瑠美子妹十六歳   / 館 淳一作

「私を、久美子姉さんみたいに、して」 まだ高校生の瑠美子がそういったとき、彼女より二十歳も年上の泰介は、 (こんな可憐な少女も、姉の淫奔な血を受け継いでいるのか……) と、驚きよりもある感慨にとらわれたものだ。

 瑠美子には、四つ年上の久美子という姉がいて、彼女は霜田泰介と一種の愛人契約を結んだ関係である。

         *

 霜田泰介は海外文学の翻訳家として少しは名の売れた男だ。彼は東京から電車で二時間ほどの海岸沿いの町に住んでいる。

 夏のいっときはレジャーや別荘の客で混雑するが、いつもはひっそりと眠っているように静かな町だ。泰介はこの土地の出身ではない。妻と別れたのをきっかけに都心を離れ、喧噪をさけて、数年前にこの土地にやってきたのだ。 彼は、かつては誰か外国人の別荘だった洋館を買った。松林のなかに埋もれたように建っていて、周囲と孤絶しているところが、狷介な性格の男の気に入ったからだ。

 松林の向こうは砂丘で、そこから、いつも波の荒い海岸線に出られる。波浪注意報が出ているときなど、海鳴りが間近に聞こえて、砂の粒がひたひたと鎧戸を叩くのだ。 泰介は三十六歳。再婚したいという積極的な意志もなく、気楽なひとり暮らしを楽しんでいる。

 翻訳の仕事が一段落したり、逆に行きづまったときなど、彼は歩いても数分のところにある国道沿いの喫茶店『マリーン』によく足を運んだ。 経営者は地元の高校を定年退職した美術教師だという。なかなかうまいコーヒーを飲ませるので、泰介は日に一度は、この店に顔を出すのが習慣になっていた。

 その年のシーズンも半ばすぎた頃、『マリーン』に新しいウェイトレスが勤めだした。 年齢は二十前後。身長は百六十センチをいくらか超すと見える大柄な体格の子だ。艶やかな黒髪を肩まで垂らし、やや厚ぽったい唇が肉感的だ。とりわけ美人というほどの娘ではないが、泰介は、彼女の発散する不思議なエロチシズムに惹きつけられた。

 そのウエイトレスが麻生久美子だった。

「あの娘は姪なんです。母親から、家でブラブラしてるのもなんだから、使ってくれと頼まれましてね」

 マスターは、常連客の泰介に語った。久美子の家は駅前の目抜き通りにある薬局だという。東京の大学に進んだらしいが、何か事情があって故郷に戻ったらしい。言われてみると、なるほど都会の空気を吸った娘らしく、垢抜けたところが見受けられる。 彼女は人見知りしない性格で、すぐに泰介のことも「先生」と心安く呼ぶようになった。彼の眼鏡といい、顎髭といい、いかにも学者めいた風貌をしているからだ。

久美子はミニスカートを愛用していて、その裾からのぞくムッチリと肉づきのよい太股や、スカートがはちきれそうなぐらい張り出しているヒップを見るのは心楽しい。 また、彼女の体臭も魅惑的だった。若くて健康な肉体から発散する匂いは子猫のそれのような特有の甘い獣臭さがあり、特に汗ばむような陽気のときには腋わからツンと刺激的な香りが発散して、それを嗅ぐと泰介は脳が痺れるような気がした。

 もっとも、マスターの監視下にあるらしい娘なので、泰介は持参してきた洋書を読むふりをしながら、横目で久美子が仕事をしている姿を眺め、近くを通るときにふりまく若い牝の芳香を吸って満足していただけだが。 ある日のことだ。

「先生、おかわり、いかがですか」

 新しい煙草に火をつけていると、久美子がやってきて訊いた。彼はいつも二、三杯、アメリカン・コーヒーを飲む。

「うん、頼むよ」 彼女の方をふりむいたとたん、手がコップに当たって床に落ちた。割れはしなかったが、水が飛び散った。

「あっ、いけない」

「いいです。私がやりますから」

(……!) これまでも何回か、彼女がほかの客にサービスするため身をかがめたりするとき、チラと白い下着が見えたりしたことがあって、そのたびに泰介はドキッとしたものだが、こんどのは、それ以上の衝撃的な眺めだった。

 彼女は、肌色の透明なパンティストッキングの下に淡いピンク色のパンティをはいていた。その布地は薄くて、陰毛を黒々と透かせている。しかも、故意か偶然か、床にしゃがみ込んだ久美子は、両の股をやや開きぎみにしたので、泰介は秘裂にパンティの股布が縦一文字に食いこんだ眺めをありありと見て取ることができた。

「あら」

 かがみこんで、ビニタイルの床の水を拭いていた久美子が、ふと顔を上げて泰介の視線が自分のスカートの奥に注がれていることに気がつくと、

「いやだ、先生」

 久美子はメッと彼を睨む仕種をした。それは彼の好色の窃視を咎めているのではなく、どちらかというと媚態めいたものだった。

「いや、きみが無用心だから……」

 泰介は悪戯を見咎められた子供のように狼狽した。

「いいのよ。でも、先生ってひとり暮らしなんでしょう?刺激しちゃったかしら」

 立ち上がってスカートを直したウエイトレスの態度にも口調にも、気を悪くしたようすはなかった。逆に嬉しがっているようだ。(この娘は見かけによらず、相当に男というものに馴れているのではないか)

 泰介はそう思った。彼は以前に、ある予備校で講師をやっていたことがあるが、 その時、おとなしくて無邪気そうな顔の娘が、実は性的にきわめて奔放で、男子学生と見境なく寝ていたことを知って驚いたことがある。久美子は、その時の少女と似た雰囲気があった。――それ以来、泰介の久美子を見る目が違った。久美子もずっとなれなれしい態度をとるようになった。時には、泰介の視線を意識したかのように、見られることを承知で身をかがめてミニスカートの下の下着をチラと見せたりする。泰介は訝った。

(露出願望の強い娘なのか。それとも、おれの本性を見透かして挑発してるのか?) たしかに泰介は、見かけによらず好色な性質で、しかも人にはいえないような倒錯的な嗜癖をもっている。彼は月に二度ほど上京するが、それは仕事の打ち合わせばかりではなく、倒錯した性的欲求を満たすためでもある。

 彼はSMクラブに行くのだ。

「先生、久美子、相談したいことがあるんだけど……」

 いつものように店にやってきた泰介に、肉感的な若い娘が囁くような声ですり寄ってきた。 秋の連休が終わった暇なシーズンで、店には客の姿はない。マスターも久美子に店番をさせてどこかへ行っていた。つまり、小さな喫茶店で久美子と泰介は二人きりなわけで、おそらく彼女は、そのチャンスを待っていたのだろう。瞳が熱っぽい光をおびていた。

「なんだい」

 泰介はカウンターの席に腰をおろした。熱いコーヒーがすぐ目の前に置かれる。

「ね、先生。久美子の身体に興味ない?」

 彼女は直接的な言葉を口にした。泰介の隣の席に腰をおろし、豊満なボディを密着させるようにすると、甘い体臭が泰介の鼻腔を刺激した。

「そりゃ、あるさ。久美ちゃんの身体を見てクラクラしない男はいないよ」

 冗談めかして答えると、

「それじゃ……」

 これまでになくなれなれしい口調になったウエイトレスは、さらに自分の暖かい肉体を泰介に擦りつけるようにして、またまた意外な言葉を吐いた。

「私を愛人にしてくれない?」

「愛人?驚いたなぁ。どうしてだい?」

「お金が欲しいの」

「それだったら東京へ行けばいい。君ぐらいの女の子だったら、いくらでも稼げるぜ」

「それがダメなのよ。一回、東京から連れ戻された身なんだから」

「なぜ?」

「うーん、じゃ、恥をしのんで白状するわ」 

自分よりずっと年上の男に挑発的な視線を向けて、久美子は気楽な口調で打ち明け話をしはじめた。

「私、東京で短大に行っていたんだけど、その時、ホテトルで働いていたの」

 危なく泰介はコーヒーカップを取り落とすところだった。 「ホテトル?久美ちゃんが?」

「そうよ。これ、内緒だからね。誰にもいっちゃダメよ。先生を男と見込んで打ち明けるんだから……」

――彼女は地元の高校を卒業すると、上京して短大に進んだ。ところが、生来遊び好きな性格で、都会の生活に慣れ親しむにつれて、たちまち仕送りが底をつくようになった。かといって普通のアルバイトでこつこつ稼ぐ気質でもない。 そんなとき、こっそりホテトルでアルバイトをしていた親友が、彼女を誘い込んだのだ。

 ホテトル――かんたんにいえば、客といっしょにホテルへ行き、セックスの代償として金を得る売春ビジネスだ。 久美子は性的に早熟な体質で、初体験はとっくにすませていた。セックスの好奇心も強い。わずか二時間かそこらで、普通のアルバイトの何倍もの報酬が得られると聞いて、ほとんど躊躇することなく、誘いにのった。

「ところが、そのホテトルが警察に挙げられちゃったの」

ぜんぜん悪びれるふうもなく、あっけらかんとした口調で二十の娘はいった。

 当然、客をとっていた久美子も、売春容疑で警察に呼び出されて調べを受けた。

「おかげで親にも学校にもばれて、さんざんな目にあっちゃったわ。それで『東京にはいさせられない』って連れ戻されちゃったの」

 ペロリと舌を出してみせる。どうやら彼女は、悪いことをしたとはまるで思っていないらしい。世間一般の道徳や論理感と無縁なところが、この娘にはある。 泰介は唸った。最近は、ごくあたりまえの娘たちが平気で売春をするようになったが、久美子もそのひとりだったとは……。

 彼女の親は、この町では娘の行状が知れていないのをさいわい、家事手伝いをさせながら、適当な時期に嫁がせる腹づもりらしい。

「でも私、家にいても息がつまるでしょ。できればアメリカに行きたいの」

 いっしょに退学になった級友が、いまはロサンゼスにいて日本料理屋に勤めているのだが、そのうち自分で店を出す計画があるので、そうなったら彼女に来て、手伝ってほしいといってきたのだ。彼女は乗り気になった。 ただ、そのためには旅費も含めて資金がいる。もちろん、親が許すわけがない。 叔父の経営ということでようやく家を出て働くことを許された『マリーン』の給料ぐらいでは、どうにもなるものではない。

「なるほど。それで目をつけられたわけか」

泰介は苦笑した。この娘は、一見教師然とした風貌の彼がじつは好色で、自分の肉体に魅せられているのを察するや、たちまち楽に金を稼げる方法を考えだしたのだ。

「だって、先生は奥さんもいないし、お金だって余裕があるみたいだし、それに気も合いそうだしさ。……金になれば、誰でもいいってもんじゃないでしょ」

「光栄だね、それは」

 隣に座っていた久美子は、つと彼の手をとると、自分の膝に導いた。あいかわらず短いミニスカートは、カウンター席の丈の高い椅子に座ると、太股の半ばまでずりあがる。 彼の手はむきだしになった股肉のむっちりした肌に触れた。パンティストッキングごしに熱い、弾力に富んだ肉の感触が伝わる。(ま、のってみるか……)

 晩秋の午後、入ってくる客は誰もいない。泰介は思いきって、久美子に導かれた手を自発的にミニスカートの奥へ滑らせた。

「あら、大胆ね」

 そういいながらも、うら若い娘は拒むふうもなく、かえっていくぶんか下肢を開く。

  「売り物は確かめてみなきゃ」

「じゃ、どうぞ……」

 久美子の瞳がうるんだ光を帯びると、それは男をぞくっと戦慄させるほどあだっぽい。むちっと若い牝の体臭が強まる。

 泰介の掌が、指が、赤いミニスカートの下で小さな蛇のように蠢いた。

「ふふ、くすぐったい……」

 独特のハスキーな声で、久美子が含み嗤いをして身をよじる。そうすると、ブラウスの下の豊かなふたつの隆起がぶるんとふるえる。 泰介の指は股のつけ根に達した。そこは驚くほど熱く、じっとり湿っていた。(この娘はもう濡れているのか……?)

 久美子の表情を窺うと、ややまくれあがったような上唇の上に汗が浮いている。 確かに彼女は、泰介に股を淫らがましくさわられて興奮しているのだ。(ふむ。意外と拾いものかもしれん……)

 泰介はパンストとパンティに二重に防護されている部分を撫でまわし、そこが充分に脂肪をのせてふっくら盛りあがっているのを確かめた。恥丘から大陰唇への肉づきは、性器がどれほど発達しているかを示す。太ってはいても、この部分が貧弱だと性感は乏しい。久美子のそれは申し分のない隆起をみせていた。彼はミニの奥から指を引き抜き、鼻に近づけた。ツン、と酸味を帯びた匂いが鼻を衝いた。牝の刺激臭に泰介は昂ぶった。「いやねぇ」

「いい匂いだ」

 こんどは、久美子が泰介の股間に触れてくる。彼が昂まっているのを確かめると、まるで宝物を見つけたような嬉しそうな表情をしてチロリと舌を出して唇を舐める。

(セックスが好きでたまらないんだな)「条件は? 月にどれくらい欲しい?」

「そうね……、私はよくわからないんだけど**万ぐらいじゃどうかしら。友達で特定のおじさんから月ぎめの援助交際してもらってる子が、それくらいもらってたの」

「その倍出すよ」

 泰介は提案した。別れた妻は再婚したので扶養料を払う義務はない。ひとりで暮らしていく分にはあまり金もかからず、このところ順調に仕事をこなしている彼には、それだけ出したところで、たいした負担ではない。(それに、月に二回、東京で金を出してプロの女を買うことにくらべれば……)

「え?」

 久美子は泰介の気前のよさにびっくりした表情を見せた。その金額だと半年もすれば渡米資金ができる。表情が輝いた。

「ただし、こっちにも条件がある」

「どんな……?」

「僕は、ちょっと他人と違った趣味があるんだ。それを満足させてくれること」

「違った趣味って……?」 

久美子は訝しむ表情になった。

「SMさ」

 思いきっていってみると、久美子は意外と驚いた様子も見せずに、

「へえ。そうなの」

 ホテトル嬢をしていれば、SMという言葉も珍しくはなかったのかもしれない。

「じゃ、鞭だとか蝋燭だとか、浣腸をして喜ぶほうなのね?」 

あけすけに言われて泰介は苦笑した。

「まあ、そうだな、いやかい?」

「うーん……」

 久美子は返答をためらった。彼の指示した多額の金額とくらべているのだ。

「SMって、経験がないから……でも、興味がないことはないわ。縛られたりした女の人を見ると、なんだかゾクゾクするわ」

「それじゃ、マゾの素質があるんだ」

「いやだ。そうかしら……」

 久美子はケラケラと笑った。歯茎はピンク色に輝いている。若さのしるしだ。まんざらSMという行為をいやがるふうではない。

「それじゃ、一度試してみれば。それでノレなかったら、やめればいい。一度、僕の家に来なよ。知ってる?」

「うん、この坂を下ったところの、前、外人さんが住んでいた家でしょう」

うなずいてから、久美子は泰介の顔を覗きこんだ。顔がやや紅潮している。

「じゃ、今日の夕方行っていい?」

 チロリと桃色の下が赤い唇を舐めた。それがなんともいえずエロティックだった。

 麻生久美子はその日の夕刻、愛用しているミニバイクの軽快な排気音を響かせて、泰介の住む洋館にやってきた。

「すてきなお家ね!」

 居間に案内された久美子は、石づくりのマントルピースがある室内を埋めた絵画、陶器、骨董ものの調度など、泰介のかずかずの蒐集品を見て無邪気に驚きの 声をあげた。

「わざわざ、来てもらったから、お小遣い」

 彼が何枚かの札を手渡すと、彼女の瞳が輝いた。金銭に対する欲望はたしかに強い。

「ありがとう。先生」

「じゃ、これから、SMやってみようか」

「うん」

「こわくないかな」

「でも、先生は私が気に入るか、確かめたいんでしょう?どうすればいいの?」

「ただ、ぼくの命令に従えばいい。つまり、ぼくが主人で、きみが奴隷だ」

「奴隷。……その言葉、好きだわ。なんだかゾクゾクする」

「いったな。あとで泣きごとをいうなよ」

 この若い娘は、本当にマゾの資質を備えているのかもしれない。泰介は彼女に苦痛と屈辱と快楽の極限を体験させ、性の深渕を見せつけてやりたいというサディスティックな気持ちが、湧きあがってくるのを覚えた。

