で刊行された。
後にこのシリーズは廃刊となり、マドンナ社よりマドンナメイト文庫シリーズが発刊されると、内容はそのままで、すべて文庫化された。(No.9参照

巻頭作品『姦られる』は当ホームページからもダウンロード閲覧ができる。


ISBN4-576-00142-6
1981(昭和56)年10月20日=初版第一刷発行
発行=二見書房
定価=750円(絶版)


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