「よし、久美子。服を脱げ」

 唐突に泰介が命令すると、

「え、ここで?」

 元女子大生の娘は目を瞠った。

「そうだ。おまえが奴隷にふさわしいかどうか、体を調べてやる」

泰介の急変した態度は高圧的で、奴隷を所有する主人のように威厳があった。

「あ、はい……」

 久美子も、ようやく”主人と奴隷”というSMゲームが始まったことを理解した。

 気に入られれば、契約愛人として多額の金を毎月もらえるのだ。すなおな態度で答えると、肘掛け椅子にゆったり腰かけた泰介の目の前で、久美子はピンクのセーターを脱いだ。次に赤いミニスカートを床に落とす。パンティストッキングはベージュ色で、その下は淡いピンク色の、フリルの裾飾りがついたスキャンティ。女の豊饒を包むぴっちりした下着は、男の欲望をそそらずにはおかないセクシィなデザインで、薄い布は黒い逆三角形を透かせている。泰介の牡の血が騒いだ。

「ブラジャーをとっておっぱいを見せろ」

「はい」 さして動じるふうもなく、黙って両手を後ろにまわし、少し前かがみになってブラのホックをはずした。男の前で脱衣するのに慣れているのだろうか。

 伸縮性のあるナイロンのカップで押しつけられていた豊かな肉の果実がふたつ、ぶるんと揺れてはずみ、全容をさらけだした。

「大きいな。何センチだ」 「……九十ぐらいはあると思います」 

そういいながら、久美子はうつむいてウエストに手をやり、パンティストッキングの腰ゴムをつかんだ。

「パンティはまだはいてろよ」

「はい」

 腰をかがめて、まるで第二の皮膚を剥くように薄いナイロンを脚から抜きとる。

「よし、手を後ろにまわして、ちゃんとこっちを向いて立つんだ」

 愛奴になることをみずから志願した娘は、豊満なヒップには小さすぎて、はちきれそうな感じで貼りついているビキニのパンティ一枚の格好で、いわれたとおりの姿勢をとった。 みごとな肉体だった。

 海沿いの町に住む娘にしては、肌のきめがこまかく、あまり日焼けもしていなくて、色が雪のように白い。泰介は気に入った。彼は、浅黒い、ザラついた肌の女を見ると欲望が萎えてしまうたちなのだ。    ――そして、薄蒼い静脈を仄かに透かせながら豊かに突き出した乳房。 乳輪は色白の女にありがちなように大きめで、乳首はややセピアがかった色素の中央に陥没ぎみだ。見るからに重たげな紡錘形の隆起だが、まだ衰えを知らない筋肉にささえられて、その張り出しにたるみはない。

 そして腹部にかけての曲線は、乳房と腰の張り出しを協調するようにくびれていて、思ったよりも引き締まっている。

「いい体だ」

 泰介はパンティ一枚の久美子を、両手を顎の後ろに組んだ姿勢のまま、両膝をつかせた。その姿勢は豊かな胸をいっそう強調する効果がある。泰介は手を伸ばして、彼女の左の乳房を掌でくるんだ。 詩人は“乳房は掌のためにある”とも“男の最初の餌食”とも表現した。おそらく、これまでに彼女の裸体を前にした男は誰でも、まず、この豊かに息づく柔肉を鷲づかみする衝動をこらえられなかったにちがいない。

「いい、おっぱいだ」

「……」

 予測していたのだろう、マシュマロのような感触の隆起を泰介が揉みしだくと、唇を軽く噛むようにして堪えている。泰介の掌に、陥没していた乳首がせりだしてくる感触が伝わった。 こんどは両の掌で両のふくらみをくるみ、強く、あるいは弱く、ときにこねまわすように揉みしだくと、悩ましげな呻きがふっくらと厚ぼったい唇の隙間から洩れた。すると、男の視線に曝している、剃毛された腋かを中心として、酸味を帯びた強い匂いがたち昇った。それは、化粧品の芳香とミックスして、牡の理性を痺れさせる効果があった。  

「こい」 

泰介は大ぶりな娘の肉体を抱きよせた。ごく自然に膝に座る形になって、彼の背に両腕をまわしてしがみついてくる。

 柔肌と肩までとどく黒髪からふりまかれる牝の芳香に酔いつつ、泰介は娘の半開きになった唇に自分の唇を重ねた。 彼の舌が滑りこんでくると、久美子も歯と舌で巧みにそれを受け入れる。絡み合う舌と舌。彼女のキスは、同じ年頃の他の娘とくらべれば、技巧において格段にすぐれていた。しかも、手がゆっくりと這いおりて、いつのまにか泰介の股間をまさぐっている。

(ホテトルで勤めている間に習熟したのだろうか、それとも……) 泰介の右手もゆっくりと脇腹のカーブに沿って愛撫しながら、薄い布に覆われた地帯へと這いおりていった。すべやかなその布片は触れてみると高級な木綿素材で、股の部分はすでに驚くほど濡れていた。しかも熱い。久美子は泰介の手で乳房を愛撫されているうち、欲望を喚起されて性愛器官からおびただしいおんなの蜜を溢れさせていたのだ。

「もう、こんなに濡れているのか」

「いや……」

 いっそうしがみついてくる身ぶりが愛らしい。 しばらくパンティの布地ごしに久美子の秘密の谷間あたりを指で玩弄し、熱い喘ぎを吐き出させると、命令した。

「真っ裸になれ」

 ふたたび立った娘は、媚をふくんで潤んでいる目を彼からそらそうともせず、腰をかがめて小さな最後の布片をひきおろし、爪先から抜きとった。

「それを裏返しにして、渡すんだ」

「いやあ……」

 全裸になるのにも躊躇しなかった娘が、はじめて動揺した。さすがに自分の汚れを滲みこませた下着を渡すのは恥ずかしいらしい。

「いうことをきかないと、お仕置きだぞ」 

そう言われて、しかたなさそうに自分の秘部を覆っていた下着を裏返し、さしだした。二重になった股布の部分は、性愛器官から溢れた蜜状の粘液でべっとりと濡れている。そこからたちのぼる牝の魅惑的な匂い。

「これはなんだ。久美子。こんなに汚しているぞ」

 泰介が言葉でなぶってみると、

「あ……ン」

顔を覆う。そうすると下腹部が無防備になり、秘部が視線に曝される。黒い翳りは思っていたより薄めだが、秘草の一本一本は縮れて、全体としては秘裂の頂点から黒い炎が渦巻くように燃えさかっているように見える。

「よし、二階に行くんだ」

 羞ずかしがる風情に欲情をそそられた泰介は、一糸まとわぬ姿にした久美子の臀を叩いて追いたてた。

 久美子は二階への階段を昇った。下から追う泰介の視線は、プリプリ揺れ動くみごとなヒップとつけ根から、まるで尿を漏らしたように液体が太股を濡らしているありさまをとらえた。

(この娘は淫乱症ではないか) そう思うほどの異常な濡れ方だ。

――この洋館は、一階に居間、食堂、キッチンがあり、玄関ホールの突きあたりにある階段を昇ると、二階に寝室、泰介の仕事部屋である書斎、それにトイレと共用になったバスルームがある。寝室にバスルームを付属させているのは、この家が西洋人によって設計されたからだ。バスルームには猫足の古風なバスタブとともに、ビデまでが設置されている。 久美子が連れこまれた二階の寝室はかなり広く、床には濃紺のカーペットを敷きつめ、大きめの古風なデザインのダブルベッドが置かれている。これも前の住人が愛用していたもので、頭と足の側に鉄製の飾り枠がついていて、四方に飾り柱が突き出している。

 よく西洋の責め写真などに、このような寝台に犠牲者が拘束されたものがあるが、泰介はいつも、このベッドでそのような責めをやってみたかった。いま、それを試すための生贄が、この寝室に入ってきた――。 鎧戸は閉ざされて、熱いカーテンも引かれ、寝室のなかにはベッドサイドのテーブルに置かれた古風なランプの明かりだけである。ランプシェードのくすんだ色で拡散された光はいかにも淫靡な雰囲気を醸しだしている。

 白いシーツだけを敷いたマットレスの上に愛奴志願の若い娘は這いのぼる。 泰介はベッドの傍らの椅子にどっかり腰をおろして命令した。

「よし。こっちを向いて股を広げろ」

 あくまでも従順に、全裸の娘は、ベッドの上で下肢を割り広げる淫猥な特出しポーズをとった。そうすると、縮れて艶のある陰毛に飾られた牝の性愛器官が内部の構造をそっくり視姦されることになる。

(ほう……) 泰介は息を呑んだ。

 ゆたかに盛りあがった大陰唇の内側で紊乱に咲きほころんでいる、菫の色をのせたラビア。その奥に紅鮭の色を秘め、ねっとりした女の露で濡れそぼった花芯。 泰介は逸る心を押さえて命令した。

「よし、そこでオナニーしてみろ」

「いや……ン」

 媚態の中に羞じらいを見せて裸身をくねらせる。

「すけべ娘のおまえのことだ。毎晩、オナってるんだろう」

「そんな……」

「いやなのか」

 泰介は立ち上がってズボンの革ベルトを抜いた。バックルの方に手首をからめて、軽く太股を鞭打った。 ピシ。

「ひっ」

「命令に逆らうと、痛い目にあうぞ」

「……」 

ちょっと恨めしげな顔をしたが、ひくひく息づいているような秘裂からは、女の露が溢れて股を濡らしている。明らかに、男に強制されて恥ずかしい目にあわされることを期待し、そのために欲情している。

 彼女のルビー色にマニキュアした指が、そうっと秘毛をかきわけるようにして肉の裂け目へ這いおりていった。顔はさすがに俯きかげんにして、視姦する年上の男を直視しない。 親指と中指が花びらを分け、人さし指がしなやかに動いた。

「む……」

 ふっくりした唇が半ば開き、大胆に自慰の動作をする娘は、熱い吐息を洩らした。ねっとり濡れた粘膜を指の腹が摩擦する淫靡な音が断続した。覆うものがない豊かなヒップが揺れる。くねる。牝の匂いがむせるようだ。

「あ……ン」 

自分で自分を辱める行為を、男の前で繰り広げながら、久美子は自淫の快感に酔い痴れていく。それは、このうえなくエロティックな眺めであった。

(この娘、思ったとおり露出願望が強い) 露出願望が強いのはマゾの特質だ。自分のあさましい痴態を見られるほどに昂奮する久美子は、まちがいなくマゾヒストの性格を秘めている。

 泰介は立ち上がってクローゼットを開け、黒革のスーツケースを取り出す。なかにはSMプレイに使うさまざまな道具がぎっしり詰めこまれている。彼は上京するときはいつもこのスーツケースを持参し、SMクラブの女をホテルに呼びよせて楽しむのだ。 彼は金属製の手錠を取り上げ、ベッドに近寄った。

「よし。両手を後ろへまわせ」

「……」

 手淫していた娘は快感にとろりと酔った目をしていて、愛液で濡れそぼった指を股になすりつけるようにしてから、両手を背後にまわす。反抗や逡巡の色はない。 ガチャリ。

 冷たい金属の輪が久美子の両手首にはまって、彼女は自由を奪われた。その瞬間、オールヌードのふくよかな体に戦慄が走った。

「これで、おまえはおれのものだ」

 そういって、泰介は久美子の体を仰向けに押し倒すと、二本の大理石でできた柱のように、艶があってなめらかな乳色の股をこじあけるようにして、そのつけ根、むうっと牝の刺激的な芳香がたち昇る牝芯のまんなかに顔を寄せた。

「いや……ぁ」

 ピクンと久美子のグラマラスな肢体が跳ねた。敏感な部分に男の唇を受けたのだ。そして舌の攻撃。

「あ、あっ。せんせい……っ。汚れてるのっ。お風呂に行かせて」

 たしかに、彼女の秘部は尿と膣口からの分泌物、愛液にまみれて特有な乳発酵物質様の臭気を発散させていた。しかし、健康な若い娘の性器臭を、泰介は嫌悪しない。それはかえって彼の理性を麻痺させ、獣的な欲望の炎を燃えさからせる効果がある。

「うるさい」

 牝臭を胸いっぱいに吸いこみ、おもむろにぬるぬるした分泌液を吐き出している花芯に舌をさしのべ、溢れる液を舐め啜る。

「あ、あう……ン!」

 後ろ手に手錠をかまされて抵抗のしようがない久美子は腰をよじり、身悶えしながら快美の呻きを紅唇から洩らした。 泰介は唇、舌、歯を使い、又指も参加させて蜜まぶしの牝蕊に執拗な攻撃をかけた。すでに充血し、驚くほど膨張しているクリトリスは、軽く指をあてがうだけで包皮のカバーを脱いで真珠色に輝く全容を露にしている。充分に発達した秘部のありさまは泰介の目を楽しませた。

「お、おおお……」

 啜り欷く声が快美を訴えるよがり声にかわり、やがて獣の咆哮するような大声を張りあげて、愛人志願の娘は絶頂した。裸身が弓なりにそりかえり、内腿から爪先までがぶるぶると痙攣する。

(たしかに感度はいい……) 溢れる甘い蜜を啜りながら、泰介は思った。久美子にはほかのことを考えずにひたすら快楽のみを貪ろうとし、淫靡の世界に積極的にのめりこんでゆこうとす留性質がある。それは、過敏なほどの性感に恵まれているからこそだ。そして、既成の道徳や論理によって縛られていないことが、それを助けている。

                    5

泰介は、オーラルの刺激だけで屈服した娘を、後ろ手錠をかませたまま浴室へ追いたてた。 古風なバスタブのなかに立たせ、自分も素っ裸になって、泰介は石鹸の泡を久美子の豊かなバストから股間、爪先まで塗りたててやった。

「あ……ン」

 下腹の茂みから肉の割れ目まで指を入れて洗ってやると、まだ真珠のような肉芽をぽっちりと充血させている久美子は、とろりと蕩けるような目をして悩ましく呻き、それでもみずからすすんで股間を割りひろげる。

「ここもだ」

 石鹸の泡を臀部丘の谷間の奥へ塗りこみ、排泄のための肉孔をさぐる。

「あ、いや……」

「ふふ。きれいな穴だ」 

若い娘でも便秘がちな子は、肛門の肉襞が異常に変形し、ときには瘤状に突出してきたりする。久美子のアヌスはなんの変形もない。サド傾向の男の例に洩れず、泰介は女性のその部分を責めることに興味がある。だから指をぐいと突きたてる。

「あ、うっ。やめて!」 

驚いて悲鳴をあげ、豊臀をくねらせる。かまわず指をこねまわすようにして内壁をさぐる。指の腹に触れるかぎりでは、肛門粘膜にも異常はない。

「よし」 

指を引き抜くと、久美子は「はあっ」と息を吐いた。膝ががくがくしている。

「ここで、セックスしたことはあるか」

「……ありません」

「では、あとで教えてやる」

 泰介は自分のなかば充血した欲望器官を久美子の眼前に突きつけた。

「さあ」 

命令されるまでもなく、久美子は唇をOの字に開け、牡の器官をすっぽりと口腔に受け入れた。泰介は滑らないように背後の壁に手をつき、腰を突き出し、喉奥まで攻める。

「ぐ、ぐ……」

苦しげに顔をしかめながらも、唇をすぼめたり舌先で亀頭の先端や下側を軽く突くようにしたり、歯を軽く怒張にあてがったりしてたくみに刺激する。その技術はやはり、ただの素人娘のものではない。ホテトルで働いていたときに習熟し たものにちがいない。

「う、む……!」

 泰介の器官は久美子の口のなかでみるみるうちに膨張の極限に達した。このところ仕事つづきで禁欲を強いられていたせいか、予想より早く折り返し不能点を越えた。彼は後ろ手錠のまま、自分の股間に跪いて口唇奉仕をつづける久美子の黒髪をつかんだ。

「呑め」

 そう言いつつ、熱い雄精をしぶかせた。 久美子の白い喉が鳴った。唇を使って、ミルクを絞るように最後の一滴までを飲みくだす。

「おいしい」

 ようやく彼の下腹に埋めていた顔をはなすと久美子は年上の男を見上げて、嬉しそうな表情を見せた。泰介はふいに愛おしさを覚え、たった今、彼の精を受けた唇に自分のを重ねた……。

  6

 全身を洗われた久美子は、真っ裸のまま寝室に連れ戻された。

「これからが本番だぞ」

 泰介の放った精液を飲まされた娘は、こっくりとうなずく。泰介は、手錠をはずしてやってから、キングサイズのベッドに久美子を仰臥させた。

 それから、スーツケースから取り出した綿ロープで、彼女の両手両脚を、ベッドの四隅に立っている鉄製の飾り柱に縛りつけ、まるで標本の蝶のようにピンと四肢を展開させて拘束してしまう。

「どうだ、縛られた気分は。自分の姿を眺めてみるか?」

 クローゼットの扉を開け、裏側に取りつけてある全身を映す鏡に、彼女の縛られた姿態が見えるようにしてやる。

「いやァ……・」

 下肢は割り裂かれて、女の秘密の部分が露呈されているポーズだ。さすがに羞恥の色を見せて顔をそむけるようにした久美子だが、横目でチラと鏡の中の自分の浅ましい姿を見る。そうすると、驚いたことに花びらの奥から透明な液が溢れてくるではないか。(この娘、特出しポーズで縛りつけられた自分のヌードを見て、昂奮している……)

 泰介は、あらためて久美子が人一倍、マゾの資質に恵まれていることを確認した。(よし、それなら徹底的に泣かせてやる)

 泰介はスーツケースの中から、家具用の羽毛ブラシと洗濯ばさみを取り出した。 まず、羽毛ブラシを首筋から乳房へさっとひと刷きすると、

「ひっ」 久美子はびっくりするほどの悲鳴をあげた。かまわずに脇腹を撫でる。ピクンと柔らかな肉がうち顫え、その周囲に鳥肌がたった。

「やめて、くすぐったいッ。かんにんしてえ!」

泰介も驚くほどの敏感さだ。女体の感度は個人差がきわめて大きい。これまで泰介の相手をして、この羽毛ブラシで撫でられた女たちのなかでも、尿を漏らすほど苦悶して絶叫した女もいれば、まったく平然として、ケラケラ笑う以外になんの反応も見せなかった女もいる。

「ふふ。くすぐられると弱いようだな」 

泰介はにんまりと笑うと、さらにブラシを柔肌にあて、悲鳴と哀訴を絞り出させた。生贄の肌が敏感であればあるほど、羽毛のようなものが恐るべき拷問道具となる。

「ゆ、許してえ!」

「俺の質問に正直に答えたら許してやる」

「は、はい。答えますからくすぐらないで!」

「よし。ホテトルで相手をした男の数をいえ」  

「そ、そんなに多くないです。十人くらい」

「嘘をつけ」

「あーっ、やめてえ!」 

白い喉をそらせて苦悶する女。涙が溢れて頬を伝う。その敏感さに泰介も驚くほどだ。

「あう、あわわわぅぅ……!」

羽毛が内腿を撫でる。びくびくと痙攣する筋肉。またじっとりと脂汗が雪白の肌に浮き、黒髪が濡れた額に貼りつく。

「どうだ」

「いいますぅ……っ。二十人ぐらい……」

「そんなはずはないだろう」

 「本当です……。あ、ああああ!」

 ベッドがガタガタというほど、若い娘は悶える。許しを乞うて泣き狂うのを無視して、羽毛は淫らな動きをともないながら脇腹から臍へと這う。

「ひい、いいいっ!おおーっ!」

「正直にいえ!」

「さ、三十人……」

「嘘つけ」

「五十人……」

「百人は寝ただろう」

「そ、そんなにたくさんじゃないです。ひと月くらいで手入れがあったから……」

「それじゃ八十人ぐらいか」

「そ、それくらいです。おおお……」

 泣きじゃくりながら、羽毛の拷問に耐えられず、自分の過去を白状してしまう。(なんと、ひと月に八十人も……)

 久美子には、肉体で金を稼がねばならない切実な理由はなかった。とすれば、よほどセックスが好きとしか考えられない。 泰介は次に、洗濯ばさみを取り出した。彼は女を責めるのに、あまり大袈裟な道具だてを好まないタイプで、この洗濯ばさみのようなものが気に入っている。これはこれできわめて有効な拷問道具になるのだ。

「さあ、おっぱいを可愛がってやるぞ」

豊かな白い双丘の頂点では、羽毛責めのために、乳首が突出している。その尖りに、洗濯ばさみががっぷりと噛みついた。

「ひ、ひっ。痛い……!」

 久美子の顔が歪んだ。椅子に緊縛されたみごとなオールヌードが戦慄し、わなないた。

「ふふ。こいつも効くな」

「や、やめてぇ」

 もう一方の乳首も攻撃を受けた。

「あ、あううっ!」

 唇を噛みしめ、苦痛を耐える表情が、なんともエロティックで、泰介の嗜虐的な欲望をそそる。

「とってほしかったら、白状しろ。こっちに帰ってきてから、何人の男と寝た?」

「そ、そんな……、誰とも寝ていません」

 首を振って否定するのを、頬を平手打ちしてやる。

「嘘をつくなっ!おまえが三日と男なしでいられるものか」

「ほ、本当です・・・・・」

「本当のことを言うまで、洗濯ばさみはそのままにしておくぞ」

「あ、ああン……。む、ううッ」

 乳首の責めはじわじわと効いてきて、やがて耐えがたい苦痛となる。ねっとりと脂汗を浮かべた娘は、また嗚咽しだした。

「ひ、ひどい……・。許してえ……」

「本当のことを言え」

 とうとう屈服した。

「叔父さんです。……『マリーン』のマスターと寝てました。……ああッ、早くとって」

 泰介は驚いた。『マリーン』のマスターは元教師で妻も子もいる。しかも、久美子の母の弟に当たる人物ではないか。

「なんだと。実の叔父さんとやった……?」

「……は、はい」

 苦痛から解放されたい一心で、久美子は情事の一部始終をしゃべりだした。

――『マリーン』で働きだすとすぐ、叔父である経営者は姪の肉体に魅惑されて、彼女を「絵のモデルにならないか」と誘ったという。 彼は元美術教師で、今も地元の美術展などに作品を発表している画家でもあるのだ。ギャラをくれるというので、彼女はモデルになることを了承し、休みの日、彼の家に行った。

 ちょうど、彼の妻は出産を控えて子供を連れて実家へ帰っていた。叔父の方としては最初から彼女を口説くつもりだったらしい。 最初はコスチュームという約束だったが、彼が言葉たくみに久美子の肉体を賞賛し、とうとう一糸まとわぬ全裸にして、さまざまに淫猥なポーズを要求してから、性行為を迫ってきた。もちろん彼女のほうもそれを予期していなかったわけではない。

 叔父と姪は、そうやってアトリエで何度も情交し、その関係は今もつづいているという。

「それなら、おれよりもマスターの愛人になればよかったじゃないか」

 泰介があきれて問うと、

「でも、叔父さんは喫茶店の経営があまり楽ではないので、そんなにお金をくれないんです」

(それにしても、久美子の親は『マリーン』のマスターを監視役として、安心して彼女を働かせたのだろう。それがみごとに裏切られたわけか……) あの実直そうな喫茶店の主人が、姪である久美子の肉体に溺れたことは意外ではなかった。問題は久美子のほうである。

 彼女は叔父に対して愛情などの特別な感情などもっていない。ただギャラという名目でもらう金が目当てで彼と寝ることになったのだ。東京で体験したホテトルづとめの経験が、彼女に性的サービスの代償として金をもらうことをなんとも思わなくしてしまったのか。それとも……。(なにか、彼女の過去に、それに近い体験があったにちがいない)

 泰介はそう思った。拷問プレイは彼のもっとも好むところである。久美子にそれを白状させようと、彼は椅子の足に縛りつけた縄を解いて、久美子の両脚をそれぞれの側の頭のほうの柱にひっぱるようにして固定した。彼女の体は「く」の字に折れ曲がった。

「いや……ン」

 あられもない、大股開きの猥褻なポーズを強制されて、ベッドに縛られている娘は羞恥の風情で身をねじった。それでいて、目の前の鏡に映っている自分の姿を見て、牝の性愛器官からとろりとした芳醇な蜜液を溢れさせている。そうやって辱められる行為を、彼女自身、肉の内側で悦んでいるのだ。 彼は洗濯ばさみを持って、生贄の股間にしゃがみ込んだ。

 辱められることによって昂奮し、濡れそぼっている性愛器官が、まるで犯されるのを期待しているように、貝に似た粘膜をひくひくと息づかせている。 彼はその花びらの部分を指でつまんだ。自涜行為を含め、豊富な性体験の結果としてらピアスは大きく咲きほころんで、しかも左右対称ではなく、かなり紊乱な形になっている。

 彼はまず一方の上端をぐっとひっぱり、肥厚した肉の花弁に洗濯ばさみをかませた。

「あ、あっ!」

 びくんと豊満な肉が躍り、内腿がわなわなと顫えた。次いで、反対側にもう一個。 重たげな乳房をはずませて裸身が悶える、また脂汗が噴きでる。

「許して……ッ。そんなこと、しないで……」

 哀れな泣き声で訴える。しかし、これまで何人もの女を責めてきた泰介は、経験から、乳首同様、ラビアもまた洗濯ばさみの攻撃に充分耐えられると判断した。この部分も、敏感な女性にとっては失神する苦痛を味わうのだ。 泰介は性の生贄となった久美子の黒髪をつかんでぐいとあおのけにし、平手で頬を二、三発うち叩いてやった。

「さあ、言え。この淫乱娘! お前が金をもらってはじめてセックスしたのはいつだ」

「そ、そんな……」

 口ごもる娘の、まるで白いボウルを伏せたような乳房を鷲づかみにして、ぐりぐりとこねまわしてやる。

「あ、あうーっ!」

 涙を流して苦悶し、黒髪を振り乱す。

「いえ。このすけべ娘!」

とうとう、久美子は告白した。

「し、小学校の五年生のころです・・・・・」

 泰介は唖然となった。――早熟だった久美子は、そのころすでに胸はふっくらと盛りあがりはじめ、臀もまるみを帯びてきた。あどけない顔とむっちりと女らしい肉体。そのアンバランスさが奇妙なエロチシズムを生みだし、成人した男の欲望をそそったらしい。

 ある日、学校の帰り、神社の境内で道草を食っていた久美子は、土木作業員らしい中年男に話しかけられた。なんでも故郷にいる自分の娘にそっくりだというのだ。 彼は久美子に「欲しいものを何でも買ってやるから」と言葉たくみに誘い、実際、千円札を握らせた。久美子はその金をもらうと、素直に社殿の背後の茂みの奥へついて行った。そして草の上に寝かされて下着を脱がされ、恥毛もまだはえていない秘部を、無骨な指で愛撫されたのだ。

 彼女がいやがるとまた千円札を手渡された。久美子はおとなしく彼のいうなりになった。 薬局を経営していた彼女の家は、決して貧乏ではなかったが、そのころの小遣いは月に数百円。物欲の強い少女にとって、男がくれた金は夢のような大金に思えた。

 おとなしくなった少女は、素っ裸にされ、狂喜した中年の男は彼女の白桃のようにふくらんだ乳房を愛撫し、乳首を吸った。 やがて嫌悪感は薄れ、快感が体の奥から湧きあがってきた。秘裂を摩擦されているうち、そこが濡れだしたのを見て、さすがに男も彼女の早熟さに驚き、かつ喜んだ。彼は丸裸の少女の股間を広げさせ、顔を埋めた。

――そして少女は、たくみな愛撫によってはじめてのオルガスムスを味わった。 それは成人してから体験した、肉も骨も溶けさるような爆発的な快美感と違って、もっと瞬間的にはじけ、消えてしまう淡い感覚だったが、久美子は充分にその感覚を楽しみ、秘密の快楽を教えてくれた汗くさい中年男に感謝の気持ちさえ抱いたほどだ。

 久美子が満足したと知ると「おじさんも楽しませておくれ」といって、男は自分も下着を脱ぎ、勃起したペニスを少女に握らせた。 まだ性に対してまったく無知な少女に、そういった淫らな行為を要求することに彼はすごく亢奮したらしく、久美子の柔らかな手が熱く充血したものを握って軽く摩擦しただけて、男は勢いよく射精した――。

 それから何度も、社の森のなかで、男はいくばくかの金の代償として、小学校五年生の少女を裸にして玩弄した。しかし、男はつねに昂奮しすぎて早く射精するか、あるいは久美子が苦痛を訴えて拒否したために、本当の意味の性交は行われなかったという。 だが、口や舌、指を用いた執拗な愛撫によって、久美子の性感はたちまち開発され、男にパンティを脱がされるまでにすでに性器が充分に潤うほどだった。

 やがて、男の働いていた工事現場が閉鎖され、彼は去っていった。久美子が初潮を見、無毛の丘と谷に秘め草を萌えさせたのは、その直後だったという――。

「ふうむ……」

 泰介は唸った。久美子ははじめての性的な快感を、金銭をもらったことと引き換えに味わされた。その体験が深層心理に刻み込まれ、成長してからの行動に影響を与えているちがいない。

 つまり彼女は、金をもらって肉体を玩弄されることに悦びを覚える、娼婦の心をもつ女として成長していったのだ。

「お願い・・・・・、もう、許して……ッ!」

 少女時代の性体験を告白する間、両方のラビアに洗濯ばさみをかまされ、文字どおり身を噛む苦痛に悶え泣いていた久美子は、告白を終えると、もう忍耐の限界に達したというふうに、がくがくと裸身をうち揺すりながら切迫した声で哀訴する。

「よし」

 泰介は泣き咽ぶ娘の花弁から洗濯ばさみを取り去ってやった。よほど苦痛だったのだろう、シーツが濡れている。

「こいつ、ちびりやがったな・・・・・」

 久美子の告白を聴いているうち、泰介はまた昂奮してきたが、若い娘が放った尿の甘い臭気がさらに彼を昂ぶらせた。

「いけない娘だ」

 愛人志願の娘を一度解放したが、あらためて後ろ手に――乳房を紡錘状にくびる高手小手に縛りあげてから、ベッドの上で跪拝するポーズをとらせた。プリプリした脂肉の双丘を小高く持ち上げて、蜜を吐きつづけている牝蕊から、褐色がかった菊状の襞を見せるアヌスまでそっくりさらけだした姿勢だ。「ああ……」

 シーツに押しつけた顔を横に向け、クローゼットの鏡に映った自分の淫猥な緊縛裸像を見、羞恥の風情を見せる久美子。彼女の性愛器官は一度洗い清められたにもかかわらず、泰介に責め嬲られて、またもやムッとする牝の芳臭を強く発散させ、蜜液は内腿をねっとりと濡らしている。玩弄される自分の姿に、彼女自身のマゾ気質を刺激され、酔い痴れているのだ。 淫靡としかいいようのない、濡れて湯気をあげていそうな気さえする花芯を一気に貫き犯したい欲望を押さえつつ、泰介は手をふりあげた。

「小便を洩らした罰だ」 

彼は腕をふりかざし、脂のしたたるような豊艶な白い臀部に打ちおろした。

 バシッ! 張りきった臀肉をうちのめす小気味よい音が響き、裸身が跳ねた。

「ひっ!」

ビシッ!

「うわ!」

張りつめた白い皮膚にさっと掌形に打痕が赤く浮きでる。しかし、スパンキングの苦痛は比較的少なく、肉体へのダメージもさしたることはない。泰介はそれでも手かげんしながら、蠢動するふたつの肉丘に数度ずつ、掌の洗礼を与えた。

「あ、あっ。許してて。ごめんなさい……っ!」

 若々しい臀丘がくねり、悶える。みるみるうちにいくつもの赤い打痕が広がり、皮膚は脂汗をねっとり噴き出す。

「どうだ」

 最後の一撃を臀裂にあびせて「ぎゃーっ」という悲鳴をあげさせてから、泰介は息をついた。女の臀を打つとき、彼は最高に昂まる。男の欲望器官は怒張しきって、熱鉄と化していた。「いくぞ」

 跪く姿勢で臀を打たれていた生贄の背後から襲いかかると、泰介は尿と愛液で濡れそぼった肉の裂け目に自分の肉根をあてがい、一気に貫いた。「あ、あっ。先生・・・・・っ!」

 白い喉をのけぞらせ、久美子が悩乱の声を張りあげる。熱い肉襞が侵略する牡の器官を迎えてからみつく。

「む、むっ……」

柔肉が締めつける。泰介は思わず呻いた。

「くそ……」

 したたかに下腹をおんなの尻のまるみに打ちつけ、抽送する。

「あ、ああ、……ン。嬉しいッ!」

 ようやく泰介の肉根を受けいれた娘は、よがり泣きの声を張りあげ、自分もぶりぶりと腰を振りゆすって男の律動に合わせる。

「む、むあああ……」

 久美子は安全日だと前もって告げていた。存分に花芯を抉りぬき、わかわかしくも淫靡な肉を堪能したのち、泰介は煮えたぎるような蜜壺の最奥で精を放った。

「せ、先生……っ!」

 熱い精を浴びて久美子も快美の絶頂に達したらしい。全身をぶるぶるとうち揺すり、泣くような歌うような声を張りあげた。

 射精したあとも、泰介はしばらく久美子の背に覆いかぶさった姿勢でつながっていた。自分の意志ではない。彼女の器官が泰介の肉根を咥えこんで放さないのだ、もっとも、それは彼女の意志でもなかった。緊縛されたままうつぶせにぐったりとなった久美子の表情はまるで菩薩のように陶酔しきった表情を見せており、なかば開いた口からは唾液がねっとりと溢れてシーツを汚している。爆発的なオルガスムスによって完全に知覚を喪失した状態である。

 それなのに、久美子の性愛器官はまるで軟体動物のようにひくひくと独自の動きを見せ、肉襞は泰介が驚くほどの緊縮感で、噴出を終えた彼の肉根を締めつけるのだ。彼の白濁した精液は最後の一滴まで子宮の奥へ絞り出されて飲みこまれるようだ。(男を歓ばせる、すごい粘膜だ・・・・・)

 泰介は舌を巻いた。 ようやく連結が解けた。泰介はゴロリと久美子の傍らに横たわった。さすがに疲労を覚えて彼はとろとろとまどろんだ。

「う……?」

 しばらくして目をさました泰介は驚いた。

 まだ後ろ手に緊縛されたままの久美子が、彼の股間に顔を埋め、二人の体液で汚れた萎えた器官を口にふくみ、唾液で清めているのだ。おかげで彼の器官はふたたび刺激され、充血を開始したではないか。(こいつ……)

 泰介はいとおしさがこみあげ、久美子を抱き寄せ、情熱的な接吻を浴びせてやった。

「はじめてのSMにしては、ちょっときつかったかな」

「ううん。すてきだったわ。……ね、先生。私は合格?愛人にしてくれる?」

 彼女は彼女で、やはり多額の手当がもらえるかどうか、それが気がかりなのだ。

「ああ。合格だ。俺の愛人兼奴隷――愛奴にしてやるよ」

 彼女の目が輝いた。

「愛奴……。嬉しいわ。久美子、一生懸命尽くします」

それから殊勝げに呟いた。「叔父さんとは、もう寝ないから……」

 泰介と愛人契約を結びながら、同時に叔父にも抱かれることに気がねしているのだ。

「マスターと寝れば金になるんだろう?」

 こくんとうなずき、

「でもセックスのほうはたいしたことないの」という。

「久美子は、この家に来たときだけ奴隷になればいい。それ以外は、おれはなにをやっても気にしないよ」

「そう」 久美子は嬉しそうに泰介にキスを返してきた。泰介の許可を得たので、これからも、安心して叔父と寝て、金をもらうつもりなのだ。

         *

 その日、あまり遅くならないうちに、久美子はミニバイクで帰っていった。東京から連れ戻されて以来、親の監視のもと、あまり夜遅くま出歩くわけにはいかないのだ。

 だから、次に愛奴プレイを行ったのは、店が休みの日だった。 久美子は昼すぎにミニバイクでやってきた。彼の家は周囲から孤絶しているので、久美子もあまり気をつかわなくてすむ。

 前回と同じ脱衣ショーをやらせ、パンティもとらせて真っ裸にしたのち、泰介は手を頭の後ろにまわし、膝立ちにさせたポーズの元女子大生の顎に、大型犬用の首輪をはめてやった。「これで奴隷の気分になるだろう」

「なんだか、みじめ……」

 言いながら、はや双眸に官能の炎がぼうっと灯る。

「おまえはこの家に足を踏みいれたとたん、もう奴隷なのだ。だからおれのことは、ご主人さまと呼べ」

「はい、……ご主人さま」

「わん、と鳴け」

「わん」

 首輪をはめた女奴隷を素っ裸のまま這わせて、二階の書斎へ連れてゆく。 泰介の仕事でもある書斎には、大きな仕事机と疲れたときにくつろぐためのソファが置いてある。周囲は文献や資料の山だ。

 いかにも翻訳家の仕事場らしい雰囲気の部屋だが、ソファの正面にある本棚にビデオ装置の一式が組みこまれている。大型のビデオ・ディスプレイに、複数のビデオデッキが接続されているのだ。仕事の合間、泰介はここで秘密に売買されているポルノグラフィックなビデオソフトや、自分がプライベートに撮影してきたSM行為の実写ビデオを再生して楽しむ。

「いいものを見せてやろう」

 彼は一巻のビデオカセットをデッキにセットした。 素肌の上にガウンだけを羽織った泰介は、あらためて久美子に後ろ手錠をかませてから自分と並んで、ソファに腰をおろさせた。

 まもなくディスプレイ・スクリーンにカラーのビデオ画像が再生されだした。

「まあ」

 久美子は驚いた声をあげた。画面には、セーラー服の少女が緊縛されて、ベッドの上に横たえられている姿が映ったからだ。

「これは、おれが自分で撮ったビデオだよ」

 泰介が言った。「あの娘、本当の高校生ですか?」

「まさか。SMクラブに勤めている娘だ。たしか美容師の卵とかいったな。なるべくセーラー服の似合う娘、という注文を出して呼んだのさ」

 都心には、泰介のように倒錯した趣味の客を相手にしているSMクラブがいくつもある。そのなかでも老舗といわれているクラブに、泰介はここ数年足繁く通っている。彼の好みに合った、色の白いグラマラスな美女を選び、SMプレイの設備があるホテルへ連れこみ、倒錯した欲望を満足させてきた。

「へえ、そうなの……」

 SMクラブというシステムをよく知らなかったらしい久美子は、感心している。

「そのうち、ただプレイするだけでは物足りなくなってね、ビデオカメラを買いこみ、自分のプレイを記録するようになったのさ」 

もちろんフリの客なら断られるところだが、泰介は金払いのよい常連客なので、クラブのほうでも「絶対に外部に公表しない」という条件つきで、彼のビデオ撮影を認めている。

 このビデオは、先日、都心のSMホテルで撮影したものだ。当然、三脚にカメラを固定してのフィックス撮影になる。 なるべく清楚な感じの娘を呼び、用意しておいた紺のセーラー服を着せた。下着はスリップからブラジャー、パンティまで、いかにも高校生らしい白で統一した。

「ご主人さまは、セーラー服が好きなのね」 

と久美子が意外そうな顔でいう。

そうなのだ。彼はセーラー服の美少女を責め嬲りたい願望がある。もちろん現実にはできっこないから、SMクラブの女で代用しているわけだ。 画面では後ろ手に緊縛された美少女が、なんとか縄を解こうとしてもがいている。しかし成功しないうちに、彼女を誘拐した男――つまり泰介が――入ってくる。泰介はサングラスをかけている。これでも変装のつもりだ。

 自由を奪われた少女は、ベッドの縁に腰をおろした泰介の膝の上にうつぶせに据えられる。顔も膝も床につき、襞スカートをはいた腰の部分が泰介の右の腿の上にある。 少女は男の膝の上でなおももがく。泰介が彼女の襞スカートをまくりあげた。白い、裾のレース飾りが可憐なナイロンのスリップもぱあっといっしょに腰の上までたくしあげられたので、やはり白い、いかにも女子高生がつけそうな、セミビキニの白いコットン・ジャージーのパンティに包まれたヒップが露出された。久美子ほどの量感はないが、くりくりっとまるい、青い林檎を感じさせる新鮮な臀部だ。 「あら、ガーター……」

 久美子がびっくりした声を出した。

 画面のなかの女子高生はパンティストッキングではなく、今はすたれてしまった腿までのの黒いストッキングをはいて、それを赤い靴下留めで留めていたからだ。 乳白色の太腿と黒いナイロンストッキングを分けるまっ赤なガーターが目にしみるように印象的だ。これは、泰介が性欲を覚えたころ、まだセーラー服の少女たちはパンティストッキングではなかったためだ。

 生贄の少女のヒップから、白い下着が引きおろされた。撮影用のライトの光を浴びて白く輝く張りのある双丘の皮膚。泰介がその弾力性のある球面に手をふりかざし、掌でうち叩きだした。スパンキングだ。剥き出しの臀を叩かれて、苦痛と屈辱に泣き叫ぶ少女。みるみるうちにピンクから赤へと色づいてゆく若い肌。

「ああ、可哀そう……」

 そういいながらも、画面のなかで展開される行為に魅せられている久美子だ。 泰介は全裸の彼女を引きよせ、ガウンの前をはだけると、自分の膝を後ろ向きにまたぐ形に浅く座らせた。そうすると自分の欲望器官が後ろ手錠をかけられた久美子の両手首に触れる。

 久美子はたちまち意図を察して、少し腰を浮かせぎみにして、両の掌で主人の股間をまさぐる。金属の環で自由を奪われていて、ぎこちなく奉仕するのだが、視線はビデオ画面に貼りついたままだ。 泰介は背後から腕をまわし、豊かな胸の隆起を掌でくるむ。一度は陥没した乳首がすでにぽってりと尖っている。スパンキングされる少女の姿を見て、この被虐願望を秘めた娘は前回、寝室で臀を打たれたことを思い出して子宮に火をつけたのだ。

 家を出る前に体を洗い清めてきたらしく、肌からは石鹸の香料の匂いがするのだが、たちまちそれに牝の匂いがいり混じる。 画面の中では、二十打ほども打ち叩いて、桃の様な臀肉を赤く染めあげた泰介が、泣きじゃくる少女を壁に向かって立たせている。セーラー服の衣装をまとった哀れな生贄は、パンティは膝の下まで引きおろされ襞スカートとスリップは背にまわされた縄のところで留められ、臀丘はカメラにさらけだされたあられもない姿だ。

 泰介が鞭を持って現れた。先端が何条もの細い紐に分かれた房鞭だ。少女は剥き出し臀に、さらに房鞭の打擲を受けた。許しを乞い、泣き狂う少女。悶えくねる双臀は、さらに赤く、さらに紫色にと変わっていく。

「いやあ。残酷……!」

 そう言いながらも、久美子の目は食い入るように、泣きわめくセーラー服の少女に見入っている。

「あの鞭は、音だけはけっこう凄いが、そう痛くはないんだ。あの子の演技はすこしオーバーすぎる」

 だが、SMプレイでは、演技性が重要なのだ。責める者と責められる者が決められた役割を完璧に演じるとき、昂奮は極限まで高まる。 演技とは、自己陶酔の極致でもある。残酷な物語の中で、責められる者が、羞恥と屈辱を覚え、そういった自分を憐れむとき、そこに残酷美が生じるのだと泰介は思う。――やがて少女は床に崩れおちた。

 泰介は鞭を投げ捨て、生贄の体から襞スカートを毟りとる。セーラー服のホックがはずされ、スリップの肩紐がひきちぎられ、乳房が露出される。碗を伏せたような、形のよい乳房だ。 半分裸にされた少女はベッドの上に追いあげられて、跪き、臀を小高く持ち上げる姿勢をとらされた。泰介が裸になる。

 凌辱の儀式が繰り広げられた。それも、ただの辱めではない。 思いきり股を広げされられた少女は、まず泰介の指でアヌスを責め嬲られ、ぐりぐりと腸奥まで揉みしだかれたのち、その部分を男の器官で抉り抜かれたのだ。

「いやぁ……」

 コンドームを装着した怒張しきった肉根が、菊襞の中心、狭い肉の弁に突き刺さる光景を見せられた久美子は、まるで自分が肛門を犯されたような悲鳴をあげたものだ。それでいて、視線は辱められ、顫えおののく裸身から離れようとはしない。

――凌辱儀式のすべてを映したビデオが終わったとき、久美子の秘唇からは、汲めども尽きぬ泉のように愛液が滾々と溢れ出し、内股から泰介の膝までをねっとりと濡らしていた。「さあ、今度は久美子の番だ」

 首輪と手錠以外のなにものも身につけていない娘は、調教の場である寝室へと追いたてられた。「まあ」

ベッドの上を見た久美子は目を丸くし、それから顔を赤らめた。シーツの上に、黒い網ストッキングと赤いガーターが置かれていたからだ。 泰介は手錠をはずし、命令する。

「それがおまえの制服だ。着ろ」

久美子のむちむちした白い肌に、黒い網のストッキングと真っ赤な靴下留めは煽情的なまでによく映え、彼女の娼婦性をひときわ強調する効果を生んだ。

「よく似合う」

 泰介は丸い臀をビシと打った。

「跪け」

 絨毯の上に膝をついたセクシィな奴隷は顎の後ろで両手首に手錠をかけられた。鎖が首と手錠をつないだので腕は腋窩をさらけだす形で固定されてしまう。 その前に、ガウンを脱ぎ捨てて真っ裸になった泰介は立ちはだかる。彼の肉根はもう屹立し、先端からは透明な液を吐いている。「誓え、久美子。愛奴の誓いだ」

 泰介は誓いの言葉を教えた。被虐への期待に燃えた娘はうわずった声で復唱する。

「私、麻生久美子は、ご主人である霜田泰介さまの奴隷として、いかなる責め、辱めをもお受けし、いかなる要求にも従うことを誓います。どうぞご存分に調教して下さい……」

 その言葉を吐いたばかりの紅い唇に、ドクドクと脈打つ男の獣欲器官が押しこまれた。舌がからみつき、歯がやさしく噛む。先天的にこの娘は口淫戯の才能があるのかもしれない。彼が足を拡げると舌の袋から鼠蹊部までチロチロと舌を這わせてくる。目は固くつむっているが頬は上気し、鼻で呼吸する息が熱い。「下手だぞ、おまえは」

 その実、たまらずに射精しそうになるのをこらえて引き抜くと、泰介は久美子の頬を張ってやった。娘の目はさらに発熱したもののように潤み溶ける。

「ここへこい」

 素っ裸の男はベッドの端に腰掛け、膝の上に黒い網ストッキングをはかせただけの娘をうつぶせに倒す。顔と膝は絨毯の上にあり、彼女の臀はほどよい位置まで持ち上げられた。先刻のビデオと同じ責めが展開された。 泣き出すほどに臀を打たれた久美子は、ベッドの上に這わされ、今度は房鞭を浴びた。絶叫すると、その口に彼女が穿いていたパンティが、丸められて押しこまれた。

「おまえの、もうひとつの処女を捧げるのだ」

 房鞭を投げ捨て、て泰介はベッドサイドのテーブルの上から白色ワセリンの小壜をとりあげた。紫色になるまで豊臀を鞭打たれ、頬を涙で、内股を愛液でぐっしょりと濡らした娘の汗で濡れた裸身が、迫りくる運命を察知して戦慄した。

「もっと足を拡げろ」 

泰介はワセリンをすくいとった指を菊状の襞の中心に突きたてた。

「あ、むう……むッ」

 自分の恥ずかしい匂いをしみこませた下着で発声を禁じられた娘の口から、呻きが洩れた。 充分に潤滑を施すと、コンドームも装着せず、泰介は後ろから狭い肉門に挑みかかった。

「う、ぐ、ぐぐ……っ!」

排泄のための器官にはじめて男を受け入れる久美子は、涙を流しながら苦悶した……。

 根元までふかぶかと熱い肉の杭を打ちこむと、泰介は彼女の秘部に手をまわし、熱い蜜で潤う粘膜の奥を指で嬲る。

「ぐ、ふふふぐ……」

 雌蕊への快美な刺激が後ろを犯される苦痛を忘れさせ、豊かな腰がうねりだした。ゆっくり、ピストン運動を開始する。肛門粘膜の緊縮感はたちまち陵辱者を酔わせた。

「むぐ、ぐぐ……」

 前を指で嬲られ、後ろを肉杭で抉られる、苦痛と快美と屈辱がないまぜになった感覚に若い娘はたちまち悩乱した。

「あ、ぐ、ぐぐう……ッ!」

やがて、すさまじいオルガスムスの爆発があった。官能の業火に焼かれた肉体が弓なりにそりかえり、首すじから内股までがぶるぶると痙攣した。

「あ、あおお・・・・・!」

 ぐぐ、と括約筋が収縮し、たまらずに泰介も白濁の精を腸奥へしぶかせた。

――自分よりも十六歳も年上の男、霜田泰介の愛人として、しかも性的奴隷としての契約を結んだ麻生久美子は、それから一週間に一回、『マリーン』が休みの日に、泰介の洋館を訪れるようになった。

 ひる日なかから鎧戸を閉ざした洋館のなかで、豊饒な肉体をもった娘は、主人の目の前で淫猥なストリップティーズと、薄いパンティを穿いたままの自涜行為を強制させられるのが常だった。淫液でぐっしょり濡れそぼった布片は、のちに猿ぐつわとして用いられる。 やがて全裸にされた娘は、寝室でさまざまな性的玩弄と凌辱をうける。

 そのとき、彼女はかならず黒い網ストッキングと赤いガーターを着けさせられた。顎には犬の首輪。それらが調教を受けるときの愛奴の制服なのだ。 娘ざかりの久美子は、まさに泰介が推測したとおりマゾヒストの資質に恵まれていた。彼女は泰介の顔を見る前から、被虐への期待で下着をじっとりと濡らしてやってくるのだから。

 責めはもっぱら、泰介好みの拷問プレイだ。裸にされた彼女は椅子やベッド、ときには庭の松の木にくくりつけられ、羽毛、鞭、洗濯ばさみ、熱蝋などで、肉体のさまざまな部位を責め嬲られる。 悶え狂う娘に尋問するのは、『マリーン』の経営者である叔父との情交の様子である。

 彼女は実の叔父にも週に一、二回は抱かれ、やはり金を貰いつづけているからだ。 画家でもある叔父のアトリエで、あるいは店を閉めたあとの喫茶店のなかで、ときには駐車場の車のなかで、淫蕩な姪は叔父と交わるという。その様子を、責めに耐えかねた久美子が泣き咽びながら逐一白状すると、泰介は異常なまでに昂奮するのだ。

 久美子は、責め嬲られる行為のさなか、鏡に映る我が身を見ていっそう燃える。それが分かったので、泰介は各部屋や浴室にまで大きな鏡をとりつけた。 また、この愛奴は泰介の趣味であるビデオ撮影にも、積極的に応じてくれた。彼らの傍には常ににカメラを装着した三脚が立っていた。

 「まるで誰かに見られてるみたいで、とてもスリリングね」

 久美子はそう言い、責めと責めのあいだには、その画像を再生して見、自分の浅ましく乱れ狂う姿に、また昂まるのだった。

(まったく、申しぶんのない愛奴だ) SMクラブでの味気ない事務的なプレイに食傷していた泰介は、まるで気に入った愛玩物を手に入れた子供のように熱中した。

 しかし、ただひとつ不満があった。 それは、彼女があまりにもグラマラスな肉体をもっているため、セーラー服が似合わないことだ。 セーラー服は、成熟した女が着ても不思議なエロティシズムを発散させる衣装である。だが体格がよく、肉づきの豊かな女性だけはセーラー服がなぜか似合わない。

 久美子は二年前まで女子高生で、セーラー服を着ていたが、自分自身でもセーラー服はあまり似合うとは思っていなかったようだ。

「ごめんなさい、私、セーラー服向きじゃなくて……」

 泰介がセーラー服嗜好なのを知って、すまながるくらいだ。 しかし、その他のセクシィな衣装、たとえば踊り子用の透明なレオタード、全身を覆う網タイツ、チャイナドレス、それに、黒いスリップやガーターベルトで吊ったストッキングなどの娼婦的な装いは、大柄で白い肌の肉体によく映えて、ひとめ見ただけで泰介を勃起させるほどぞくぞくするようなエロティシズムを発散させる。だから泰介は、それらの衣装を惜しげもなく買い与えやった。

(これで、セーラー服の似合う女ならいうことはないのだが……) 三十六歳の泰介が切望するのは、セーラー服のよく似合う可憐な美少女を凌辱しつくすことであった。

(ま、それはないものねだりというものだ。久美子という天性のマゾヒストが与えられただけでも、夢みたいなことなのだから……) 泰介はそう思うことにした。

しかし、彼の夢見るセーラー服の美少女が突然身近に現れた。 久美子の妹――麻生瑠美子である。

――ある日のことだ。泰介はとりかかっている仕事に必要な資料を調べるため、隣接した市の図書館へ行った。その市は著名な文化人が多数住んでいるせいか、市立の図書館はなかなか充実しているのだ。

 調べものを終えて帰ろうとしたとき、ホールで声をかけられた。「先生。霜田先生」

 ふりかえると久美子が立っていた。「なんだ、久美子か。ここになんの用があったんだい?」

「展示ホールで県の美術展をやってるのよ。マスターの絵も入選してるから、妹といっしょに見にきたの。疲れたから図書館の喫茶室でお茶を飲もうと思ってたとこ。……あ、これが妹の瑠美子」 久美子の大柄な肢体の陰に、少女がひっそりと立っていた。紺色のセーラー服を着て、前髪で額を隠すような短めのボブカット。泰介の顔をちょっと見て、ピョコンと頭を下げる。

(む……!) 泰介は息を呑んだ。瑠美子は、彼が夢見ていた、セーラー服の似合う可憐な美少女がそこにいたからだ。

 姉の後ろで恥ずかしそうにしている風情が何とも愛らしい。姉とちがって人見知りする性格のようだ。

「ほら、いつも話している霜田先生。お姉さんがお世話になってるの。挨拶して」

 そう促されると、もじもじしながら、「こんにちは」と言った。

 姉はうりざね顔だが、妹は頬がふっくらとした丸顔で、くりっと大きな目が印象的だ。つんと上を向いた鼻がかわいらしい。唇は姉に似てぽってりしていて、上唇がややまくれぎみなのも共通している。ニコッと笑うと白い前歯が二本、ビーバーのように現れる。

「ああ。霜田です、よろしく」

 いくぶんドギマギしながら挨拶を返すと、久美子が悪戯っぽい表情で目くばせする。(セーラー服を見て、あがってるのね)

 その視線は、不意をつかれた泰介を揶揄しているようだ。「ね、先生お茶をおごって」

「ああ、いいとも。それじゃ外へ出よう」

 近所の喫茶店でコーヒーとケーキをおごってもらいながら、久美子は妹のことを、

「妹は私とちがって頭がいいのよ。優等生」

「いや……。お姉ちゃん」

「可愛いでしょう、先生。今年、十六になったばかりよ」

 そういって艶やかな黒髪を撫でてやる姉だ。その仕種にふと姉妹らしからぬ雰囲気が漂ったのを敏感に泰介は感じとった。

瑠美子は姉とちがっておとなしく、ひっこみ思案の性格らしいが、しばらくすると、翻訳家の仕事についていろいろ質問などしてきた。自分の好きな科目は英語なのだという。泰介の訳した本も何冊か読んでいた。 瑠美子が手洗いに立った隙に、泰介は久美子に訊いた。

「あの子は、ぼくたちのこと、どれくらい知っているんだ。“お世話になってる”なんていって……」

「だいたい全部よ」

「えっ?」

「SMは別にしてね。あの子と私、とても気が合うの。だから自分のことはなんでも話しちゃうのよ。私がホテトルづとめしたことも知ってるけど、理解してくれてるわ」

 自分自身が殻にとじこもりがちの性格なので、瑠美子は天衣無縫にふるまう姉の生き方を尊敬しているらしい。「先生のことも、瑠美子にだけは話してあるの。あの子、とってもうらやましがってたわ。だって先生は私たちの町じゃ名士なんだから……」

「まいったな」

 泰介は苦笑しながらも信じられない気持ちでいた。

 世間の常識からいえば、久美子と自分の関係は非難されてしかるべきことなのだ。それなのに、十六歳の少女が羨むとは……ふつう、その年代は、清純なものに憧れるというのに。

「あの子は清純よ。肉体的な意味ではね。でも、私とひとつだけ似ているの」

「どこが」 久美子はますます悪戯っぽい目になった。

「セックスにすごい興味をもってるところが……」 

そのとき、手洗いから瑠美子が帰ってきた。

「あとで、瑠美子のこと、くわしく教えてあげる……」 

姉はすばやく言い終えると、いれかわりに手洗いに立った。瑠美子は自分がずっと年上の男、それも姉の愛人と二人きりになって、とまどった表情になった。もじもじしているようすを見ながら泰介は訝った。

(こんなに内気な少女が、あの久美子のようにセックスに好奇心が強いというのか……)

10

 週に一度の契約に従って、久美子が次にやってきたのは、図書館で姉妹と会ってから三日後のことである。あの日ふたりは市内で映画を見るといい、締切りに追われていた泰介とは、その場で別れたのだ。

「よし、今日は妹とのことを話せ」 

いつものように黒い網目のストッキング、赤い靴下留め、それに犬の首輪以外はなにも身につけていないグラマラスな娘を椅子に縛りつけると、泰介はパーティ用の赤いキャンドルに火をつけた。

「ああ、ご主人さま。今日は蝋燭責めですか……」 

若い娘は脅えた表情をつくって裸身をおののかせた。その実、彼女の秘毛の底、ぼってりした花びらの奥からはもう透明な蜜が吐きだされている。虐められるのを期待しているのだ。

「そうだ。すなおに白状しないと、失神するまで責めてやるぞ」 

最初の一滴が、誇らしげに前方に突きだしている胸の隆起に落ちた。

「ひっ!」

愛奴の白い裸身がそりかえった。

        *

「私たち、レズ関係があるんです……」

 泰介の熱蝋を豊かな乳房や、腹、たくましいまで肉づきのよい太腿に浴び、悲鳴をあげ、泣き叫びながら白状した久美子の言葉は意外なものだった。

「なに?おまえと妹がレズ……?」

 泰介はあっけにとられた。あんなに天使のように可憐な美少女である瑠美子が、実の姉とレズビアンの関係をもつ……。信じられない話だ。

「こいつ。でたらめをいうんじゃない!」

 泰介がなおも溶けた蝋をぽっちりした乳首の先端に狙いすまして落とすと、

「ギャーッ!」

 大げさな絶叫を発し、縛りつけられたウィンザーの椅子をぎしぎしと軋ませて苦悶する久美子だ。

「で、でも本当なんです。私、瑠美子にレズを教えたの……ッ」

 脂汗をねっとりと額に浮かせ、牝の臭いをむんむんと発散させる被虐愛奴は、そう叫ぶのだった。(そういえば、この前会ったとき、久美子が妹の髪を撫でる仕種に、姉妹らしからぬものを感じたが……)

 泰介は思い出した。

「よし、最初から話してみろ」

 久美子が熱蝋や泰介の手指の淫虐な責めに誘導されて告白した姉妹レズの一部始終は、次のようなものだった。――前にも語ったように、久美子は小学校五年生のとき、土木作業員に誘惑されてクリトリス刺激による快美な感覚を覚えさせられた。それ以来、彼女はこっそりオナニーに耽るようになった。

 早熟な少女は中学時代、同級の男子生徒を相手にして初体験をすませ、それ以来、高校の体育教師、先輩の大学生などと異性体験を積み重ねていった淫蕩な娘だが、どちらかというと当初はV感覚――性器挿入による膣感覚よりも、C感覚――クリトリス刺激による快美感のほうが強く、必然的に自慰行為のほうが絶頂感を得やすかった。 だから、毎晩のようにこっそりベッドの中で下着のなかに指をさし入れ、マスターベーションを行うのが日課のようになっていたという。もちろん今でも泰介や叔父の愛撫が得られない晩は、やはり手淫で自分の強い欲望を鎮めなければ眠れないのだが……。

 そんな彼女と、妹の瑠美子とのあいだにレスボスの関係が生じたのは、久美子が高校二年、瑠美子が中学一年のときだった。 ある夜、自分の部屋でいつものようにオナニーに耽っていた姉は、絶頂したとき、ついかん高い恍惚の声を張りあげてしまった。

 姉妹は個室を与えられていたが、二人の部屋を仕切る壁は薄く、眠っていた妹は姉の切迫した声に目をさまされた。「お姉ちゃん、病気なの?」

 心配そうな妹に揺すぶられて、姉は我に返った。その目は甘く酔い痴れたようにぼうっと霞んでおり、まだ性の甘美な快楽を知らない十二歳の少女をドキッとさせる官能的な美しさをたたえていた。

「ばかね。病気じゃないの。いいことしてたの……」

「いいこと、って?」

「女の子の秘密の遊びよ」

「なに、それ?お姉ちゃん、教えて」

上気して頬を紅潮させている姉は、“いいこと”とはなにかをうるさく訊く妹にせがまれるまま、彼女を自分の熱く蒸れたベッドに引き入れた。瑠美子も姉に似て、妙なところに好奇心が強い性格なのだ。

 ベビーピンクのネグリジェの前がすっかりはだけて、姉の白い、発育のよい肉体が下着をつけていないことを発見した瑠美子は、驚いた声をあげる。

「しっ。静かにして……。ママたちに聞こえるじゃない」

 そういいながら妹の暖かい、自分とくらべてずっと華奢な体をひきよせた姉は、彼女のネグリジェの裾から手を入れ、うっすらと黒い秘毛が萌えだした丘を撫でると、ようやく初潮を経験したばかりの少女は、身をよじってくすぐったがった。

「いや、お姉ちゃん……」

「いいから、じっとしてて。今、すごくいい気持ちにしてあげるんだから……」

下着の上からやわやわと稚い秘部を撫でて、どれほどのひそやかな時間が過ぎたろうか。妹の目がとろんと潤みだし、熱い喘ぎが洩れてきた。

「なんかヘン。お姉ちゃん……」

「ふふ。気持ちよくなってきたのね……」

 姉は妹のネグリジェもパンティも脱がせ、自分も丸裸になった。そうして力が抜けたようになっている妹のまだふくらみかけたばかりの乳房に、すでに豊かに盛りあがっている自分の胸を押しつけた。最初はくすぐったがり恥ずかしがっていた瑠美子は、しだいに姉のなすがままになった。

「瑠美ちゃん、脚をもっと開いて……」

「うん……」 久美子は妹のツンと尖った乳首を口にふくみ舌でころがすようにして愛撫してやった。そして掌を、けぶるように秘草が萌えている稚い丘にあてがう。

 指がそっと秘められた唇をめくる。そこはとろりとした露をのせていた。久美子が土木作業員にされたのと同じ刺激を受けて、瑠美子のその部分も充血し、さかんに分秘を行いだしたのだ。「可愛いわ、瑠美子のここ……」

 そう言いながら花びらにそって指を蠢かす姉娘は、やがて女体のいちばん敏感な部分、真珠のように丸い肉のつぼみに指の腹をあてがった。勃起はしているが無理に包皮を剥きあげず、そうっと愛撫をしてやると、たちまち、

「あ、ああっ、……お姉ちゃんっ!」

中一の少女は、せつない声をあげて姉の体にしがみついてくる。石鹸の匂いがする体を姉は強く抱きしめ、妹の股間に這わせた指をさらに淫靡に動かした。同時に妹の唇に自分の唇を押し当て、強く舌を吸ってやる。キスすることで、妹が大きな声を出すのを防ぐためだ。「む、む……」

 姉に舌を吸われながら、瑠美子はもがいた。ぶるぶると下肢を顫わせると、腿をぴっちり閉じあわせ、弓なりに身をそらせて、「むーん……!」

姉を突きのけるような動作をしたのち、ぐったりと力が抜けた。はじめての絶頂体験だ。「よかったでしょ、瑠美ちゃん」

 姉は勝ち誇ったような笑顔を浮かべると、そうっと体を離し、ティッシュペーパーを取って妹を拭ってやる。それから貝殻のように愛らしい耳たぶに熱い息を吹きかけて、「さあ、こんどはお姉さんに……」

妹の指をとって、自分の濡れそぼった股間に導いたのだ。――その晩は明け方近くまで、姉妹は丸裸のまま同じベッドで抱き合い、接吻し、互いの乳房や性器をまさぐりあった。それが姉妹の最初のレズ体験だった……。

 姉に甘美な快楽を教えられた妹は、その行為に夢中になった。 毎晩のように久美子のベッドに潜りこんできて愛撫をねだるようになったのだ。甘い、子猫のような匂いのする妹の肌を愛撫することは、久美子にとっても楽しいことだった。ときどきは、「あんたもボーイフレンドをつくって、可愛がってもらえば」と姉が揶揄するように勧めるのだが、ひっこみ思案の妹は首を振る。

「男の子なんかは嫌いだもん」

 男性に対する嫌悪感が瑠美子にはあるようで、姉の愛撫が得られないときはもっぱら自分の指で自分を愛撫するのだ。

 だから、久美子が東京の短大に進んで家を出たとき、一番寂しがったのは瑠美子である。 そんな妹に、久美子は自分の性体験のこともアケスケに話している。

 もともと性格が対照的なせいか、小さいときから姉妹は仲がよく、瑠美子はうるさく干渉する母親よりも、姉を相談相手にしていた。それは姉がレズビアンの技巧を教えたあとはより顕著になった。 しかし、成長するにしたがって、以前のような男性嫌悪の念が薄らいできたようだ。彼女も肉体が成熟してくるにしたがって、自分の体が男に愛されるようにつくられていることを認識するようになったからだろう。

 その認識は、姉の男性体験をつぶさに聞いたのが助けになっているのかもしれない。 久美子が男たちとどのように楽しんでいるかを語ると目を輝かして聞くようになった。男性とのセックスによって姉がどんなに快楽を得ているか、それを知るにつけ、男とも平気で寝る姉を羨み、いつかは自分も男性に抱かれて歓喜したいと念願するようになったのだ。

 だから姉がホテトルで何十人もの男性を相手にしてきたことを知っても、瑠美子は親たちのように騒がなかった。姉は自分とは違って、男が必要な肉体をもっているのだと察しているようなところがある――と久美子はいう。

「だけど、妹はまだ処女なんです」

 責めに悶え泣きながら、久美子はそう打ち明けた。姉は妹に自分の秘部を玩弄させるときは、指を深く挿入させて抉るようにさせ。また、バイブレーターやコーラの壜なども挿入して自淫する。それを見て妹も試したがったが、姉は「愛する人ができるまでダメよ」と、彼女にいいふくめてある。 姉によって愛撫のさまざまな技巧は教えこまれているものの、瑠美子はまだ男に触られたこともない体なのだ。

――その日、泰介は三度、愛奴久美子の体に精液を注ぎこんだ。一度は呑み干させ、一度は直腸に、そして最後は膣奥へと。 淫猥な責めと戯れの限りを尽くした宴を終え、足どりもおぼつかないようすで服をまとい、ヘルメットを手にした久美子は。帰りしなに泰介に向かっていった。

「先生は、瑠美子に惚れたのね。私の妹に」

 彼女はミニバイクにまたがり、まだ官能の火を宿した目を、自分をさんざんに責めさいなんだ男に、ひたと向けた。

「今日はいつもの何倍も昂奮してたわ。だって、三度も私を犯したなんてはじめてだもの。瑠美子のことが頭にあったからよ。ちがう?」

「ああ。そうかもしれない」

泰介は否定しなかった。彼の脳裏には、図書館で会った、もじもじと恥じらうようすが可愛い、セーラー服のよく似合う美少女の姿が焼きつけられていた。

「なんか妬けちゃう。先生が瑠美子に惚れるなんて……」

 好んで彼の性的奴隷になった娘は、勢いよくアクセルをふかして、闇のなかへ飛び出していった。最後にふりかえりざま、こういった。

「また、瑠美子に会わせてあげるわ!」

11

 その年の暮れ、久美子はいよいよ家を出てアメリカに行く計画に真剣に取り組みだした。

 ロスに行っていた友人が、なんとか日本人相手の店を開く段取りがついたので、彼女になるべく早く来てほしいといってきたからだ。 これまで数カ月、泰介の倒錯した欲望の相手をつとめ、代償としてかなりの額の金を手にしていた久美子は、ひそかに渡米するための準備――旅券や航空券の入手、査証交付の手続きにかかった。

 瑠美子には知らせているものの、両親にも叔父にも内緒なので、旅行代理店や向こうの友人と連絡が必要なときには、泰介が自分の住所、電話を提供した。つまり泰介は、この淫奔な娘のアメリカへの家出の共犯者の役を買わされている。

「もうすぐお別れね。先生にあれだけマゾを仕込まれちゃったから、なんだか離れにくいわ……」

 そんなことを殊勝げにいう久美子だが、その実、心はすでにアメリカに飛んでいる。 英語はほとんど話せないが、最初は日系人の社会に住むことだし、彼女のものおじしない性格なら、アッという間に喋られるようになるにちがいなかった。

 たぶん、向こうでも男たちを魅惑し、うまくやれば結婚相手を見つけて永住権も簡単に手に入れるかもしれない。泰介は、狭い規範や道徳にこだわらず、家を捨ててゆく久美子の奔放な態度に感嘆するのだった。 出発の日まであとひと月というとき、『マリーン』で久美子は、マスターの目を盗んで泰介に囁きかけた。

「相談があるの」

「なんだい」

「もう少し、お金がいるんだけど……」

向こうで暮らすなら車を持つことが不可欠だと教えられて、自分専用の車を買うための資金がいるのだという。

「たしかにそうだな。ロスは車がなけりゃどこにも行けない。でも、いくらあればいいんだ」

「そうね……、お手当のひと月ぶんくらい」

「まあ、おれも久美子には楽しい思いをさせてもらったからな……。餞別がわりにあげるか」

「ありがとう、先生」

「だけど、その分、お返ししてもらうぞ」

「どんな?」

「そうだな……」

 泰介は考える口調になった。それは今まで彼の妄想でしかなかったのだ。チャンスといえばチャンスだ。久美子が了承するかどうか、一か八かだ。

「……おれに、瑠美子とレズするところを見せてほしい。こっそりと……」

 久美子は目を瞠った。が、一瞬ののち、大輪の花のような笑顔が広がった。「先生。瑠美子の恥ずかしい姿を見たいのね。……いいわ。私も恩返しだと思って、なんとかやってみる」

        *

 妹と自分の禁断の行為を泰介に見せる――という計画には、どういうわけか、久美子自身、おおいに乗り気になった。それも露出願望の一変形なのだろうか。他人ならいざ知らず、泰介だからだろうか。 二人は『マリーン』で密議をこらした。問題は場所だ。

 二人が愛撫しあうのはいつも、自分たちのベッドのなかだ。だが、まさか泰介が彼女たちの部屋に近づくわけにはゆかない。やはり姉がなにかの理由で泰介の洋館に妹を誘い、そこで自然にレズ行為へ導くことしかない。

「こうしたら、どう? 先生のところにはいっぱいポルノのビデオや写真があるでしょ。そのこと、瑠美子にはいってあるのよ。彼女、すごく見たがってるわ。だから先生の留守のときに、私が見せてやる――っていったら、あの子、きっとノッてくると思うの」

「なるほど。レズビアンものできれいなやつが何本かある。それを見せればいい」

「先生はどこから覗き見する?」

ビデオを見ながら姉妹が抱き合うとすれば書斎のソファだ。泰介は考えた。

「書斎の奥に納戸があるだろう? 今は使わない本が積んであるけど、あそこならドアを細めに開ければ見られる。なかはまっ暗にしておけばいいんだから」

「そうね。じゃ、そうしましょう」

計画の実行は、瑠美子の高校が冬休みに入ってから実行されることになった。それまでの数日が、泰介にとってはじつに長く感じられた。

(あの可憐な美少女が、本当におれの目の前で姉とレスボスの愛を交わすだろうか……) しかし、瑠美子のやや上にまくれあがったぽってりした上唇は姉と共通している。だとしたら、可憐な美少女の肉体も淫蕩の血を受け継いでいると考えられなくもない。

 いよいよ、その日が来た。

「霜田先生は、今日、東京へ行って、明日まで帰ってこないんだって。瑠美子、先生の留守のあいだ、秘密のビデオをこっそり見てやろうよ。ほら、私、留守に植木の世話をしてくれって鍵を預かってるから……」

 妹は姉の言葉をそっくり信じた。 家で待っている泰介に、久美子から電話がかかってきた。

「万事オーケーよ。これから行くわ」 

泰介はあわてて戸締まりをし、照明も全部消した。

 いかにも主が留守だという雰囲気をつくりあげてから、書斎の奥にある小部屋に潜りこむ。ドアを細めに開けると、すぐ目の前にソファ兼用のベッド。背もたれが邪魔になるので、いざというときは泰介が鑑賞しやすいように倒すことになっている。それと同時に、部屋の反対側にさりげなく大きな鏡を立てかけておく。そうすると、ソファに座った人間の正面像を見ることができるのだ。 泰介はいそいそと鏡の位置を調節し、まちがいなく自分の覗き見る場所から映ることを確かめると、かび臭い書物で埋まったまっ暗な部屋のなかに自分を閉じこめた。

しばらくして、ミニバイクの音が近づき、止まった。二台だ。

「ねえ、本当にいいの?」

「だいじょうぶだって。先生、私に、部屋のなかのものは本でもなんでも自由に見ていい、っていって出かけたんだから」「でも、留守のあいだにこっそり入るなんて、なんだか悪いことしてるみたい……」

「だからスリルがあるでしょ」

「うん。瑠美子、なんだかワクワクする……」

 二人がそんなことをいいながら階段を上がってきた。泰介の胸がまるで恋をした少年が憧れの女性と顔を合わせるときのように、早鐘を打った。喉がやけにかわく。 書斎の扉が開いた。

「こんにちはー。先生、います?お邪魔しますねえ」

 おどけた調子でいい、くすくす笑う久美子。彼女は小部屋に泰介がいて、こちらを覗き見していることを知っている。

(先生、連れてきたわ。じっくり見てね……) 久美子はそんな意味をこめているのかもしれない。

「わあ、すごい本。さすが翻訳家ね」 瑠美子が感嘆した声を出す。そうっと暗い小部屋の扉の隙間から覗くと、瑠美子は厚手のセーターに、姉と同じようなミニスカートという私服姿だった。セーラー服でないのが残念だが、学校が休みなら制服を着る必要もないわけで、仕方がない。

「さっ、瑠美子。そこに座って。さっそく見ようよ。先生、秘蔵のポルノ」

「本当に、あるの?」

「あるわよ。先生って好きなんだから……」

「信じられないわ。霜田先生って学者みたいなのに」

「人は見かけによらないものなの。瑠美子だってそうでしょ。こんな無邪気な顔して、毎晩『抱いて』っていってくるの、誰?」

「いやン、お姉ちゃんったら……」

 部屋の暖房が効いてきたらしく、瑠美子は着こんできたセーターを脱いでソファに腰をおろした。下にはもう一枚薄手の、淡いピンクのセーター。ジーンズ地のミニスカートは淡いグリーンで、いかにも少女っぽいバステルカラーでまとめている。しかし、パンティストッキングは通学用の黒いものだ。 姉も、着てきたスタジアム・ジャンパーを脱ぐ。下は白いTシャツ。ミニスカートは赤で、パンティストッキングは濃いチョコレート色。

 ふと、脱ぎ捨てた服を片づける合間に、久美子が妹の目を盗むようにして、泰介の覗いているドアに近づき、スッとなにかをすばやくすきまから投げいれた。(なんだ?)

 息を殺してうずくまっている泰介は、手を伸ばして投げ込まれたものを拾い上げた。(これは……!)

 泰介は驚いた。彼の手にしたのはパンティだったからだ。 ピンで紙きれが留めてある。

“先生。これは瑠美子が今朝まではいていたパンティです。あの子の匂いがたっぷり染みこんでいますよ。嗅ぎながら、おとなしく私たちの恥ずかしい姿を見ててね! 久美子” 思いがけない贈り物だった。久美子は窃視する泰介をいっそう刺激するために、妹の汚したパンティを持参してきたのだ。

 それは、いかにも高校生らしい、コットン素材の白いパンティだった。掌にくるんでしまえるほど伸縮性に富んでいて、広げると苺の模様がプリントされている。泰介は裏返しにして股布の部分を広げてみた。明らかに濃い褐色の染みが、縦に長く走っている。処女の性器から分泌された液と尿の痕跡だ。 顫える手でちっちゃな布片を捧げ持ち、泰介はそれを鼻に押し当てた。酸っぱい、ツンとくる刺激的な臭気が鼻腔を襲った。クラクラと脳を痺れさせる、強い香りだった。明らかに娘ざかりのヴァージンの匂いだ。

「む……!」 泰介は思わず呻いた。ズボンの下でペニスが急激に膨張しだしたからだ。

「えーと、なにがいいかな」 書斎では久美子がロッカーを開け、あらかじめ泰介が選んでおいた裏ビデオを取り出した。

「これ、おもしろいみたい。題名がね、『牝猫たちの夜−−姉妹レズ・愛の嵐』っていうの」

「えー! 姉妹レズなんて私たち以外にもやってる人がいるの?」

「馬鹿ね。どうせ演技よ。でも見てみようよ」 慣れた手つきで久美子がビデオデッキを操作して画像を再生させる。

「さっ、私たちだけだから気楽にして」 久美子はソファに妹とぴったり並んで座り、肩を抱きよせた。

 やがてモニターに映りだした裏ビデオは、姉夫婦の家を訪問した妹が、夫婦の留守にこっそり閨房に入り、秘蔵のポルノ写真で昂奮し、オナニーするところから始まる。妹役はなかなかキュートな娘だ。やがて夫婦が使っているバイブレーターを見つけると、それを使っていろいろ淫猥なポーズをとって楽しむのだ。「いやだァ。すっごい!」

 瑠美子はこういうビデオを見るのははじめてらしく、身を乗り出し、食い入るように同性がカメラの前で展開する自涜シーンを凝視している。思わず自分の股間に手が伸びる。 やがて自慰行為に酔い痴れた妹がベッドで悶えていると、帰ってきた姉がそれを発見して怒る。妹をうつぶせにして、むき卵のような白い艶やかな臀をピシャピシャと平手で叩くのだ。泣き声をあげて許しを乞う妹。

 すると、自分も昂奮した姉が「夫が最近浮気をして自分を可愛がってくれない。欲求不満なのよ。解消して」と、妹に迫る。そして一番の見どころである狂乱のレズシーンに突入する。 泰介はポルノの映像のほうには興味がない。もっぱら視線は、ソファにぴったり並んで座りながら鑑賞している姉妹――特に、妹の瑠美子に釘づけになっている。

「ね、すごいでしょ」

「うん。私たちよりすごいわね」

「見て、あの子。ほら……あんな太いバイブが入って……」

 猥褻な映像に刺激されてきた姉妹は、しだいに言葉少なくなる。するうち、久美子の手が妹の胸に伸びた。瑠美子は抗うふうもなく姉に胸を揉ませる。姉は頬を妹のにぴったり押しつけ、耳たぶを舐めたり噛んだりする。

「あ……ン。お姉ちゃん……」

 高校一年生の美少女が、甘い拗ねるような鼻声をあげた。

「私たちも楽しもうよ。お姉さん、昂奮しちゃったわ。ほら……」

 妹の手をとって自分のミニスカートの中へ導く。

「うわ、すごい濡れてる。」

「瑠美子は?」

 姉の手が妹のミニの裾の下へ潜る。

「ふふ。あんたもすごく濡れてるわね」

「いやだあ」 二人がたがいの秘部をまさぐりあっているさまは、なにげなく壁に立て掛けておいた鏡にすっかり映しだされている。

 泰介は激しく欲情した。姉妹も甘くやるせない呻きを吐きだした。 画面では、真っ裸になった二人の姉妹がシックスナインの形になってたがいの股間に顔を埋めあっている。妹の花びらの奥へ舌をさしのべる姉。クリトリスを攻められて妹の背は弓なりにそる。

「ね、私たちも裸になろうよ」「うん……」

 瑠美子は姉の愛撫で、もう腰から下が力の抜けた状態になっているようだ。 久美子が手伝って彼女の薄手のセーターを脱がす。下は白いブラジャーだ。胸の隆起は姉のように突出はしていない。ミニスカートが床に落ちた。

 久美子はすばやくパンティストッキングを剥きおろしてしまう。そうすると、いかにも少女っぽいフリルの裾飾りのついた白いビキニパンティが現れた。素材はコットンだが、下腹の黒い茂みをうっすらと透けさせている。「お姉ちゃんも脱いで……」

 ソファの上に仰臥した形の瑠美子がいうと姉は自分の手でTシャツを脱いだ。 今日はノープラだ。ぶるんと豊満な肉の果実が揺れる。すばやくミニスカートとパンストを脱ぐと、下は赤いレースのスキャンティ。網目から恥草の一本一本が見えるような煽情的なランジェリー。

「これ、倒れるようになってるのよ」 久美子がうまいタイミングでソファベッドの背もたれを倒した。これであおのけになった瑠美子の肢体を泰介は完全に視野にとらえることができる。

(なんと可憐な……) 泰介は息を呑んだ。

 瑠美子は今、姉の手によって白いブラジャーをはずされたところだ。十六歳の少女の胸はお椀を伏せた形にふっくら盛りあがり、そのまるみを男の掌にすっぽりくるまれてしまう程度だ。その頂点に清らかな色をした乳首がツンと上を向いて尖っている。見るからに敏感そうな尖りを、姉は唇にふくんだ。舌の先端でつついた。 もう一方のまるみを掌でくるんで揉みしだく。「む、うう……ん」

 喘ぐ美少女。姉とは違ってほっそりした肢体は、若鮎のように新鮮なエロチシズムを発散させている。「瑠美子。誰も聴いていないから大きな声をあげていいのよ。思いっきり泣いてごらん」

 そう熱っぽく囁きかけながら、唇を項に這わせ、指はぴったりしたパンティに包まれた林檎のような固さの感じられる、クリッとしたヒップを撫でまわす。「ああ……ン。いい……!」

 ビデオの演技に負けぬ声で瑠美子は快美にうわずった声をはりあげた。 ふっくらと悩ましく盛りあがった羞恥の丘を撫でて、姉の指がパンティの股布の上から秘裂を覆う谷間へ降りていったからだ。

 その部分は内側から溢れる液でしとどに濡れそぼっている。(う、たまらん……)

 このうえなくエロティックな姉妹レズの光景を眼前にして、瑠美子の匂いを吸い込んだパンティに鼻を埋めつつ窃視している泰介は、我慢できなくなってズボンをおろし、いきり立つ獣欲器官を露呈した。ドクドクと脈打つそれをパンティでくるんで握りしめ、摩擦する。まるで瑠美子自身を犯している気持ちで。「あっ、ああ……ン。お姉ちゃん……っ」

 閉めきった部屋の中に、美少女の啜り泣くような快楽の喘ぎと、二人の娘の甘酸っぱい体臭が充満してきた。 ころはよしとばかり、久美子が妹の腰を覆っていた下着を引き剥く。今や無防備になった股間をわざと泰介のいる方向へ大きく割り広げると、まだ男を受け入れたことのない性愛器官の詳細がそっくり泰介の目に飛びこんできた。

(きれいだ……!) 己が肉根をしごく手を止め、泰介は瑠美子の処女器官の鮮烈な眺めに陶然とした。

 久美子は自分が仰臥した上に瑠美子をさらに仰臥させる姿勢をとらせ、妹の両の腿のあいだに自分の腿をこじ入れて下肢を割り裂くようにして、瑠美子に露出のポーズをとらせている。股間に伸びた指は淫靡に秘裂をさする。ねっとりした蜜に濡れそぼる処女の花びらはおとなしい咲きかたをしていて、姉が二指をつかって展開させると、奥の粘膜まで珊瑚の色が輝く。「ああ……ン」

 ふっくらと充血した肉の真珠をやわらかく指の腹で刺激してやる久美子。美少女の感覚はよく発達しているらしく、そうされるとくねくねと腰をよじらせ、「アッアッ」と声を出して内腿をびくびく顫えさせる。さらに淫らがましく指が轟き、ねっとりした液が律動音をたてる。「む……ンっ」

 瑠美子の指も姉の股間に伸びて、網レースの布地の下で間断なく動いている。するうち、久美子が体をずらして床に膝をつき、妹の覆うものない股間に顔を埋めた。「あ、あっーッ! お姉ちゃん……ッ!」

 姉の舌を女の源泉に受け、オールヌードの美少女はかん高い声をあげた。久美子は妹の両腿をかかえるようにして割り広げ、猫がミルクを飲むような音をたててリズミカルな唇の奉仕を行なう。たちまち十六歳の女子高生は快美感覚の極限へと追いやられていった。「あ、あーッ! お姉ちゃん、いく!」

「いって。瑠美子、思いきりいって!」 妹の蜜で汚れた顔を上げて久美子はいい、ふたたびあわあわとした叢の底に顔を埋めた。

「ひーッ!」 ひときわ高くせつない声を張りあげ、若鹿のようにスラリとした白い体がそりかえると、乙女は姉の黒髪を鷲づかみにして自分の恥部に強く押しつける動作をし、同時に両腿で彼女を挟みつけた。姉の唇と舌の刺激で絶頂したのだ。

「あ、あっ……」 窃視するうち、若い娘――それも魅力的な姉妹が繰り広げるレズビアン・ラブの大胆な行為に煽られ、肉根をしごきたてていた泰介は、瑠美子の絶頂と同時に自分も極限点に達した。ドクドクと熟い精液が噴出して柔らかな布片を汚す。

                12

 やがて、充分に新鮮な蜜を畷った姉が顔を上げると、妹は完全に脱力してソファべッドの上にぐったりと仰臥した。

 チラ、と久美子は小部屋のわずかに開いた隙間を見やって、唇の端に笑みを浮かべた。(どう?私たちのレズビアン・ラブは)

 泰介をそうやって煽っているかのようだ。 ビデオ画面のなかでは、まだ淫猥な演技がつづけられている。全裸の姉は仰臥し 妹がパイブレーターを挿入して責めたて、同時にロで秘核をしゃぶっている。「ね、お姉さんもお願い……」

「うん」 久美子はスタジャンのポケットからハンカチにくるんだ小型のバイブレーターを取り出して妹に手渡した。自分たちが家でひそかに愛用しているものなのだろう。

「お姉ちゃん、いくわよ」 ビデオのレズビアンたちに対抗するかのように、同じ姿勢で姉の裸身にのしかかった妹は、まず豊かな乳房に舌を這わせ、乳首を噛む。そうして姉の口から熱い喘ぎを吐き出させながら、瑠美子は姉のぷりぷりと張りきった腎を包む、赤いレースの下着を引きおろす。

 久美子の女芯も熟い蜜でねとねとに濡れそぼっていて、その唇をこじあけるように、淫靡な振音をたてながらピンク色のバイブレーターが押しこまれた。「あーっ、いいい……」

 久美子は白い喉首をのけぞらすようにして一糸まとわぬ裸身をくねくねとうねらせた。膣奥を疲れを知らぬ電動器具にこねまわされ、前庭の粘膜から肉の真珠にかけては、妹のしなやかな指と舌に攻められる。「瑠美子っ。いいわ、いいわ……」

 さんざんにソファべッドの上で暴れまくったのち、久美子は絶頂した。妹のほっそりした裸身を抱きしめ、泣き狂う声を張りあげながら快美な爆発体験をしたのだ。――両者がそれぞれ絶頂をきわめたあと、二人の愛無はゆるやかなものになった。

 しかし、何本ものレズビアンもののビデオを再生して眺めながら、姉妹は汗にまみれた丸裸の体をからみ合わせ、くつくつ笑ったり、情熱的な接吻をくりかえしたり、肉体の隅から隅まで指と舌と、秘毛までを使って愛撫する行為がえんえんとつづいた。 泰介は彼女たちの飽きることないレスボス愛のエネルギーの強さに驚嘆せずにはいられなかった。

(女同士というのは、そんなにいいものなのか……) レズビアンの愛撫がフルコースだとしたら、泰介がこれまで久美子を責め嬲ったあとに犯す行為にしても、オードブルでしかない。

 やがて、管弦楽が最終楽章を迎えるかのように、愛撫に熱が入りだしたかと思うと、二人はたがいの秘部をまさぐりあいながらふたたび絶頂した。「お姉ちゃん……っ!」

「瑠美子っ」 たがいに呼びかわしながら汗に濡れた熱い肌を打ちつけながら、二つの女体は痙攣し、のけぞり、弛緩した。

 しかし、それでもまだ終わりではなかったのだ。ぐったりしてしばらく眠ったかのように見えた姉妹は、やがてまた抱擁しあい、唇に唇を、乳房に乳房を、秘叢に秘叢を押しつける形になり、淫らがましく腰をうごめかしだすのだ。「ね……?」

 やがて久美子が妹の耳に囁いた。「なあに」

「もう一本、ビデオを見てみない?」「またレズ?」

「違うの」「じゃ、何?」

「まあ、見て」 久美子はビデオデッキに新しいカセットを押し込んだ。

(いったい、なにを見る気だ……。) 小部屋で姉妹の淫らな行為を窃視つづけ、二度も瑠美子のパンティの中に射精してしまった泰介は、いいかげんに疲労と空腹を覚えていた。(まだ、久美子は満足しないのか……)

 画像が映った。「あ」

 思わず泰介は我が目を疑った。なんと、再生されたのは、泰介が久美子とのプレイを撮影したビデオだった。「なあに、これ?」

 荒れはてた工場らしき建物のなかを、レインコートを羽織った女が男に引き立てられてゆく。よく見ると女は首輪をはめられていて、それにつなげられた鎖を男が手にしている。 瑠美子は、男と女が誰だかわかると、ハッと息を呑んだ。

「これ、お姉ちゃんと霜田先生……?」「そう」

「いったい、なにをしてるの」「SMよ」

「SM?」「うん。私と先生はね、SMで結ばれていたのよ。ただの愛人関係じゃなかったの」

「お姉ちゃん……」「瑠美子。このビデオに映る私たちをあなたにも見てほしいの」

「だって……」「いい子だから、お姉さんの言うことを聞くのッ」

 久美子はいつのまにか脱ぎ捨てられたパンティストッキングを手にしていた。それを縒って紐状にすると、やにわに妹の両手を後ろへまわさせ、手首を縛ってしまう。「あ、なにをするの……?」

「さ、こうやっておとなしくビデオを見よう」 後ろ手に縛った全裸の妹を、背後から抱きしめてビデオ画像へ視線を向けることを強制する姉だ。

――そのビデオは、ひと月ほども前に久美子の願望を入れて、洋館の外ではじめて行なった野外プレイだった。 場所は、松林のなかに打ち捨てられた、昔は食品工場だったという廃屋を選んだ。

 季節は初冬。周囲に人影を見ることはほとんどないが、やはり外でいつ誰が現れるかわからない状況でのプレイは、露出願望の強い久美子ばかりではなく、泰介をも激しく昂奮させ、彼は愛奴の肉体に三度、精液を注いだものだ。 まず、荒れはてた工場のまんなかで、壊れかけた椅子に腰をおろした泰介の目の前で、久美子は羽織っていたレインコートを脱ぐ。すると、下は黒い網の靴下に赤い靴下留め。泰介は乗馬用の鞭で豊満な肉体のあちこちを打ち叩きながら、彼女に立ったまま股を開かせ、自涜行為を要求する。屈辱と羞恥にうち顫えながら、鞭の脅し屈服して指を自分の秘部に這わせ、淫らにうごめかせながら、ついに絶頂して膝を屈してしまう愛奴の白い裸身。

「いやっ。いやだわ、こんなの!」 姉がまるで奴隷のように扱われ、辱めを与えられる光景を冷酷に撮影しているビデオに瑠美子は顔をそむけた。

「見るのよ。瑠美子。これが私の本当の姿なんだから。先生は私のご主人さまで、私は奴隷。そういう関係なのよ。そうやって二人で秘密の快楽を味わってきたんだから……」「快楽?これが快楽なの?」

 画像の中では、天井の梁から垂らしたロープで両手首を縛られ、背伸びする姿勢で吊された久美子が、剥き出しの臀部を鞭で打たれている。みるみるうちに幾筋もの打痕が赤く浮かびあがってゆく。打たれるたびに靴下だけをつけた白い裸身がびくびくと顫えて、紅唇から哀切な悲鳴が迸る。「そうよ。これが快楽なの。瑠美子には私が苦痛と屈辱しか感じていないと思うかもしれないけど、本当は楽しんでいるのよ。こうやって苛められている一瞬、一瞬をね……」

「でも、どうして……?どうしてなの?」 淫猥で残酷な責めの画像から顔をそむけ、それでも横目で泣き叫ぶ姉の裸身を見ずにはいられないでいる十六歳の少女は問う。

「わからないわ。でも、私の体はそういうふうにできているの。恥ずかしい思いをさせられるほど、痛い目にあわせられるほど、燃えてきちゃうの。ふつうのセックスの何倍も何十倍も昂奮するの」

 画面では、ブリーフ一枚になった泰介が、背後から久美子を抱き、豊かな乳房をもみしだく。すると、秘叢の底、貝のように息づく器官から夥しい蜜が溢れて、内腿までを濡らすのだ。それを見れば、瑠美子にも姉がものすごく昂奮しているのがわかるはずだ。

「あ……」 後ろ手に縛った妹の匂やかな裸身を背後から抱きしめ、耳の後ろ、頂へとキスを浴びせながら、ふっくらとした白桃のような乳房を掌でくるみ、愛撫してやる姉。甘い鼻声になった妹がなおも問う。

「どうしてなの?どうしてこんなに昂奮するの。二人とも……」 いま、泰介はブリーフを脱ぎ捨てて挑みかかるところだ。

「いや!」 初めて怒張した男性の器官を見た瑠美子は処女らしい脅えを見せた。

「見るのよ、瑠美子。お姉さんとご主人さまが、どんなに獣になるのか……」 吊られた女体の片方の腿を持ちあげ、牝蕊の構造をそっくりカメラに向かって露呈してやった泰介は、ドクドクと脈打つ血管を浮き彫りにした肉根を、ズブと、濡れまみれた粘膜の中心に突きたててぐいぐいと刺し貫く。そりかえりいっそうかん高く涕泣する愛奴。

「いやあ……」 いやがる風情を見せながらも、ビデオ画像から視線をはずすことができない瑠美子だ。そんな妹の股間に、姉は指を這わせて敏感な部分をこまやかに愛撫する。

(なんてことだ……。久美子は妹にSM教育を施しているのだ! まだ男を知らない処女に……) 窃視する泰介は唖然とした。自分たちの淫らな、あさましい姿をあえて妹に見せることで、久美子もまた昂奮していることはたしかだ……。背後から妹を抱く姉は、縛った手の部分に自分の下腹を押し当てている。そうすると瑠美子の手指はいやでも姉の熱く燃えて蜜を吐く粘膜に導かれる……。

「見て、瑠美子。犯されるお姉さん、どう? あさましいでしょう? 軽蔑するでしょう?でも、これが私の本当の姿なのよ……」

 妹の乳房と秘部をまさぐり、揉みたてる姉は、妹の背にまわさせてくくり合わせた手に股間を押しつけ、腰をうちゆすって自分を刺激し続ける――。「あ、あああ……!」

 ビデオ画像のなかで、犯される女が絶頂した。同時に久美子も、ついで瑠美子も鋭い声を発して達した。「あ、あっ。お姉ちゃん!」

「瑠美子っ!」

のぼりつめて痙攣する二つの白い体。強い女の香りがむせかえるようにたちこめる。それを見ていた泰介も、また白濁の精を瑠美子の下着の中へ噴いた――。 やがて、姉妹は服をつけ、部屋を片づけてから出ていった。

 瑠美子は、姉と泰介の凄まじい倒錯行為のすべてをビデオで見せつけられたショックのせいか、黙りこくって終始俯いたままだ。彼女自身もそれを見て激しく欲情したのは、窃視者の泰介の目にも明らかだった。瑠美子は姉に対してばかりではなく、自分に対してどんな態度をとってよいのかわからない様子なのである。

「どうして、おれたちのビデオを瑠美子に見せたのだ」 その翌日、ふたたび館を訪れた久美子に泰介は質問した。久美子の出発は数日後に迫り、彼らの契約で結ばれた関係も、これで最後だ。

「瑠美子をご主人さまにさしあげたかったからです」 寝台に大の字に縛りつけられた娘は、平然としてそう答えた。彼女が身につけているのは、いつもの黒い網ストッキングと赤いガーターだけである。

 素っ裸になった泰介は鞭で彼女の下腹をしたたかに打った。生贄は「ひっ」と呻いて、黒い秘叢の底が洩れた尿と愛液で濡れる。「なぜだ。なぜ自分の妹を、わざわざおれの奴隷にしたがる?」

「あの子には誰かが必要なんです。私がいなくなっても、寂しさを忘れさせてくれる誰かが」

「それがおれだというのか」

「はい」

泰介は、飛躍する久美子の発想についてゆけないと何度も思ったが、こんども最後の最後まで翻弄されっぱなしだ。

「ああやって、おれたちの姿を見せつけて、瑠美子はかえって嫌悪感をいだいたぞ」

「そんなことはありません。あの子の体には私と同じ、淫らな血が流れているんです。私がマゾなら、あの子もマゾの素質があるはずです」

「そうかな……」

女の泉を早くも溢れさせてシーツまで濡らしている娘は、セクシィな声で訴えた。

「ご主人さまぁ……。これが最後ですわ。どうぞ、久美子を存分に辱めて下さい。泣かせてください……!」

  13

――それからまもなく、久美子は計画どおりに家を捨て、アメリカへ飛び立った。

 彼女の実家は娘の出奔を知って狼狽したがすでに手遅れだった。第一、成人した娘の家出をさまたげることなど、法律でも不可能だ。 かわりに『マリーン』のマスターが監視の目がたりなかったことを責められ、そのうち告げ口する者がいて、彼が姪と情交していた事実が明らかになり、小さな町ではちょっとしたスキャンダルになった。

 彼は妻に離婚を迫られ、町にはいられなくなった。 そんなわけで泰介の行きつけの喫茶店は潰れてしまった。

(やれやれ。おれと久美子の関係が他人に知られていなくてよかった……。秘密にしておいてくれたことを彼女に感謝しなければ) 自分が住人たちのトラブルに巻きこまれなかったことで泰介は安堵したものだ。

 しかし、久美子がいなくなったことで、胸にポカリと空虚な穴があいたようだ。 彼と久美子の関係は、愛よりも金銭で始まり、金銭で終わったのだが、それでもかけがえのないものを失ったような気がしてならない。

 以前のように、東京へ出てSMクラブの女を相手に欲望を満たす意欲も失せて、泰介はただ毎日を惰性のようにすごしていた。翻訳の仕事も溜まる一方だ。 そんなある日の午後、海岸の散歩から戻った泰介は、洋館の玄関にセーラー服を着た少女が人待ち顔に佇んでいるのを見て驚いた。

 麻生瑠美子だった。「こんにちは。先生」

泰介の姿を見て、美少女は恥じらうような微笑を浮かべ、ピョコンと頭を下げた。上唇がややまくれて、特徴のあるビーバーの歯がのぞいた。学校帰りに寄ったのだろう。鞄をさげている。「やあ、こんにちは」

眩しいものを見るように目を細めて、泰介は女子高生歩み寄った。少年のように胸がときめいた。「何か、用?」

 アメリカの姉から何か伝言でも頼まれたのかと思った。「ええ」

 しばらく口ごもっていたが、やがて意を決したように泰介の顔をひたと見つめて、「私を久美子姉さんみたいにして」

 と言った。その目には思いつめたような光がこめられている。(やはり……)

 久美子の言葉が泰介の耳に蘇った。“あの子の体には私と同じ、淫らな血が流れているの。私がマゾになれたのなら、あの子もなれる素質があるわ”

 泰介は洋館の扉を開けた。「まあ、入りなさい」

 居間に案内されると、少女は鞄を床に置き、黙って紺色の制服の、襞スカートの裾をまくりあげた。「……!」

 泰介は意表を衝かれた。 若鹿のようにすんなりとした二本の脚を、パンティストッキングではなく太腿までの黒いふつうのストッキングが包んでいた。そして真紅の靴下留めがむっちりと女らしい肉のつきだした太腿に食いこんでいる。

 白い肌、黒いストッキング、赤いガーター。久美子に着せた愛奴の制服をまとって、今、彼女より四歳年下の妹が訪ねてきたのだ。「もっとスカートをまくってごらん」

 制服の下につけている白いスリップごと、瑠美子は腰の上までスカートをたくしあげた。乳白色の太腿の上に、白い三角形の布片が見えた。前面にフリルとレースの飾りをあしらった、お洒落なスキャンティだ。清潔ではあるかまるみのある美少女のヒップを覆うには面積が小さすぎる。最近の女子高生は、もうこんなにセクシィな下着をつけるのか。泰介は刺激的な光景を目の前にして、やはり血がたぎるのを覚えた。 美少女はさすがに頬を紅潮させた。

「どうですか。私の体……?」

「では、ぼくのことを、お姉さんから聞いたのかい」

 もっとも、姉妹がこの館でレズビアンの愛戯に耽ったとき、それを泰介が窃視していたことは、久美子も語っていないはずだ。「はい」

 さすがにパンティまでむき出しにして男の前に立つ恥ずかしさに、耳朶まで桜色に染めた少女は、それでもけなげに答えた。「お姉ちゃん――姉が、言ったんです。先生に可愛がられたくなったら、この格好で訪ねなさい、って」

「じゃ、お姉さんはぼくがどんな男か、どんな趣味をもっているか、それも教えたんだね」

「はい。ビデオを見せてくれました」

 ますます声が小さくなり顫えを帯びてきた。

「ほう? それを知って、どう思った。いやらしいと思ったんじゃないかな。なんて、あさましいことをしてるんだ……と」

「ええ、最初はとてもショックでした。でも……」

か細い声で女子高生は答えた。

「どうしても、先生に虐められて泣いている姉の姿が忘れられないんです。いやだ、獣みたいだって思っても、気がついてみると……」

 美少女は声を途切れさせた。――つまり、彼女はいつのまにか、自分もまた、姉と同じように玩弄され辱められたいと願っていることに気がついたのだ。

 とうとう、こっそり自分の部屋で、姉がされたように自分を縛ってみたり、自分の臀部を叩いてみたりしたともいう。そういう淫猥な自涜行為の結果、彼女は自分の血のなかに、姉と同じマゾの資質があることを知ったのだ。

「お金はいくら欲しいの」

「いいえ。お金なんかいりません」

「じゃ、なにが欲しい」

「愛して下さい。私、今まで男の人から愛されたことがないんです。愛してさえくれればどんなに虐められても、辱められても、私、耐えられます」 

常識的には彼女の言葉は矛盾している。

 愛がどうして虐めることと同義なのか。しかし、性愛の闇のかなたを覗いたものには、それが理解できるのだ。(この子とおれは、その境界の向こうにいるわけか……)

 襞スカートをたくしあげた可憐な美少女の前で、泰介はしばし考えこんだ。 もし彼女を愛奴として玩弄したことが露見すれば、彼は無垢な少女を堕落させた男として非難され、圧殺されるだろう。彼には、男の体を知らない十六歳の女子高生を、自分の倒錯した欲望を満たす性的奴隷にする権利はどこにもないのだ。

 とはいえ、結局は誰かが彼女とめぐりあうのだ。それが自分であってはいけない、という理由もない。(これも運命ではないか)

 泰介は煙草を灰皿に強く押し潰した。厳しい声で命じた。「そのままの格好で二階にあがれ」

       *

 鎧戸を閉ざした寝室は、若い牝の甘酸っぱい体臭が充満している。

 美少女の発する、顫えをひく、啜り泣くような甘い呻き。 瑠美子はダブルベッドの白いシーツの上に両膝を開く姿勢で臀を落としている。そのベッドは、彼女の姉が週に一度、緊縛され鞭打たれて泣き狂ったのと同じベッドだ。

 今、そのベッドの上にいる妹は、赤い靴下留めをつけた白い太腿を露わにしている。泰介はセーラー服をつけたままでいるように要求した。そうして、パンティの上から自分自身を愛撫するように命令したのだ。 瑠美子のしなやかな指が鉤の形に曲げられて、薄いスキャンティの布地の上からもっとも敏感な部分を中心に揉み、圧迫し、撫でまわしている。

 泰介は女が自愛するときの手の動きに、いつも昂奮させられる。とくにセーラー服を着た、まだ男を知らない美少女が、まくれあがったような唇の上に汗の粒をのせ、白いビーバーのような歯をすこし見せて甘い喘ぎを吐いているのだ。 彼はウィンザーの椅子に腰をおろし、十六歳の少女が、彼に見せるために選んだエロティックな下着をねっとりした液で濡らしてゆく過程を見ている。

 少女は自分からこの館にやってきたのだが、自愛の行為は館の主に強制されて行っている。最初は真っ赤になって、固くつむった目から涙を流しておずおずと指を使ったのが、やがてしだいに恍惚の色が浮かんできた。  スキャンティの股布から恥丘にかけては尿を洩らしたように濡れて、黒い茂みを透かして見せている。

「……よし。パンティを脱げ。それを渡すのだ」

「あ、……はい」

「ご主人さま、といえ」

「はい、ご主人さま」

「よし」

 処女の蜜をたっぷり吸ったスキャンティは強い香りがした。牡を獣にさせる牝の芳香。

「恥ずかしい……」 

姉と同じように妹も顔を覆った。

泰介はセーラー服を最後まで脱がさないことにした。

「おっぱいを出せ」

「はい、……ご主人さま」 

セーラー服の上着にはいろいろな形があるが、瑠美子が着ているものは胸の正面にジッパーがあって、まんなかからはだけられるようになっている。

 愛奴志願の女子高生は従順に臙脂色のスカーフをほどき、前をはだけた。白いスリップの肩紐をはずすと、ブラジャーはつけていなくて、すぐにふっくらとした白い双丘が露出した。いつ見てもうっとりするような清らかなピンク色の乳首をのせて。 泰介は立ち上がった。着ているものを脱ぐ。牡の性器はもう充血しきって脈打っている。少女は恐ろしくも魅惑的なものを見る目でそれを見上げた。エデンの園で初めて蛇を見たイブの目だ。

 彼はロープを取り出し、姉にしたのと同じように四肢を標本の蝶のように展開するポーズに縛りつけた。瑠美子は今、胸をはだけ、スカートをまくりあげて、覆うものない処女の羞恥地帯をさらけ出している。 自分もベッドに這いのぼった主は、恥じらって咽び泣く少女に訊いた。

「安全な日かな?」

「はい。……ご主人さま」

「そうか」 

この乙女はそこまで計算して彼を訪ねてきたのだろう。

 彼はまだ芯に堅さを残した、林檎を思わせる胸のふくらみを鷲づかみにし、少女が呻くまで揉みしだいた。強くつまんで乳首を充分に尖らせた。舌でそれを舐め、噛んでやった。初めて男の手で柔肌をさわられる少女は、甘く咽び泣く。腰が揺れる。 泰介はもやもやとした秘叢の丘を撫でまわし股間へと指をすすめた。

「ひっ」

 固縛されたたおやかな肢体がうち顫える。太腿から戦慄が走り、処女は本能的に男の攻撃から守るために太腿を閉ざそうとするのだ。

「いい匂いだ」

 鼻を近づけ、ふかぶかと牝の酸味の強い香気を吸う。それから、ひっそりと息づいている雌蕊へと唇をを押しあてた。蜜を吸う。

「あ、あっ。あっ」

 姉にしか許していない部分を、いま、泰介の舌が侵略してゆく。存分に柔襞のすみずみまで唇と歯と舌が玩弄する。

「いやぁん」 

処女の、鼻にかかった甘い、とろける声が喘いだ。むちむちと腰が揺れる。

 ひとしきり蜜を啜り芳香を嗅ぎ、歯で探索したのち、泰介は向きなおった。「くわえろ」

「……はい、ご主人さま」

 ズキズキと脈動している怒張した肉根が、ふっくりした唇をOの字に開いた瑠美子の口腔のなかにすっぽりと呑みこまれた。

「う……」 それは、柔らかい粘膜の刺激を受けて、さらに膨張して息をふさぐ。

 ぎこちない舌と歯の使い方が、かえって泰介のサディスティックな昂奮を高める作用があった。姉から、こういう愛撫の仕方もあると聞いていたのだろう。首を前後に振るようにして、必死に泰介に快感を与えようとするさまが愛おしい。――やがて、唾液にまみれた肉の杭が、とろりと女の蜜でまみれた花芯にうちこまれた。

 きつい門を、抵抗を排除して侵略してゆくと、美少女の全身に緊張が走った。「ひっ」

「がまんしろ」

腰がずりあがろうとする。泰介は体重をかけた。わななく体を強く押さえつけ、力をこめて貫く。

「いたい。いたいよ!」

瑠美子の瞳から涙が溢れた。かまわずに泰介は侵略し、熱い肉の奥底まで獣の器官を埋めこんだ。しばらくして少女の緊張が解ける。

「……瑠美子。これでおまえはおれのものだ。おれの奴隷だ」

「うれしい」

 頬を涙で濡らした美少女はニッと笑った。白いビーバーのような歯を見せる可憐な笑い。(この娘は、久美子がおれにくれた贈り物だ……)

 泰介は男を誘うようなふっくらした唇に唇を重ね、唾液を呑んだ。甘い唾液の味がすべてを忘れさせる。昂ぶりすぎたせいか、射精の時が意外と早く迫ってくる。顫えおののく少女の上で、泰介も顫えた。救いがたい罪を犯した者の顫え。なにものにも替えがたい快楽の果実を味わう、歓喜の顫え。(もう地獄に堕ちてもいい)

 セーラー服を着た美少女に口づけしつつ、彼は射精した。彼の愛奴のなかに……。 

                                   (おわり)